時間は確実に進んでいる

冬になると、他のどの季節よりも懐かしさを感じて戻りたくなるのはなぜだろう。「人肌恋しい」季節と呼ばれるだけあって、過去にも恋しくなる季節なのだろうか。


私は訳あってここ数年は毎年、年を越してから大掃除をする。今年もその季節がやってきた。掃除もするけど、物の整理をするのがわたし流の大掃除で、部屋にあるあらゆる物を掘り返し、残しておく物と処分する物に分ける。

そして今年は、オタクグッズの整理に手をつけた。今まではほぼ手をつけてこなかった。なのに今年漸く取り掛かったのは、思い出として今は少し距離のある推しや、またいつか再開する日があってもいいなと思いながら一旦の終止符を打った推しができたからだ。あとはInstagramで、ジャニーズグッズを買い取ってくれるサイトを見つけて捨てるのは心苦しいけど、必要としてくれる人の手に渡ってくれるなら気持ちのいい別れができると思ったから。

CDや写真、雑誌、うちわ、小物…ありとあらゆるものが出てきた。その一つ一つにちゃんと思い出があって、たった一つのCDにしても、うちわにしても、買った時の感情とか色々思い出した。冬に発売された物は冷たくてでもとても懐かしさを感じる香りがするし、夏は初夏と真夏で全然違う香りがある。

そんな風に辿っていたら、ちゃんと私のオタクの道があることに気づいた。オタクになってからまだ日が浅いと思っていたのに、振り返るとちゃんと道があってたくさんの景色を見てきていた。戻りたくても戻れない景色が山ほどあった。そんな景色を思い出しながら一つ、気づいたことがあった。それは、「好き」と言う感情も思い出すけれど、それは残っていたのではなくて、あの時のその人に向けた「好き」が恋しいのであって、今抱ける「好き」はまた別物であること。あの時の感情、あの時の距離感、あの時の熱量、に対する「懐かしさ」と共に感じたこと。ある一点の感情を思い出すことはできても、今から戻ることはできない。その時だけの、限定品。だから、振り返ってからより輝いて見えるのだろうな。

懐かしさは時に寂しさに感じる時もあるけれど、思い出した時、その時の感情が特別な物となり限定品であったことに気づいたことに私は幸福も感じる。今目の前の幸福に気づくのは難しいとよく言われるし、私もそう思う。でも振り返ったとき、あの時幸せだったと気づけたのならそれで十分じゃないかな、と思う。過去の幸せであっても今幸せを感じられるのだから。

同時に、懐かしさを感じるということは今は違うということ。今回の整理で、たくさん懐かしいを感じた分、時間は進んでいるなと強く思った。少しの寂しさと、それぞれの道を歩み始めた実感に対する大人びた感情。

整理していたら、8.8のDVDを久々に見たくなり見た昨夜。もうあの日は戻ってこない。悔しさも感じたけれど、あの日を境にトラジャは変わった。そしてもう、あの集いは実現しない。それぞれの道を歩み始めたから。

そして今夜から始まった五夜連続、5グループ合同企画(ジャニーズJr.チャンネル)。トラジャはこの2年で大きく変わった。スノストがいた時代のトラジャはもういない。自分達の夢が明確で、後輩との集まりではしっかりとしたお兄さん。トラジャの背中は後輩を見守る先輩の背中になっていた。これで最後かもしれない。トラジャがJr.内で合同企画をするのは。ふと感じたこと。この先の未来で、懐かしさを感じられるように今噛み締めよう。

時間が進むことは悪いことじゃない。止まらないなら、1秒1秒に刻んでいくしかないんだと、気づかせてくれた私の大掃除でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?