AbemaTVハラスメント問題、その後

前回のnoteから1カ月が経ちました。
AbemaTV「極楽とんぼKAKERUTV」で私が受けたハラスメント

一度だけ、打ち上げ花火的に書いてnoteは放置しておくつもりでしたが、時間の経過とともに「記録しておきたい」と思うようになりました。

なので、これは自分のための備忘録がメインの目的です。

もちろん私にはこの問題を多くの人と共有したいという意識があります。それがなければ、最初からBuzzFeedさんに相談はしませんし、自分で経緯も説明しません。それでも放置しようと思ったのは、端的にいって「怖い」からです。

noteやSNSに寄せられた数々の言葉のなかに、負担に感じるものが少なからず含まれていました。いわゆる“二次加害”に相当するものです。ただ、怖いというのとは矛盾するようですが、それらの発言はだいたいが事前に予想していた範疇でした。

自己責任を問うもの。
私の活動内容を理由に被害を矮小化するもの。
よくわからない理由で人格を否定するもの。
そもそも何をいっているのかよくわからないもの。

だいたいそんな感じだろうなと思っていましたが、案の定そこからハズレるものはほとんどありませんでした。

予想できていたのは、かつて女性向けニュースサイトにコラムを書いていた経験があるからです。そのサイトには一時期、匿名のコメント欄がありました。レイプ未遂に遭ったことを記事で明かしたとき、コメント欄には自己責任論の嵐が吹き荒れました。それを批難する声も集まりました。すると自己責任論を叫ぶ人たちの声はさらに大きくなりました。

加えて私は、昨年末からの#Metoo運動には少なからぬ興味を持っていて、記事やSNSなどをまめにチェックしていました。被害を告発した人にどういう声が投げつけられるかを目の当たりにしてきました。

それもあってネガティブなリアクションを見ても、最初は「あー、知ってる」という感じでした。リプなどで直接送られてきたものでなく、関連記事を引用してのコメントやまとめ記事なども、ある時期まではほとんど目をとおしています。

だから誹謗中傷ともいえるコメント以上に、被害を被害と認めてくれるコメント、ハラスメント加害者に憤りを感じているコメント、こうした事態に発展してしまったテレビ、もしくはお笑いの構造そのものを危惧するコメントが多かったことを、私はちゃんと知っています。もともとそうした問題提起をしたくて起こした行動なので、それについては非常に大きな手応えを感じましたし、うれしかったです。

応援してくれたみなさんにお礼をいいたいです。まとめていうのも失礼なのですが……。でも、ありがとうございます!

それでも途中から心身の調子を著しく崩してしまいました。反響が予想以上だったので自分のなかで情報を処理しきれなくなり、完全に参ってしまいました。が、それ以前に、前出の記事を書いたり、取材を受けたりするときに、当日のことをつぶさに思い出したのが悪かったようです。「あぁ、これが話に聞いていたフラッシュバックか」と思いました。

また、いろんなところで記事を出してもらえましたが、そうしたものを読むと必ずといっていいほど、私にとって“加害者”となる人たちの姿を見ることになります。自分のnoteにも番組HPからの画像を貼っていますが、あれはまったくの失敗だったといまは思っています。彼らの顔を見ることがこんなに負担になるとは、予想できていませんでした。

もともと地上波はほとんど見ない生活でしたが、いまはテレビを点けるときに警戒心が働くようになりました。売れっ子タレントというのは本当に、いつどういう形で出くわすかわからない存在です。

そういうと「いやならテレビを見なければいい」という人もきっといるでしょう。そのとおり、自宅ではナショナルジオグラフィックかアニマルプラネットしか見ていません。あとはhuluで映画観るとか。でも、彼らは本当に売れっ子なので街中を歩いているだけでも、広告などでその姿を見ることがあります。予想していないタイミングだと、ショックもひとしおです。

そうした毎日のなかでなにかどす黒いものが、澱のようにじわじわと自分のなかに溜まっていくのを感じました。

さらに、出演者が某メディアで、自分たちのふるまいを正当化するような発言をしていたということも耳に入ってきました。それを見聞きして、彼らのほうを信用する人もいるでしょう。負担が大きいので私はその発言を直接確認することもできないのですが。ただ「記事が出たこと、ちょっとした騒動になったことを出演者本人も知っている」事実は把握できました。

心を強く保てていればネガティブコメントもスルーできたかもしれませんが、心身が弱っているときはそうもいかず、「怖い」と思ってしまったのです。

桃子としての活動だけでなくすべての活動がストップしてしまいました。一時期は生活を維持する最低限のこともできなくなり、健康上の問題も発生しました。そのせいで何人もの人に迷惑をかけました。なかには桃子としての活動を知らない人もいますから、筋のとおった説明ができず、今後の人間関係にマイナスの影響を及ぼしそうにもなっています。

幸い、私の周囲にはメンタルヘルスの問題に詳しい人が何人もいて、病院にいったほうがいいと助言してくれました。おかげで早めにケアにつながれました。そう声をかけてもらうまでは、具合が悪くても「具合が悪い自分がおかしい」「こんなんで潰れそうになっているって、私弱すぎる」と思っていました。

でも、私が受けたのはミソジニーをベースにしたいじめでありハラスメントである、と考えると、潰れそうになっても無理はないのです。

なぜそう考えたかというと、私が自分を「弱すぎる」と思うことは、種類は違っても人からいじめやハラスメントを受け尊厳を踏みにじられて苦しんでいる人たちがいま現在もたくさんいて、その人たちが潰れそうになっているのを「弱すぎる」と思うことになるからです。

素人考えなのかもしれませんが、こうして調子を崩していった背景のひとつに、「現在にいたるまでAbemaTVサイドからなんのリアクションもない」というのがあるのではないかと思っています。前回のnoteで「私は、表面的な謝罪を必要としていません」と書きました。いまでもそれは変わりません。

けれど、なぜこうなったかの経緯を明かす説明責任は先方にあると思っています。できればこういうことが二度と起こらないようにするには何をすべきと考えているか、も聞きたいです。

BuzzFeedさんからの取材に対してサイバーエージェント(AbemaTVの親会社)は「ご出演された方が放送中に不愉快な思いをされたことに対して、番組として、大変申し訳なく思っております」と語っています。その後番組スタッフをとおして私に謝罪もした、とあります。毎日新聞にも同様の発言が掲載されていました。

しかしその番組スタッフというのは、いってみれば下請けの制作会社に属する人です。私は責任ある立場の人からの連絡も謝罪も、いまのところ一度も受け取っていません。

メディアに対して「申し訳ないと思っている」と語ったから、もしくは責任を追う立場ではない下請けの人間に謝らせたからハイおしまいーーというのは、あまりにも雑でびっくりです。乱暴だし、無責任だとも感じます。もう一度いいますが、”不快な思いをさせたこと”への謝罪というのが、そもそも的外れです。

精神科を受診して医師にいろいろお話をするなかで、「自分のなかでどう決着をつけたい?」と問われました。正直、9月にnoteを書いた段階ではそんなことまるで考えていませんでした。でも、たしかに自分で落としどころを見つけないと、この問題はいつまでも私のなかで終わらなくてメンタルがダメージを受けつづけるままです。

先方は説明責任を果たす意思も本質的な謝罪の気持ちもないうえに、ほぼ無傷。私だけが傷を負った状態なのは非常に腹立たしいけど、これ以上同じ方法で足掻いてもこちらの傷が増えるだけのように思います。

なので、落としどころか~、むずかしいな〜、どうしよう~と悩んでいるのが現状です。引き続き悩みつづけたいのですが、私も早くこれまでどおりの生活・精神状態に戻りたいので、あまり時間もかけてはいられません。

一方で、病院にかかったり周囲の理解ある人たちに励まされたりして、だいぶ回復してきているので、ぼちぼちバイブコレクターとしての活動も再開したいところです。

できる範囲で、無理なく。

今回応援してくれた方のなかにも、そちらの活動については興味がない、むしろ不快だと感じられる方もいらっしゃると思います。それについては、どうかオトナな態度でスルーしてくださいませ。

*   *   *

最後に、この問題を採り上げてくださったメディアをまとめておきます(二次加害的な記事は含みません、私自身が読めないので)。もしほかに「こんな記事も出てたよ!※まとめサイトのぞく」というのがあれば、教えてください。

・ネットテレビが取り組む「地上波ではできない笑い」は、暴力と下ネタなのか

・加藤浩次 “パワハラ騒動”長期化で『スッキリ!』に悪影響か

・極楽加藤氏の「くそババア」罵倒、『イジメバラエティ』は今すぐ廃止を

・AbemaTV 加藤浩次の「番組内ハラスメント」問題:ロマン優光連載117

・9/13毎日新聞 放送法規制他障害 自律的な対応必要/ネットTVで問題浮上


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