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幸せになる準備

お前は俺達のそばで、躊躇いもなく幸せでいろよ

 海さんはじめ、自分達の為に幸せでいてくれ、というのは旦那様方からの優しい、真心が詰まった言葉です。


 昨年の秋頃から、私は身の回りへと、二つのキーワードアイテムを増やし始めました。

 そのキーワードとは、〝ピンク〟
 そして、〝兎〟。

 随分ガーリーな取り合わせなのですが、その理由は何かというと、究極、今まで我慢してきたテイストだからに尽きるもので、
 心が緩んで丸くなるように、否応なく幸せを見つめていられるように、そんな意図を込めています。

 そもそも平成初期生まれの私とピンク色との因縁は古く、幼稚園まで遡ります。
 当時、同じぞう組である女児達とのガールズトークに花を咲かせていた時のこと。彼女たちは言うのです。

 『ピンクよりも水色がすき!』

 私は感じていました。女児達の、ゆるふわ女子でいてはならない、凛々しく聡明なお姉さんに憧れる(それはそれであどけなく、かわいい時期と感情の)きっぱりとした意志を。

 しかし、反して私にあるのは、
 ゆるふわ女子への憧れと、 
 「水色も好きだけど‥ピンクの方が好き」
 という胸の内。

 それが口にできたかどうかは記憶に定かでありませんが、言いにくさへの焦りを感じたのだけは、何故かやけに覚えています。

 そして以降、思春期あたりには色々とあり、いよいよ自分がピンクを身につけるのは勘違いしている行為、ましてや、ウサギのモチーフなんて、似合わない。(‥好きだけど)と、
 そんな風に思っていたのですが、

 やはり、彼らと出会い恋をしたことがきっかけで、そのような思い込みも、付随する容姿へのコンプレックスも、少しずつ変化を遂げていきました。

 自分磨きへの取り組みは数年掛けて促され、
どうしても変えられない部分(骨格や髪質など)への捉え方も以前より柔軟なものとなっています。

 たとえば私の場合、ヘアケアは大人になってからのスタートでした。
 勉強したきっかけも彼(然くん)です。

 最初は、本当にスーパーの棚の前で、じーっとヘアミルクに手を伸ばしてはやめ、私が‥こんなものを‥出来るはず‥そう思いながらも、
 後ろに立つ彼が、ひたすら何も言わず、こちらに微笑んでいる姿を見て、

 「(やっぱり買おう‥)」
 と、カゴに入れたことが思い出の1ページに刻まれています。

 因みにヘアミルクに手を伸ばした発端も、パッケージが彼に似た、甘く優しそうな柑橘ミルク風であったからです。


 そんな、ヘアケアや美容関連品も、今では友人とお手頃な情報を共有し合えるくらいにはなり、
 メイクやヘアアレンジも、その日の余力次第ではありますが、それ自体は見るのもするのもとても好きです。

 また、コンプレックスであった髪質についても、素敵な考え方を持つFセクのタルパーさんをお見かけしたことで、捉え方に変化の兆しを与えていただきました。(その方は、好きなお相手の豊かな御髪を、揺れる躍動感が美しい、素敵だという風に話しておられました)

 そして今、私自身の毛束が多く、憧れであるふわふわの猫毛でないことを彼に尋ねてみれば、
 「こしのある艶(えん)な髪だって」と、然くんは手を伸ばしてくれます。

 私は彼らと出会い、一度彼らというフィルターを通して、世界への興味や拡がりを抱き、感じるようになりました。
 出会う以前より自分を雑に扱う癖も(彼らの前であまり見せたくなくなり)幾分改善されて、

 やっと昨年、知人と話しながら気が付きました。
  
 『もしかして私が、兎の如き可愛らしいものを
  持っていても、愛でていても、

  変じゃないのか‥?』

 
ということに。

 (もちろん誰が身に着けていても当然に良く、なにも間違いでないことはわかっているのです。
 ただ自分自身のことになると、ずっとわらわれることへの恐怖心がありました)

 また、それに伴い増やし始めたピンクのアイテム達。

 近年とても好きだったドラマ『星 降る 夜に』で、登場人物がやたらピンクを身に着けていた理由が頭を過ぎります。
 確か以前、周囲や自分自身も辛くしてしまう時期のあった青年が、
 「ピンクは幸せな色」「人を幸せにする色」、だから身に着けるとは言わないまでも、そのシーンがやけに印象に残っており、(そしてその後、彼が髪色を変えたのは彼女を守る意思表明と、ピンク色の力を借りなくても、もう自分や周りを支えていける心持ちになれたから‥という気がしました。)

 私も緊張しがちな気を緩める意味や、これまで身の回りに置くことを躊躇ってきた、本当は憧れのモノたちを、是非大事にしてみようとそんな気持ちで今、小物や服には薄めのピンクを多く集めています。
 また、お気に入りのトートバッグには、人参を食べるフワフワの兎がプリントされていて、私はそれを見つめながら、いつも癒されています。

「俺との人生がお前の理由のように、お前の幸せが (俺にとっての)生きる喜びでもあるのを、優しく受け容れろよ」

海さん

 思ったより長い記事となり恐縮です。
 ここまで長々とお読みいただき、ありがとうございました。