YOASOBIの夏、始動-ROCK IN JAPAN FES.2022 備忘録 -


はじめに

 危険な暑さの日が続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。夏は楽しくも切ない素敵な季節だと思いますが、暑さと日差しと虫は本当に無理なので早くどうにかしてほしいです。概念としての夏(青、花火、ラムネ)は好きだけど実際の夏(猛暑、日焼け)は好きじゃないって人、私と握手しましょう。

 そんな「好きだけど嫌い」「でも好き」というめんどくさい夏が今年もやってきました。そう、ROCK IN JAPAN FESです。日本最大級の夏フェスことロッキン。YOASOBIが初日のヘッドライナーを務めるということで、夏フェス経験ゼロながらも参戦してきました!聞いたところによるとこの初日、27万人の応募に対して当選者はわずか4万5千人だったらしいです……。これは行った者がその目で見たものを伝え広めるべきだと思い、この記事を書いています。現地で観たファンの方々、惜しくも観られなかった方々はもちろん、今回YOASOBIを初めて見た他の出演者のファンの方々にも読んでいただければ嬉しいです。


開演前

 YOASOBIの出番は19:25~。私は前方エリア後ろのフェンスから4列目くらいで観ていたのですが、人の数がすごかった。クリープハイプさんが終わって1時間以上空いていたのですが、すし詰めの状態でその時間を過ごしました。その後19:05くらいから(うろ覚え)バンドのサウンドチェックが始まります。向かいのGLASS STAGEに立つ[Alexandros]さんを受けて、「ワタリドリ」の一節をギターで弾く場面も。
そして19:15頃、ステージにikuraちゃんとAyaseさんの姿が現れます。

ikura「こんばんは。YOASOBIです。サウンドチェック始めます。」

広い会場に響いた天使のような声に、会場から思わず歓声が上がります。(マジで天使の声で疲れ飛びました)

そして歌い出したのは「優しい彗星」。
(武道館ライブのレポートを読んでくださった方ならわかると思うのですが、当方優しい彗星が大好きでして、ここで無事昇天しました。ありがとうございました。)
1コーラスではありましたが、「野外で優しい彗星を聴きたい」という夢が叶ったのでした。暖かくも切ない、良い歌唱でした。

サウンドチェックを終え、再び裏へと戻っていくYOASOBI。
会場には本番への期待と高揚感が広がり、誰もが開始を今か今かと待ちわびていました。

M1 夜に駆ける

 ここについてはテンションオーバーヒートすぎてもうほぼ覚えていないのですが、まず2段目ステージの側面(伝わってくれ)に本がぎっしり詰まったような映像が映し出されます。そのあと後方スクリーンいっぱいに、同じく本棚の映像が。そして流れたのは夜に駆けるをアレンジしたようなあのメロディー。そう、2020年紅白歌合戦のあのSEです。映像と相まって、あの時を思い出させるかのような演出(ここで同行者の友人に「本だ!やばいこれ紅白のやつ!!」と謎の報告をする私)。

「沈むように 溶けてゆくように」

SEが終わり、会場に響き渡る歌声。
さっそくのキラーチューンに辺りからは歓声が上がります。
「YOASOBIらしい」メロディーとピアノの音。一瞬で彼らの世界へと連れて行ってくれる曲だと感じました。過去3回のライブがありましたが、この曲スタートは今回が初めて。歌い出しで引き込まれてしまって曲中の記憶が本当にない……。

ただ唯一ikuraちゃんの表情だけはしっかりと記憶に残っています。楽しそうに、それもどこか余裕そうな笑みを浮かべながら歌ってたのよ。いつもの天真爛漫な笑顔ではなくて、少し挑発するような色を感じる笑みだった。タナトスってこういう風に見えるのかな、とポエミーなことを思ったりしてしまうよね……。


「夜に駆けるを夏の夜に野外で聴く。」念願叶ってもう何も言い残すことはないです。ありがとうございました……。

M2 三原色

 クラップが楽しすぎる!!!「このリズムで手拍子してくださ〜い!」というikuraちゃんの言葉に合わせて全体がクラップを始めたのですが、一体感がサイコ~~すぎた。ノリ方がわかりやすくて楽しい。武道館のときも楽しかったけど、フェスの空気感の中みんなで同じリズムに乗るのが本当に本当に楽しかった。個人的に今夏のYOASOBIのフェス回りのテーマソング的な立ち位置だと勝手に思っています。

あとは何より、再会を祝う曲だということ。原作小説は十数年ぶりに会う幼馴染3人のお話なのですが、去年中止となってしまったこのロッキンの舞台でやっと会えたことを祝うような、そんな曲にも感じられました。
YOASOBIの楽曲はすべて原作小説が元になっているのですが、たまにこうして現実の私たちとリンクするのがとてもエモーショナルで良いなと思うのです。

M3 ハルジオン

 個人的にイントロが大好きなハルジオン、空気感がガラッと変わった気がしました。今回はサビの雰囲気が好きでした。曲調がすごくおしゃれだから、自然に腕を振ってしまうのよ……。三原色がみんなで盛り上がる曲だとしたら、ハルジオンはひとり雰囲気に酔いしれる感じがしました。

M4 大正浪漫

 スクリーンの映像がとても綺麗でした。それまでは高揚しすぎていて正直スクリーンに意識を向けられなかったのですが、この曲の映像がとても印象的でした。

この古風な柄と色使い、綺麗すぎない?目まぐるしく変わる疾走感あるメロディーと合わさって、時間旅行の中にいるような感覚でした。そしてこの曲もikuraちゃんの表情がとても良い。「姿さえも 知らないまま」のときの射抜くような眼差しが印象的でした。彼女の表現力ってこういうところにも出るんだなあ。

M5 もう少しだけ

全員ikuraに恋した。以上です。

M6 ミスター

 まさか聴けると思ってなかったミスター。さっきまで穏やかな朝の曲を歌っていたのに、急に洒落たシティポップ歌い出すんだもんな。曲の振り幅どうなってる???

曲が始まり照明も寒色に変わって、冷たく無機質な空気になります。

ジャケ写を彷彿とさせる回路に煌々と光る照明、ベースの低音、そして「lalala〜」の女性コーラス。夜の曲だとは思っていましたが、フェスにこんなに合うとは思ってなかった。おしゃれな音の波に乗りながらも、切ない歌声が身体に染み込んでくる感じ。広い夜空に向かって、今はもう会えない大切な人の名前を叫ぶんですよ……。「ミスター」って……。

(ロッキンでサイコーのミスターを聴けました)

は〜~これを機にミスターが世間に見つかってめちゃくちゃ人気になってくれ、で、みんな原作小説「私だけの所有者」を読んでくれよ…………。頼む。

M7 もしも命が描けたら

ikura「YOASOBIは小説を音楽にするユニットです。なので全ての楽曲に原作があります。この曲は、大切な人を救うために、命を削って絵を描く主人公のお話です。」

うろ覚えですが、曲紹介ではこんなことを言っていました。
この曲の世界観は独特なこともあって、このアウェーの場で披露されるとは思っていなかったんですよね。個人的に、この曲をこの場で披露することは結構大きな挑戦だったんじゃないかなと思います(本当のところはわかりませんが)。
予想に反して、幻想的で哀しげなメロディーとあの場の相性はとても良かったです。この曲って落ち着いているように思えるけど、聴いていると自然と体が揺れる感じがあるんですよね。この曲調がまた夜に合うんですよ……。しかもこの日は結構涼しくて、夏の夜風が連れてくる寂しさに拍車をかけていた気がします(そうやってすぐポエミーになるな)。

クラップ等もなく、みんな曲に聴き入っているように思えました。

M8 アンコール

 ずっと野外で聴いてみたかったアンコール。この曲のことになると一気に詩人になってしまうのですがそういう人他にもいない?アンコールとはYOASOBIだし、YOASOBIとはアンコールだと思ってる。夜の野外で音を鳴らす彼らの姿を見て、今日が世界終末前夜なのかなとか思ったもん……ポエマーだから……。前曲の「もしも命が描けたら」からの流れもあって、非現実的というか、どこか宙に浮いているような気持ちで聴いていました。

そして何よりスマホライトの演出。武道館ライブでは「優しい彗星」でしたが、今回はこの曲でした。私が見た限りではAyaseさんが主導でやっていたように思います。

すごいよな~~。圧巻の景色すぎる。武道館ライブは屋内で高さもあってプラネタリウムみたいだったのですが、この日は野外で平面ということもあって星の絨毯みたいでした。ステージから見たら本当に綺麗なんだろうな。モニターに映ったこの景色を見て、YOASOBIってすごいユニットなんだなと改めて思ったのでした。誇らしいよね。

M9 ツバメ

 個人的にライブで化ける曲第1位のツバメ。めちゃくちゃ楽しいのよ……。童心に帰って穏やかな気持ちになれる。夏フェスでこんなに穏やかな時間を過ごせると思ってなかった。

M10 好きだ

 好きだ、マジで好き!!!!!!想像の10倍は楽しかった。
全体的にクラップが楽しい曲なのですが、Bメロ「期待薄い片思いなんて苦いだけ 友達でいいよ」のところが特に楽しすぎる。初披露かつ新曲なので不安要素はあったのですが、クラップが楽しすぎてそんなの普通に忘れました。

それと、ikuraちゃんの表情が良かった。片思いの楽しさというよりはそのめんどくさい感じやもだもだしている感じを歌詞に盛り込んだ曲なのですが、それに合わせてikuraちゃんの表情も少し気だるげでとても良かったです。歌が上手くて表情管理もできるとか天才か?Aクラスです(プデュ)。

M11 怪物

ikuraちゃんの「みなさんこの曲で全部出し切っちゃってください」という言葉とともに流れる不穏なメロディー。SEが終わり歌が始まってすぐにクラップが湧き起こります(ここで既に最高)。

おなじみの特効の炎!!!野外の怪物ヤバかった……1番終わりの間奏が本当にアツくてアドレナリンの栓開きっぱなしだった。そして本当に歌が上手くて、今までの怪物の中で一番上手かったんじゃないかと思うくらい安定してたのよ。暑い中のライブ終盤でこれだけ安定して歌えるってすごくない?肺活量と引き換えに悪魔に何か差し出してるんか??(正真正銘ikuraちゃんの努力の賜物です)

ラスサビ終わりのピアノのメロディーとギターソロが重なる部分、今回もとても良かったです。

M12   ラブレター

 音楽への感謝を綴った曲。わたし含めYOASOBIのファンはもれなく武道館ライブを思い出して泣いてしまう曲なのですが(莫大主語)、まさかこの場で聴けるとは思っていませんでした。
うろ覚えなのですが、曲紹介のときの「私にとって音楽は救いです。」というikuraちゃんの言葉が強く印象に残っています。小さい頃からずっと音楽を続けてきた彼女たちだからこそ、この曲の意味が強くなるのだと思います。
この大舞台からの景色を見て、メンバーはどんなことを感じていたのかな、と。YOASOBIがいつまで続くかはわからないけれど、できるだけ長くその音楽を聴いていたいなと思ったのでした。

M13   群青

 「ラブレター」のラスト、「いつも本当にありがとう」の声が終わらないうちに、群青のSEが流れます。ここの流れが本当に良かったのよ……。感動と高揚感とラストへの切なさが混ざって胸が苦しくなった。Jフェスアプリでの配信でもちょこっとだけ聴けるのでぜひ聴いてください……!

この曲こそ会場の雰囲気をわかりやすく伝えたいなと思うのですが、わたしの力では限界があるので、もうこれは配信見てください。

もうちょっとでYOASOBIが終わっちゃう……!と切ない気持ちを覚えたそのとき、ikuraちゃんが「みんなの心の声聴こえてるよ〜~!!」と叫んでくれて、もうそこで涙がヤバいわけですよ。タイミングが絶妙すぎる、マジで大好き。
いつかみんなで大合唱できるその日まで必ず好きでいるので待っててという気持ちです。待ってろYOASOBI……

こうしてYOASOBIのロッキンが終演。1時間のライブでしたが、体感マジで1分でした。

終わりに

 フジロックの出演中止を受けて、今回のロッキンがYOASOBIの夏フェスデビュー戦となった訳なんですけれども、これがフェスデビュー戦なのヤバくないですか?もちろんファンであるという贔屓目はあると思いますが、大規模フェス初日のトリにふさわしいパフォーマンスだったのではないかと思います。

セトリを見て思ったのは、「YOASOBIらしさ」をきちんと持ってロッキンに挑んだのだろうなということ。
恥ずかしながらわたしは「まあ初のフェスだし、有名曲とノリの良い曲をやるんだろうな」と思っていました。
それが実際行ってみたら、「もう少しだけ」や「ツバメ」、「ラブレター」といった穏やかな曲もいっぱいやってくれて。「もしも命が描けたら」も、"小説を音楽にする"というコンセプトをきちんと提示してくれていたと思います。初のフェスにおいて、ここまで自分たちらしさを持ちつつも会場を惹き付けることができる、その力が流石だなと思いました。それはやっぱりikuraちゃんの歌唱力とAyaseさんの楽曲の良さが素になっているのだと思うし、バンドメンバーの演奏もそうなのだと思います。

そして個人的に一番印象的だったのはikuraちゃんの歌唱。全体的に前回より遥かに安定していて、彼女の努力を感じました。それといつもよりイケメン度合いが増していた気がします。どの曲でも何だかやけにかっこよくて、でもMCで喋るといつものikuraちゃんで、エンターテイナーみをひしひしと感じました。しばらく見ない間に表現力をメキメキと上げていて、この人はどこまで行くんだろう……と思ったのでした。
ikuraちゃんだけでなくAyaseさんやバンドメンバーも、この先にあるフェスを通して、もっともっとレベルを上げていくんだろうな。夏が終わった後、そんなYOASOBIにまたどこかで会えるのを楽しみにしています。

まだまだYOASOBIの夏は続きますが、いったんお疲れ様でした。この夏でもっとたくさんの人たちがYOASOBIの魅力に気づきますように!

夏のYOASOBI、駆け抜けろ!!!

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