ファッション未開の地にどうやってファッション文化を根付かせるかを考える

 人々の多くが元来その土地にある衣類(民族衣装etc)などを身につけており、ファッション、特にファストファッション以外の存在感が全くない地域が世界には未だに数多くある。
(※ファストファッションですら多くの地域では都市部にしかない。)

 今、文化としてのファッション(本noteでは高級既製服(ready to wearとする))が急速に受け入れられつつあるのが中国だ。例えばラグジュアリー大手ECのファーフェッチ(farfetch)は中国EC第2位のJD.comから約436億円の資金調達をしている。また、ロンドンでコレクションを発表している「ザンダー・ゾウ(XANDER ZHOU)」や 「ライアン・ロー(RYAN LO)」、パリコレクションでコレクションを発表している「ユマ・ワン(Uma Wang)」や「プーマ」とコラボレーションした「サンクアンズ(SANKUANZ)」、2015年にH&Mのアワードを受賞し。H&Mとのカプセルコレクションを発表した「サイモン・リー(Ximon Lee)」など中国出身デザイナーの近年の活躍には目を見張るものがある。

中国出身デザイナーの手掛ける「ザンダー・ゾウ(XANDER ZHOU)」AW19ロンドン・コレクション

 中央アジアや南アジア、南米やアフリカなどの国々の多くが都市部でさえファッション文化が根付いていない。今回、中国に次ぐ人口を抱え、急速な経済成長が起きているインドを例に考えてみる。

 インドでも前述の通り、ファストファッションブランド(「H&M」「Forever21」「ZARA」etc)がそれなりの地名度を誇っている。ちなみにユニクロは2019年秋に出店予定だ。

※インドは外国資本に対する規制が厳しいため、海外ブランド進出が遅れてる。また、ここ数年緩和傾向にあったが、インドの小売業者がそれに反発しているという現状がある。

 インドのマーケットで前述のファストブランドは中流階級〜上流階級がターゲットなどがターゲットとなっており、現地で高級志向とされるショッピングモールに出店しているケースが多い。では、そのショッピングモール群で消費者の憧れとなるであろうハイエンドなブランドは何だろうか。私の知る限りではそれは「ザラ」、「カルバン・クライン」、「ジースター ロウ」、「ゲス」や「ポロ」あたりではないかと思う。

 インド全域で「カルバン・クライン」は約20店舗、「ジースター ロウ」は9店舗。一方、時代の先端をいくカリスマデザイナーを据えたラグジュアリーブランドの「ルイ・ヴィトン」は3店舗、「グッチ」は4店舗だった。(2019年3月現在)ちなみに「ルイ・ヴィトン」に関してはウェアを扱っている店舗はなかった。このことからインドの中流階級の人々はレディ・トゥ・ウェアを画面上以外で目にする機会はほとんどないだろう。ちなみにVOGUEやGQのインド版にも頻繁に目を通しているが、ラグジュアリーブランドは他国版と同様に頻出する。しかし値段の記載がなく、それはおそらくインド国内で買えないためだろう。※ナイキやアディダスなどのスポーツブランドのスニーカーなどインド国内で買えるアイテムには値段のキャプションがついていたりする。


インド国内の「ルイ・ヴィトン」件数

 よって中流階級の人々が目にする範囲で最も高価な“洋服”が「カルバン・クライン」や「ジースター ロウ」となるだろう。「ジースター ロウ」は想定よりも店舗数が少なったが、「カルバン・クライン」に関してはインドの大きな都市のほとんどに店舗を構えていることになる。

 以前、こちらの記事でラフ・シモンズの「カルバン・クライン」について書いたが、ラフ・シモンズは「カルバン・クライン」を統括し、彼のシグネチャーを盛り込んだカルチャーコンシャスなコレクションを発表した。が、業績はふるわず約2年間で退任となった。一部からは、“彼のコレクションはメーン顧客層には先鋭的過ぎた。”などと評されている。

 そして「ジースター ロウ」はいくつかの世界的なファッションコンテスト受賞歴のあるアイター・スロープがクリエイティブ・ディレクターを務めていた。そして彼も2018年に同ブランド退任している。

 この2つの事実が必ずしもそれを意味しないだろうが、ラフ・シモンズ、アイター・スロープ共に"ファッションから独創性と商業の関連が失われて久しいが、その復活の必要性を認めさせること"を在任中にはなし得なかった。もし、ラフ・シモンズの「カルバン・クライン」がビジネス的に成功していたとしたら、ファッション文化未開の地域を含む、世界中に高級既製服の文化が萌芽していたかもしれない。

 とはいえ、今回ファッション未開の地として例に出したインドだが、インド発のデザイナーズブランドがないわけではない。マスマーケットからのアプローチだけでなく、自国内で洋服文化が育まれること願う。

インド・ニューデリー発のストリートのエッセンスを汲んだデザイナーズブランド「Dhruv Kapoor」。デザイナーは「エトロ(ETRO)」で経験を積んでいたそう。

インドのストリートファッションブランド「huemn」


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Mabhi

25歳。ファッション、旅、音楽、デジタルあたりに関心がある人の雑記です。ファッションに関わる仕事をしています。ファッションの未来に興味があります。
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