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【PRM海外調査】PRMの海外事例。ツール導入による成功パターンや日本との比較

PRMについて理解を深めたら、次は実際の企業を参考に、販路拡大や作業効率向上に繋がるいくつかの施策を検討してみましょう。

PRMを導入した結果何が起こったのか、どういったメリットが得られるのかなど現実味を感じられない方も多くいらっしゃると思います。そこで今回は、海外・国内ともにPRMを上手に設計している企業を紹介します。

1.PRMとは

PRMとは、ベンダーとパートナーの良好な関係を築くためのビジネス戦略手法です。直販だけでは限界があるベンダーにとって、企業や商材の認知・販路拡大のためにPRM構築は非常に有効です。

パートナーの特徴に合わせて複数のパートナープログラムを用意し、販売チャネルを拡大していくことにより、様々な収益源を拡大できるため、企業としてのリスクを低減できます。

KBV Research の「市場調査レポート」によると、PRMの市場規模は2021年~2027年の間に年平均成長率11.9%で成長し、2027年には21億米ドルに達すると予想され期待値が高く注目されています。

前回の記事では、PRMの概念やメリット・得られる効果など詳しく紹介してきました。海外企業は認知が広がっているPRMですが、日本国内ではあまり認知が少ない印象です。

2.海外でのPRM成功事例

この章では、海外(主に米国)でPRMを構築し、成功している企業を紹介しています。

海外では、PRMの一環としてPRMツールを導入している企業が多く見られました。ツールを導入することによって、マニュアルで作業していたことが自動になり、業務効率化を図った企業が多いようです。

それでは見ていきましょう。

1. National Instruments

PRMツールを導入したことにより、2年間で120%の売り上げ向上・NPSを30%向上させることに成功しました。半導体などを扱う国際的なエンジニアリング会社で700社を超えるパートナーとビジネスを行っています。国際的なパートナープログラムなため、「Alliance Day」のような大きなイベントを開いたり、PRMツールを通じて、コミュニケーションを取っています。

詳細:https://impartner.com/project/case-study-national-instruments/

NPS:
「Net Promoter Score」の略で、企業や商材に対して顧客の満足度や愛着度を測る「顧客ロイヤリティ」を表す指数です。

パートナー向けに他社の良い取り組みを情報交換できるようなイベントを開くもの良いかもしれませんね。

2. ViaWest

マニュアルでパートナーとのやり取りを管理していましたが、PRMでパートナープログラムやパートナー登録など一貫して自動で管理できるところに惹かれ導入したところ、時間削減やパートナー申請の30%UPに成功しました。こちらの企業のケースは、工数削減という観点で、PRMツール導入の成功をしていますね。

詳細:https://info.impartner.com/resources/case-study-viawest.aspx

3. SGI

PRM導入後パートナー登録数は20%上昇し、MDFの要求が以前に比べて3倍に増えました。またマーケティングに注力できる積極的なパートナーが増えました。

詳細:https://info.impartner.com/resources/case-study-sgi.aspx

MDF:
「Marketing Development Fund」の略で、パートナーがマーケティング施策として展示会に出店し、ベンダーの商材の販促活動を行う場合、これに関わるマーケティング費用の一部をベンダーが負担します。負担比率は一般的に50%対50%が多いです。

4. Serko

ニュージーランド拠点にも関わらず、ヨーロッパに6,000社近くのパートナーを持つSerkoではPRM導入によって全てのパートナーに対してマネジメントができるようになりました。課題としては、国際的なパートナーが多いため、情報共有のサポート体制が弱く、パートナーが自信を持ってプレゼンすることができないという事象がありました。

その課題を克服するため、PRMツールを導入し、オンボーディング施策や小さな説明ページなどを制作し、パートナーのセールス力を向上することができました。

詳細:https://www.allbound.com/resource-center/serko-case-study/

PRMツールを導入することによって、パートナーに対して情報発信を上手く行えた事例かと思います。

5. CloudBees

約50社のパートナー管理をもっとシンプルにしたいという課題を持っていました。PRM導入後ウェビナーの参加者数は前年に比べて約3倍、パートナーのエンゲージメントも3.5倍に上昇しました。その結果、売上も上昇した事例です。

詳細:https://www.allbound.com/resource-center/cloudbees-case-study/

6. YourSix

パートナーとの情報共有や、トレーニングを管理するパートナーポータルが必要でした。PRMを導入したところ、パートナー153社とのオンボーディングに成功し、販路拡大が以前に比べて簡単になりました。これは、4つ目に紹介したSerkoと同じ課題感ですね。

詳細:https://www.zinfi.com/success-stories/partner-portal-yoursix/

契約しただけでは、パートナーは上手く販売してくれると限らないので、しっかりとフォローする必要があるということがわかります。

7. Sungard Availability Services

PRMを用いたことによりパートナープログラムや、マーケティング施策、営業支援などの情報をパートナーが気軽に見ることができるようになりました。そのためパートナープログラムの視聴回数は30%上昇、リード顧客の獲得やパートナーの満足度もUPしました。

こちらは、情報発信のページを一元化し、企業アップデートを配信したりして、オンボーディングを行っている事例です。SaaSプロダクトはUI/UXの変更や新規機能追加などもあるので、パートナーが迷ったら見れるサイトを制作するのも有効かなと思います。

詳細:https://info.impartner.com/resources/case-study-sungard.aspx

3.PRMを実践している日本企業

日本国内でPRMのツールを導入している企業はまだまだ数少ない様子です。
この章ではPRMの中でも「パートナープログラム」を構築、実践している企業をいくつか紹介していきます。

1. 株式会社マネーフォワード

士業事務所に対して公認パートナー制度を導入しています。パートナー・ベンダー双方のメリットがあり、非常に有効な紹介販売手法となっています。

パートナー制度により、士業事務所は専任担当によるサポート等の支援を受けられることが可能となり、またベンダーは士業事務所を通して顧客を拡大することができます。

詳細:https://biz.moneyforward.com/mfc-partner/about-member/

2. サイボウズ株式会社

情報提供・ツール提供・マーケティング支援など、さまざまなタイプのサポート体制を準備しています。また、パートナーの種類も2種類用意しており、気軽にパートナーになりやすいところも特徴です。

パートナープログラムの効果を促進するために、自社との連絡窓口の担当者の設置、活動報告書の提出、年会費の支払いなどを設定し、パートナーのモチベーションを保つ施策などの工夫も施されています。

詳細:https://partner.cybozu.co.jp/join/

3. 株式会社SmartHR

APIやWebhookを使ってサービス間のデータ連携を推進しています。例えば、社内の労務システムとデータ連携を行うことで、入退職時の定型業務等バックオフィスの効率化を図ることができます。

詳細:https://open.talentio.com/r/1/c/smarthr/pages/44977

4. 株式会社カオナビ

営業資料の提供やパートナー向けの勉強会の実施など、手厚い営業支援を行なっています。
協業手法も豊富に存在します。例えば、サービス連携やAPI連携などのパートナーシップを担当する「コネクトパートナー」、マーケティングや共同研究などのパートナーシップである「コラボレーションパートナー」、カオナビを活用した人事・人材コンサルティング領域でのパートナーシップを担当する「コンサルティングパートナー」最後にセールス領域の戦略的連携などのパートナーシップである「セールスパートナー」などが挙げられます。

資金支援やノウハウ共有、チャネル・サービス連携を行い、シナジーを創出するファンドの運営を行なっているところも特徴です。

詳細:https://www.kaonavi.jp/salespartner/

販売パートナーだけでなく、企業連携を行い顧客の確保や販路拡大を目指している企業も見受けられました。また、様々な施策を打つことでパートナーに対してもWin-Winの関係になれることは非常に効果的です。

4.PRMで成功するために

上記では様々な企業のPRMを紹介してきました。それぞれが独自の手法でアライアンスを行い作業の効率化や売上UPを目指しているようです。この章では、PRMを導入し成功するための要素をいくつか紹介していきます。

1. 先行投資を怠らないようにしましょう。

パートナーを開拓、契約、育成からある程度の効果が出てくるまでには一定の時間と費用がかかります。パートナーがうまく機能した時には、かけた分以上の価値が返ってくるため、先行投資として時間・予算ともに怠らないようにしましょう。

2. 強くて柔軟に機能するチームを作り出しましょう。

PRMはパートナーをサポートし円滑にやり取りを行うための戦略です。まずはベンダー側で強いチームを作り出し、柔軟に対応できる体制を整えましょう。代理店戦略においてまずはベンダー側が情熱を持って取り組むことが重要です。

3. フェーズを追ってPRM導入を進めていきましょう。

PRM導入を効果的に進めていくためには段階を追う必要があります。一気に進めていくのではなく、パートナープログラムの充実や代理店の開拓、育成、営業支援、分析などひとつひとつのプロセスを着実に進めていきましょう。

4. 実践し改善していきましょう。

PRMを導入後は、パートナー側からフィードバックや心配な点、問題点などを聞き出し改善していきましょう。これは多数のパートナーと連携する前に、テストとしていくつかのパートナーに協力してもらい確認していく必要があります。

準備や他社との連携、支援・改善など、やるべきことが多く一筋縄では行かないPRM施策ですが、段階を追って丁寧に進めていけば可能性が広がります。

参考記事:
Seven Elements of a Successful PRM Implementation 

さいごに

いかがだったでしょうか。海外ではPRMの一環としてPRMツールを用いて、作業効率化UP・売上向上・パートナーの満足度向上やモチベーションUPなどの効果を出している施策が多く見られました。

まだまだ日本国内では浸透しきっていないPRMやツールですが、気になる方は是非、今回紹介した導入企業を参考にPRMに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

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