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【インタビュー日本語訳①】NCT 127の신기루ステージ、体操競技場だからできた


先月19日、ソウル市松坡区のオリンピック公園体操競技場(KSPO DOME)。グループNCT 127の3回目のツアー「NEO CITY : SEOUL - THE UNITY」の公演中盤、天井から紗幕(半透明のスクリーン)が降りてきた。

紗幕の向こうに姿がぼんやりと見える中、メンバーたちはバラード曲신기루(Fly Away With Me)を歌った。


通常、アイドルのコンサートでは、そのパートを担当するメンバーの顔が中心のカメラショットの割合が多いが、신기루のステージでは、むしろメンバーの姿を意図的に「隠す」ように演出した。

神秘的な雰囲気を醸し出す紗幕を中心に、巨大な水槽のようなステージは、まるで一つのインスタレーションのようだった。

視界の制限のため、メンバーの姿はもちろん、演出の意図が読み取りにくかったという残念な反応もあったが、むしろライブに集中できたという観客の声も少なくなかった。
様々な反応がある中、신기루はこの日の公演で最も話題になったステージだった。


NCT 127はデビュー初の単独コンサート「THE ORIGIN」を開催した場所である体操競技場に4年ぶりに戻り、初めての試みである「2週間6回公演」を無事に終えた。
ユニット、ソロステージなしで団体ステージのみでセットリストを埋め尽くした今回の公演は、メンバーのライブ、パフォーマンスと同様に演出全般に関する好評を博した。
CBSノーカットニュースは、THE UNITYを演出したSMエンターテインメントの公演演出担当キム・ギョンチャンチーフに12日、書面インタビューを行い、今回の公演が作られ発展した過程を聞いた。


THE UNITYは、THE ORIGINとTHE LINKに続くNCT 127の3回目のツアーだ。SMエンターテインメントはTHE UNITYを、THE ORIGINとTHE LINKを包含するコンセプトと紹介したことがある。
2つの公演から引き続き取り入れた部分や発展させた部分があるか尋ねた。


「2つの公演から直接的なポイントを取り入れるのではなく、公演オープニングのVCRにENTERキーを打つシーンが登場する。ENTERキーを打つと同時に観客が公演に入ることを表現した。そのシーンで観客とのつながり、つまりリンク(THE LINK)を表現し、パフォーマンスが強みであるNCT 127の本質(THE ORIGIN)を感じられるようにオープニングの構成を考えた。 THE ORIGINの時と同じ会場で行われるため、最初のツアーと現在のツアーの中でアーティストと観客が共有している思い出を拡張できる部分に焦点を当てた。」




突出したステージを2階の客席に近いところまで拡張したのも「アーティストと観客が共有する思い出を拡張する」一例だった。

キムチーフは「この部分はチームメンバーの意見から始まった。公演会場でアーティストと近くで呼吸し、自分が感じた感情を説明してくれたものをステージデザインに反映した」と話した。

続けて「結局、公演はアーティスト、観客、スタッフが一緒に作っていく過程だと思う。 この公演の流れと呼吸を観客が一緒に楽しめるか」「公演が終わった後もコンテンツをもう一度解釈して楽しめる要素があるか」を考えながら公演を作る」とし、

「振付構成や舞台デザイン、そして音楽作業まで、公演はすべてのスタッフの素晴らしい呼吸の中で作られることを改めて実感する過程だった」と振り返った。


メンバーが公演で直接明かしたように、THE UNITYのコンセプトは映画「マトリックス」から引用した。キムチーフは「アーティストNCT 127に現時点で必要なものは何だろうか」という問いの答えを見つけようと努力した。「新しい方向への転換点を作るためには、これまでの公演を継続しながらも、締めくくる部分も必要だと思った」と彼は説明する。


キムチーフは「NCT 127の誕生(THE ORIGIN)から始まり、みんながつながった(THE LINK)世界の中での自覚、同時にNCT 127がどこへ向かうかに関する選択という結末をつけたいと思い、それが今回の公演のタイトルであるTHE UNITYになった」と話した。

これを美学的に表現するために映画「マトリックス」をモチーフにした。公演オープニングVCRには「Truth」(真実) 「Fate」(運命) 「Neo」(新しい) 「Choice」(選択)という4つの言葉を入れた。キムチーフはこの言葉がTHE UNITYを説明するキーワードとして観客に近づくことを望んだと付け加えた。


THE UNITYには横60m、縦14mの大型LEDスクリーンが使われた。ステージに応じてスクリーンが多様に活用されたが、メイン画面が三角形であるのは珍しいケースだった。
やや難易度の高い挑戦だったのではないだろうか。

「私の師匠が一番好きな言葉が"意味のある差別化"という言葉。今やっている公演がこの歌手にとってどのような意味があるのか、どのような差別化があるのかについて考える方だ」と切り出したキムチーフは、「舞台デザインをしながら、なぜこのデザインが必要なのか演出家自身が納得できれば、挑戦する価値があると信じて実行しているので、今回の舞台デザインも冒険というよりは差別化されたデザインだと思う」と答えた。

最初の曲はPunch。次の曲はSuperhumanだった。両曲とも最近のNCT 127のコンサートや各種ステージではなかなか見られない曲だった。コンサートの第一印象を与える曲だけに、オープニング曲の重要性は相当なものだ。キムチーフも「選曲の過程で重要視したのは、最初のセクションの2曲だった。今回の公演のメインテーマを表す曲としてPunchとSuperhumanがふさわしいと思った」と答えた。

普段公演を作る際、セットリストをアーティストと相談しながら決めることが多いというキムチーフは、THE UNITYの選曲もNCT 127との活発なコミュニケーションの中で行われたと伝えた。"完成されたセットリスト"と同じくらい、セットリストを決定する"過程"を重要視するためだ。

彼は「公演の主体であるアーティストの意見が反映されれば、公演の流れ上、自然さが出てくるし、私自身も公演に関するアーティストの価値観を把握することができるので、演出家としてもう少し深い検討をすることができると思う」と付け加えた。

THE UNITYには、NCT 127が持つ様々なアイデンティティを代表するセクションに分かれていた。今回の公演で話題になったステージの一つである신기루は、「男性重唱団」という愛称を持つNCT 127が用意したバラードセクションの2曲目だった。アイドルのコンサートで半透明のスクリーンを伸ばして姿をぼかす演出は冒険だったのでは...。演出家の考えが気になった。


신기루のステージは、"アイドルの公演でもこういう試みができるはずだ"という思いから始まった。ひたすらアーティストの歌声に寄り添うという新しい体験を提供したかった。
そして、視覚的な快感も与えたいと思って、ストーリー性のあるビジュアルが展開する演出を企画した。
신기루の歌が終わるまで紗幕を維持したまま進行するのが当初の演出意図だったのだが、初日の公演が終わり、観客の反応を見て、このまま続けるか、方向性を変えるか悩んだ。そこで2回目の公演では方向性を少し変えて、曲の後半に幕が下がる演出に修正し、3回目の公演ではアーティストの意見も取り入れて画面中継も追加し、今の신기루のステージが完成した。」


신기루は「体操競技場(KSPO DOME)」という公演場所の恩恵を受けた舞台でもある。

キムチーフは「体操競技場はトラスを立てずに、競技場の上部に装置物をリギングするシステムが可能だ。そのため、上部の装置を利用した演出ができる強みがある。オープニングの登場シーンや신기루の演出は、体操競技場だからこそ可能だった」と説明した。

トラスは舞台設置に必要な装置を取り付ける構造物で、リギングは装置を操作したり、支えるために固定することを意味する。


②に続く

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