陸上って個人競技?

私は陸上種目の中で1番リレーが好きだ。
4人で協力してタイムと戦う。あのバトンを継なぐ感じは何回リレーを走っていてもぐっとくるものがある。

リレー以外は全部個人競技。

高校2年生まで私はそう思っていた。
短距離だって長距離だって跳躍、投擲だって実際に競技する時は1人だ。
ピストルの音がなって走り出せばもう頼れるのは自分しかいない。いざ走る時は1人なのだ。

高2の春、先輩が引退してクラブのキャプテンを決める時期になった。男子から1人女子から1人選ぶことになっている。
話し合いの前日コーチに呼ばれ、キャプテンをやってほしいと頼まれた。
断った。
陸上は個人戦。自分の事でもいっぱいいっぱいで他に考える事を増やしたくなかった。自分の事だけに集中して最後の1年も過ごすつもりだった。言ってしまえば周りの面倒なんて見てる暇なんてないと思っていた。
私自身1人でいる事は好きだし1人でいる時間をとても大切にしている。周りからも驚かれるくらい他人に興味がないし没頭すると周りが見えなくなるタイプだった。その性格を自分でもわかっていたからキャプテンなんて到底向いてない。
次の日の話し合いで女子のキャプテンは私にすると発表された。え、昨日断ったのに。
そのあとコーチに呼ばれ、私は自分に集中したいという旨を伝えた。そうすると、お前は後輩と同期に背中を見せるだけでいい。やり方は変えなくていい。今のままでいろ。そしていつか自分の足りないもの気づくだろうと言われた。
その時は何も分からなかったし、今の私のままでいいのならということでキャプテンを引き受けた。
キャプテンになった事で後輩からの相談や練習を見てあげることが増え自分のやりたい練習が全然できなかった。1人1人に向き合う時間が多くなり、時にはチームのために言いたくない事も言わなければいけなかった。
今までは自分しか見ていなかった私が周りを見ている。チームのことを考えてる。そんな自分に私が1番びっくりした。
100mを走る時はいつも1人で戦ってる気持ちでしかいなかったのに、キャプテンを務めてから1人じゃないみんながいる。と走る前に自然と感じるようになっていた。
陸上は個人戦じゃない。その時そう思った。
それと同時に私に足りないものってこれだったのかと気づいた気もした。
キャプテンを任されていなかったら多分この事には気がつかなかったと思う。
一生陸上は個人競技。孤独なスポーツだと思い続けていたかもしれない。
私の陸上人生で最大の転機だっだのは間違いない。あの経験があったからこそ今の私が形成されていると思う。
正直陸上はチームの団結とかまとまりにそこまで意識を置く必要性はないと思っていた。
陸上が個人戦ではないと感じた時から、より一層チームの雰囲気作りにも気を配った。
この経験が私を1番成長させてくれた出来事であると感じている。