見出し画像

高校生ラガーのみんな、感動をありがとう

2021-22年花園が終わりました。

息子が花園に出たわけではなくすでに引退していたのですが、同学年の高校生たちの戦いを見守り、母としてはここでやっと一区切りです。

息子たちは、東京の花園予選で準優勝。花園には一歩、届かなかったけれど、充実したラグビー母ライフを過ごさせてもらいました。

振り返ると、3年前の高校受験では、どこの高校でラグビーをするかが、志望校の選定基準でした。

「花園出場」を目標にするなら、もっと強豪校に進学する選択肢もありました。実際、花園常連校にも合格したので、その高校での寮&ラグビー部生活を真剣に考えた時期も。

しかし、彼は自宅から自転車で通える成蹊高校を選びました。

その高校が東京都ベスト8のうち、ラグビー推薦がない共学だったからです。ラグビー推薦のある学校では、自分の試合出場チャンスがないかもしれない。強豪校であることよりも、自分が試合に出られる可能性を優先に考えたのです。

ただ、ベスト8だったのはその前の代の話。

入学したときに、ラグビー部同級生のお母さんから言われたことが今でも忘れられません。

「これからうちのチームは弱くなるわよ。私たちの代はダメなのよ。早くあきらめた方がいいわよ」、と。中学校のラグビー部ではモチベーションが高い選手、保護者に囲まれていたので、軽いカルチャーショックでした。

その後、2019年秋の都大会(花園予選)でベスト8を落とし、新人戦では1回戦敗退。2020年に突入してからは、コロナ禍が高校生ラガーを直撃。練習することもできない日々が続きました。

強豪校は活動を制限されながらも合宿をし、練習試合を重ねていたようですが、ふつうの高校の成蹊はそれもままなりません。結局、2020年、2021年ともに菅平合宿にも行けないまま、夏が終わりました。

迎えた2021年秋、花園予選の東京都大会。負ければ、3年生はその場で引退です。

無観客試合で保護者は試合会場に入ることさえできません。ただ、2020年も準決勝と決勝だけは有観客試合だったので、もし、準決勝まで勝ち進めば、最後に試合会場で応援できるかもしれない。かすかな希望を胸に1試合、1試合、応援してきました。

3回戦に勝ち、準々決勝にも勝ち、当初の目標だったベスト8奪還。そして、準決勝進出。私の想定通り、有観客試合も実現しました。

そこからは、もう、夢見心地の1カ月。急遽、チケットの手配やら、応援Tシャツ、手旗の準備など…。

そして、準決勝でも勝利し、彼らは私たちを決勝の舞台まで連れて行ってくれたのです。

夏以降の練習試合でも、あまり勝ち切れずにいたチームが、1試合ごとに、信じられないくらい強くなっていくのがわかりました。勝つことへのこだわりがそれほど強かったわけでもない部員たちが、少しずつ変わっていくのです。

入学当時、「これからは弱くなるわよ」と私に言ったお母さんも、「そう言ったの覚えてるよ。まさか、本当に決勝にまで来られるなんて」と信じられない様子でした。

ラグビーをするため、花園に出場するため、プロのラグビー選手になるためにここにいる部員は一人もいないチーム。それでも、ここまで来られる、ということを証明してくれました。

決勝戦では大敗を喫してしまったけど、彼らとしては立派な準優勝だったと誇りに思います。

決勝戦をJ-SPORTSで解説してくださった藤島大さんが、ラジオで成蹊高校ラグビー部に触れてくれてました。「『決勝戦で100点取られるとは何事か』。決勝戦しか見ていない人は、成蹊高校を弱いと思うだろうけど、準決勝の明中戦を見たら、間違いなくいいチームだった。自分たちの範疇にあるチーム相手にものすごくいい試合ができるのはいいチームの証」、と。

準決勝を評価してくださっていたからこその解説は、温かいコメントでいっぱいでした。ありがとうございました。

息子の場合、強い中学にいたからこそ、全国大会にも出場できました。ただ、強いチームだったからこそ、中学でラグビーを始めた息子が活躍するには厳しく、最後までスタメンにはなれず終い。

高校では2年生から正選手としてナンバーエイトで出場、3年生ではバイスキャプテンも務めました。2年前には1回戦で敗退したチームを都大会準優勝まで引っ張ってこられたことが、中学での全国大会出場以上に嬉しかったと言います。

高校入学当時は、必ずしもモチベーションの高くないチームメートたちに苛立ったり、チームに溶け込むのに苦労した時期もあったようですが、自分なりの場所を見つけられて本当によかった。そして、母たちにも都大会決勝の舞台を見せてくれてありがとう。

年末年始、花園の試合をいくつも見ました。中学のときのチームメートたちの出場試合はもちろんのこと、どの試合でも、これまで練習してきた選手たち、応援してきた保護者たちの思いが私自身の3年間と重なり、ついつい目頭が熱くなるのでした。

私も高校生ラグビー母はこれで卒業ですが、高校生ラガーたちからもらった勇気と感動を糧に、これからも頑張りたいと思います。

最後に、成蹊高校ラグビー部のマネージャーちゃんのinstagramをシェア。彼女の動画にもいっぱい涙をもらいました。そばで応援してくれてありがとう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?