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どっちがいいんだろう?~進むべき未知と音を失くした夜~

パターン①【進むべき未知】
その夜の霧雨はいつの間にか
粉雪へと変わっていた
信号機に照らされた雪が
青、黄、赤の順に染まっていく
いっそのこと止まり方を
知っていればよかったのだ

私には瞭然たる答えがある
だけどそこに辿り着くまでの
道ほどが分からない
頭を働かせるよりも前に
この足を進めてしまう
走らないと
息がとまってしまうから

私には確かなことがある
あまりにも明白だから
もう戸惑いは無くなった
予兆は常にそこにあった
見てみぬふりしてきたこと
その30光年先をみると
そこにあるのは徒労だけだった

終わりはいつだって始まりで
それを理解すれば
このおぼろげな未来にも
輪郭を与えることができるだろう


パターン②【音を失くした夜】
その夜の霧雨はいつの間にか
粉雪へと変わっていた
信号機に照らされた雪が
青、黄、赤の順に染まっていく

寒さに体が縮こまっていく
手袋に包まれたはずの指先が
冷たくなっていく
車が目の前を通り過ぎていく

感覚と音のなくなった世界のなかで
立ち止まるしかできない私は
薄暗いオレンジ色の電灯の下で
ひとすじの涙を流していた

もう一度 青がともれば
確かにこの足を進めるのだけれど
私はその歩の行き先を
見つけ出すことができずにいた

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仕事の帰り道で、信号を待っていたときのこと。
雨が雪に変わり、その雪が信号機の色に染まっていく様が美しいと思った。

それで、
「その夜の霧雨はいつの間にか 粉雪へと変わっていた
 信号機に照らされた雪が 青、黄、赤の順に染まっていく」
という書き出しが頭に浮かんできた。

だけれど、この後の続けた方が分からなくて、
赤信号だけど止まれないパターンと
赤信号で止まってしまうパターンとで書いてみた。

書き始めると、結末が真逆になったので、面白いと思って、
どちらも載せてみることにした。

どっちかに決め打ちしたうえで、アップしろ!
という突っ込みはごもっとも。優柔不断ですみません。
さらにいうと、パターン①も②も違っているような気もしていて。

しかし、なんだかこの週末は、天気がめちゃくちゃよくて、
太陽の光が少し春の陽光を思わせるような明るさになってきたことに気づき、冬が終わる前に、なんとかこのフレーズを使い切ってしまいたいという、謎の消費衝動に駆られて、アップしてしまった…
という次第。

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