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名もなき巨木2

街の中に突如として現れたビル5~6階建てくらいの巨木。
これは、いたずらっ子だ。
一通り遊んで遊ばれて、気が済んだらストーンと地面に引っ込み去ってしまう。神出鬼没のその巨木、たまに、しれっとふざけたことをして「アンタそこで何してんねん!」と突っ込まれるのを密かに楽しんでいる。
迷惑ではなく愛嬌を振りまき、なんか面白いのがいる、そう思われている節が確かにある。

森の中では、静かに佇み、全てを抱擁するかのような顔をしている。
すごいギャップだ。

その下でシカが草を食み、

梢ではキツネも休息するようだ。

街の中の巨木に出会うと、心躍り、何かをしたくなる。
森の中の巨木に出会うと、心落ち着き、静寂に身を任す。
巨木は、あちらとこちらを行ったり来たり。
必要に応じて必要なだけ現れる。

大きな岩が足元に転がっていたら、避けずにゆっくりよし掛かる。
障害物さえ楽しんでいるのか、それとも、友達になってしまうのか。
不思議な力強さを持っている。

どちらの巨木も魅力的で、どちらの扉からも、あなたの興味をくすぐる世界に入っていけるだろう。
奇妙奇天烈なその巨木は、あなたの世界を用意して、扉が開けられるのを待っている。

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