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企業にとってブランディングが必要になる6つのタイミング

ブランディングでやるべきことは、「BRAND」と「ING」の2つの要素に分けて考えるとわかりやすいという説明を以前しました。
BRANDは「あるべき姿を規定してカタチにする」、つまり自分たちの会社は何をめざしているのかを明確に定義し、それを言葉やデザインでカタチにするというアイデンティティ開発。INGでは、「あるべき姿をあらゆる活動を通じて、伝え、浸透させる」コミュニケーション活動と言えます。

企業がブランディングを必要とするタイミングは、まさにBRANDの部分、「あるべき姿」を明確に規定すべき時だといえます。では、そのタイミングとはどのようなときでしょうか。以下に主なキッカケを挙げてみます。

①合併や統合によって新しい会社が設立されるとき

企業が合併や経営統合をするタイミングは、社名が変わりますし、それにともなってロゴやスローガンを作り直す必要があります。そして何より企業文化の違う会社同士が一つになるわけですから、お互いの企業文化を尊重し、それぞれの企業の強みや特徴を融合させて新たなビジョンを掲げる必要が出てきます。

②周年時に、次代へ向けた長期ビジョンを検討するとき

50周年、100周年など、企業の節目に長期ビジョンを見直すタイミングでブランディングを強化するケースです。どんな会社も、創業時は「何のために起業したのか」といったミッションが明確です。社員100人くらいまでは、社長が全員の名前を把握できる人数ですし、社長と社員の距離もそれほど遠くはありません。社長が直接語ることで、社員にも会社のあるべき姿が自然と浸透します。
けれども歴史を重ね、事業が増え、社員が増え、組織が大きくなればなるほど、創業時のDNAを浸透させていくのは難しくなります。周年事業で、あらためて強みや価値観を確認し、将来のあるべき姿を導き出すことはとても意義のあることです。

③グローバル展開を加速するとき

事業拡大の一環としてグローバルでの事業展開を拡大していく際に、自社の価値をわかりやすく示したいと考え、企業ブランドを見直すことも多いです。国内では既に顧客が固定されていて、あらためて自社の存在や価値をアピールする必要性を感じていなかった企業でも、海外において新しい顧客や取引先を開拓しようとする場合は、自分たちが何をやっている会社でどのような価値を提供できるのかをわかりやすく示す必要があります。
また国内で使用していた商標が使用できない、またはネガティブな印象を与えるためにブランドを見直さざるを得ないときもあります。

④自社の事業領域があいまいになってきたとき

事業の拡大や多角化などで、事業領域があいまいになったり、業態が変化してきたりして、事業領域を再整理する必要が出てくることもあります。「〇〇工業」や「〇〇製作所」など社名に業態を示す言葉が入っている場合、時代とともに自分たちの事業領域が示しきれなくなってしまったために、社名の見直しを含めて自社のあり方を見直すときです。

⑤企業の転換期にこれからの成長戦略を検討するとき

社長の交代や新社屋移転、株式上場といった企業の転換期に、新たなステージへ向けた成長戦略の一つとして、また社員に新たな意識変革や活力を与えるために企業ブランディングに取り組むことがあります。

⑥不祥事や経営不振から企業イメージを一新するとき

不祥事や経営不振で、企業自体にネガティブなイメージがついてしまった場合、そのイメージを一新するために新たにブランディングを行う場合があります。問題が起こった原因を探り、自分たちの企業文化や組織風土を見直し、信頼回復に向けたシナリオを設計します。その結果、企業としてこれから向かうべき方向性を明確にした企業ブランドの再構築ができれば、マイナスをバネにして社員の気持ちをひとつにまとめることができます。


当然ながら6つのキッカケそれぞれが複数重なって、ブランディングに踏み出すことも多いでしょう。最近の例でいえば、「旭硝子」から「AGC」への社名変更などは、②、③、④のタイミングが重なったからではないかと考えられます。

いずれのケースにおいても、自社のあるべき姿をあらためて見直し、明確に定義する必要があるとき、つまりアイデンティティを刷新する機会こそが、企業ブランディングを検討すべきタイミングとなります。

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