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春の祭典

全て書き終えてからタイトルを決めるのだけど、図らずも春三部作。


新卒で仙台に配属され家探しをした日、不動産屋の車の中から見るからにフェスへ向かう列を見つけて調べて知ったARABAKI ROCK FEST.
よく名前を見るフェスだなとラインナップを調べるとOKAMOTO'S×黒猫チェルシー、髭、People In The Boxなどすぐにでも向かいたいほど好きなバンドがたくさん出ていて来年は絶対行きたい!と思ったのがアラバキとの出会いだった。改めて見るとフィッシュマンズ、GRAPEVINE、サニーデイ・サービス、ピーズなどもいて再現お願いしますと言いたいほど好きな人たち。

引っ越ししても毎年行って今年は7度目。アラバキの魅力を再確認しながら今年を振り返る。

まず湖畔公園っていうのがいい。マイブームは?と聞かれたら公園と答えたいくらい最近公園にハマっている。仙台は緑が多くて道が広くて空が広いところが好きだけど、1時間程バスに揺られればもっと開けた空と草原がある。所々に木陰があって毎年八重桜が見頃。今年はゆっくりできる時間があって初めて小川があるのも知った。

フェスと言えばフードも楽しみのひとつ。ビールが値上がりしている気がして、こんなところでも景気の波を感じてしまう。個人的にぎょうざのひぐちと南三陸の蛸の唐揚げは外せない定番で今年も安定の美味しさだった。牛タンや芋煮もあるから遠方から来る人にとっては会場で東北を味わえるのでおすすめ。

広い会場の中にアートゾーンがあるのも良い。この親子に写真を送ってあげたい。


やっと音楽の話。まず、数々のバンドに挟まれスターが来る。今年は森高千里のキラキラ、HYDEは圧倒的スターだった。1番大きな陸奥ステージにはモニターがあるのだけど、『HONEY』や『GLAMOROUS SKY』で歌詞が出る演出初めて見たし、誰もが歌えるのは本当にすごい、会場が沸くという現象はああいうことだと思う。移動時間的に難しく諦めたけど西川貴教も見たかった。

そして、アラバキ定番バンドの周年祝いステージやコラボ。今年は観たのはGLIM SPANKY10周年、the pillows35周年。ピロウズはベースがまさかの髭の宮川さんで個人的に嬉しかった。ゲストボーカルはSHISHAMO宮崎朝子、GLIM SPANKY松尾レミ、TOSHI-LOW。アンコールの最後にさわおさんが「ロックバンドの存在意義を考えるけど答えることができない。でも俺はやり続ける、好きだからね。好きなことをやろうぜ」と言って去っていったその姿があまりにかっこよく、紛れもないロックスターだった。

YouTubeで見れるピーズ30周年記念でコラボの雰囲気は味わえるので必見。

今年はBIG BEAT CARNIVALと称して亡くなった人達を偲ぶステージ。最初のMCで色んなロックスターの名前が挙げられていたけど、チバユウスケへの思いは会場のあちこちに掲げられていた。松尾レミが歌う『シャロン』がぐっときて思わず泣いてしまった。
昨年直前でThe Birthdayが出演キャンセルになり、初日陸奥ステージのトリになったELLEGARDENがアンコールで『涙がこぼれそう』を演奏して本当に感動したのだけど、今年は「チバさん、今日はアラバキの日だよ!」と呼びかけThe Birthday+細美武士で同じ曲を。そして最後のゲストボーカルである奥田民生がギターをかき鳴らし『世界の終わり』ベースはウエノコウジ、クハラカズユキが再び登場。こんなことってあるんだなと、特別な夜に感動が止まらなかった。


好きなバンドの対バン相手を観るのにフェスはもってこい、ドミコ、tricotを初めて観れて良かった。

例年よりもワンマンに行く好きなバンドが少なかったけど、アラバキでcinema staffを、しかも辻さんの誕生日に観れて嬉しかった!
シャドウ、フェノメナルマンを演奏して開口一番「アラバキまた出たいです」と言うほどの念願。ステージは違えどストレイテナーとELLEGARDENに挟まれ(どちらもさすがの貫禄と盛り上がりで良かった)裏ではアラバキ皆勤賞のTHE BACK HORN、飯田さんもそれを「そんなビッグなバンドに挟まれているのに、この時間、この場所を選んでくれてありがとう」と話していたし、cinemaを選んで良かったと心から思う良いライブだった。好きになって数年、ライブは数えるほどしか観ていないけど見る度にどんどん良くなっていてどんどん好きになる。少しずつ日が暮れていく荒吐ステージがぴったりで、野外が似合うバンドなのだと知った。『I SAY NO』の時、空にはうっすらと飛行機雲がかかっていて美しかった。

時期と場所のおかげで過ごしやすいのも魅力のひとつだけど、2日目は本当に暑くてもはや夏フェスだった。2年前は極寒の雪だったので、天候だけはどうにもできない。それでも、普段はインドアでも、アラバキだけは必ず行こうと思える大好きなフェス。細美さんがMCで「最近色んなことがあって、もしかしたらこれが最後かもしれないって思う。そんなことはないんだけど、そうかもしれないから」と言っていたけどそれはすごく共感で、その場所があるということ、そこに自分がいるということ、二度と同じにはならない瞬間、月並みな表現だけど当たり前じゃない。今年も行くことができて良かった。

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