「蛙化現象」の誤用はどこから?
N.D.Promotionの「Z総研2023年上半期トレンドランキング」によると、Z世代の流行語の一位として、「蛙化現象」が出たようです。この「蛙化現象」。
本来の意味である「両思いであるとわかった瞬間に、相手への好意がなくなってしまう。(冷めてしまう)」の、後半の「冷めてしまう。」が拡大解釈され、いつの間にか、「相手への恋が覚めてしまう現象」という意味になってしまいました。
ただ、この誤解はいったいどこから出たのでしょうか。Twitter,Youtube, Instagram などいろいろなSNSにを用いて調べてみた結果を表示したいと思います。
蛙化現象
実は蛙化現象はきちんと定義された学術用語らしく、2004年に、跡見学園女子大学教授・藤澤伸介氏が定義したもの(ただし、この定義は女性から男性へと限定されたもの)です。少なくとも、2~3年前のネットの反応(主にTwitter,Instagramを見てみても、「好きだったのに、冷めてしまった」といった反応が大半です。)
発端は2021年10月ごろ
「蛙化現象」という用語は、TwitterなどのSNSでは10年以上前から、確認されています。ただ、そこではきちんと、本来の意味で用いられており、今のような「誤用」では全く用いられていませんでした。
では、いったいいつからこのような誤解が広がったかというと、きりまる氏が2021年10月9日に投稿した以下の動画が発端であろうと思います。この動画は2023年6月17日現在261万回再生されており、再生数では全体で4位となっていて、かなりバズった動画と言えそうです。
フードコート、財布出す(どうやら一番多いらしい)などがまさに「蛙化現象」といえるものが多いです。
この動画では「蛙化現象」の定義の、「相手の好意を見せられると」という部分がすっぽり抜け落ちております。ただ、フォローすると、動画の概要欄で、
とかいてあり、原義と違うことは明記されています。(まあ、どうせ読まれてないだろうけど。) また、動画内でも、「歪んだ蛙化です。」と言っています。
この動画が大好評だったらしく、きりまる氏は「蛙化現象」に関する動画がこれ含め4つ作られていました。また、コムドット氏とのコラボ動画でも同じような内容を行っておりました。恐らく、この動画が蛙化現象の「誤用」の発端なのではないでしょうか。検索すると、「炎上」という言葉も散見されました。やはり、反発も大きかったのでしょう(コムドットのコラボ動画でも、コメントにかなり直接的な表現を用いた反発コメントが一番上に上がっていた。)。
ただ、こうした動画が投稿された後も、本来の意味での「蛙化現象」の動画はYoutubeで投稿されておりました。また、「誤用」していたとしても、それが本来の意味と異なること、そして本来の意味を併記していました。
その中で、完全に擁護できないほど誤用しているのがこの動画
この動画では「メニューを全部読む」など、がありますが、蛙化現象を躊躇なく誤用しています。ある意味、アンチ蛙化現象「誤用」派にとっては戦犯的動画です。蛙化現象の「誤用」を象徴する動画だと思います。
この後はぽつぽつと「蛙化現象」に関する動画が上がり始め、2月~3月ごろにピークを迎えました。Z総研の発表によるメディアの取り上げでこれからも増えるかもしれません。
アンチ「誤用」派にとっては残念なことですが、「理不尽な冷めた理由」の方が、動画映えするor再生数が伸びるため、今後しばらくは蛙化現象の「誤用」はSNS上では使い続けられると思います。「誤用」の発端の動画だって、炎上した(と言われていた)のに次弾が投稿されていますからね。
終わりに
以上が蛙化現象の「誤用」の発端です。蛙化現象の「誤用」についてはSNSではかなり批判されているものですが、言語の「誤用」なんて言語の歴史の中ではありふれすぎているので、私としてはどーでもいいと思っています。学術用語由来なのでそこが少し気になるくらいですが….(まあ、そもそも、蛙化現象が起きるような出来事が人生でない。)
あと、蛙化現象に関する実証研究、ほとんどない!!!(これくらい)
「よく、「自己肯定感が低い」とか、「完璧を求めすぎ」とか言われるけど、実際そうなのかな?アンケート調査とかやるとすぐにわかるのになー。」と思います。研究者さん頑張ってください!!
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