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ゲーム内のユーザーの行動分析をする方法

株式会社リーン・ニシカタの西方智晃(にしかたともあき)と申します。

先日、「ゲーム分析において最も大切なユーザーセグメントを理解する方法」というnoteを書かせていただきました。

前回のnoteでは、1つのゲームタイトルの中であってもユーザーによって遊び方が違うこと、そのユーザーをゲームタイトルの主要KPIからセグメントに分ける手法について解説しました。今回はそれぞれのセグメントにおける遊び方の特徴をデータの力でどのように導き出すかを解説していきます。

前提条件

今回は以下のようなケースを想定しています。

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前提とするゲームサイクル:
・5人のキャラクターでパーティを作り、クエストに挑戦する
・キャラクターは、レアリティSSR(スーパースペシャルレア)を使うのが基本
・キャラクターを強くするには、まずレベルを上げる
・レベルが最大になったら、レベル上限解放してさらにレベルを上げる
・レベル上限を上げながら、スキルレベル上げに挑戦してさらに強くする
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エンゲージメントマトリクス(Engagement Matrix)を活用した認知と熱量の可視化

ここでは、エンゲージマトリクスという手法を用い、ユーザーの認知と熱量を可視化する方法を解説していきます。

ゲームの中にも色々なアクションがあり、例えばキャラクターを強化するために「レベルを上げる」や、「レベルの上限を上げる」、「スキルレベルを上げる」といった要素があります。それぞれの要素に対して、どれくらいのユーザーがその要素を認知しているのか、認知しているユーザーが、どれくらいの熱量を持ってその要素で遊んでいるのかをこの手法を用いて可視化します。


エンゲージメントマトリクスを用いた認知と熱量の可視化

このマトリクスの見方は以下の通りです。

・横軸:1ヶ月の各アクションの実行率、この例ではMAU(Monthly Active Users)の何割が、ここにプロットされている各アクションを実行しているか
・縦軸:プロットされた各アクションを実行している人が1ヶ月のうち平均何回ぐらいそのアクションを実行しているか

言い換えると、横軸がいわゆるそのアクションの認知率を表し、縦軸はそのアクションに対する熱量を表しています。


熱量可視化:アクション実行回数

まずはアクションの実行回数をもとに熱量を可視化します。

例えば、サインインというアクション。

サインインはゲームを起動すると必ず実行するアクションです。サインインの平均回数よりも、実行回数が多いアクションはゲームを起動したら少なくとも1回以上実行するような熱量の高いアクションであると言えます。

逆に、このサインインよりも下にあるアクションはゲームを起動しても、必ず実行するとは限りません。ただ上にあれば良い、下にあると良くないというものではなく、サインインを基準にして、これより上か下かで、アプリを起動したら必ずやるアクションなのかそうでないのかを判断するために使います。


認知を可視化:アクション実施率

次にアクションの実施率をもとに認知を可視化します。

こちらは、0.5(2人に1人がそのアクションを実行している)を基準とします。MAUの50%以上が実施しているアクションであれば、ユーザー内の認知が高いという定義をここではしています。

そうすると、熱量と認知の境界線から4象限ができるので、各象限にどのようなアクションがあるかが見えてきます。


エンゲージメントマトリクスを用いた認知と熱量の可視化

ゲームの中には、色々な機能とユーザーに実行して欲しいアクションがありますが、メジャーかつ利用頻度が高い機能は右上の象限にくるのが理想です。それだけではなく、メジャーだが利用頻度が低いものや、あまり認知もされていないうえに利用頻度が低い機能や、マイナーだが利用頻度が高い機能といったものも分類できるので、まずは運営がこのマトリクスにそって、それぞれのユーザーの遊び方に対して、ゲームの機能が対応してるかどうかをここで見る必要があります。

ここで着目したいのは、もちろん右上の象限に色々な機能を持ってきたいところではありますが、左上のマイナーだが利用頻度が高いという機能です。

この機能は、知る人ぞ知る機能として認知はないものの、知っている人は熱量高く実行している機能です。これには良いパターンと悪いパターンがあり、良いパターンとしてはこういった運営が意図していないユーザーの遊び方に気づくことができるというパターン。悪いパターンとしてはチートのようなあまりよろしくないユースケース。そういったものを見つけることもできるので、この左下の象限に何かしらの機能が入っていたら要注意です。

こういった表を作成すると、どのようなユーザーがどのような機能を認知し、熱量をもって実行しているかがわかります。これをユーザーセグメントと合わせて考えることで、各セグメントの人がどのような機能を重要視しているのかが見えてきます。


異なるセグメントでエンゲージメントマトリクスを比較

たとえば、先日のnote内でのセグメントCとDを比較してみます。

セグメントDのユーザーをセグメントCに上げるためには何が足りないのかをこの両者のエンゲージメントマトリクスを比較することで考えることができます。

この比較において特徴的なのは、セグメントCの「キャラクターレベル上限解放」というアクションが、セグメントDにおいてはその認知が半分以下であること。また、その熱量はサインインよりは上にあるので、ゲームを起動した際には必ずやるアクションではあるものの、頻度としてもやはりセグメントCに比べると高くないことです。

熱量もそうですが、そもそもの認知が全然違うので、例えばセグメントDのユーザーを頑張ってCにあげる、それによってセグメントDのユーザーの継続率をあげたい、もしくはセグメントCのユーザーの課金率にセグメントDのユーザーを近づけたいといった意図があるならば、この「キャラクターレベル上限解放」というアクションの認知を上げることが必要になります。

他にも細かいところで違いはありますが、こういった特徴的なところがこのエンゲージメントマトリクスを用いると明確に分かるので、なぜその差分が起きているかを分析をして対策に繋げていくことができます。

次のnoteでは、このようにセグメント分けしたユーザーの行動理解を行った上で、ユーザーのニーズを把握するためにどういったデータ分析手法があるかを解説していきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

さいごに

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