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ZOODEX / 動物図鑑

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世界に動物は約100万種…かわいい魅力的な動物、摩訶不思議な生態の動物、ちょっと見た目が怖い動物など、全国の動物園で暮らす様々な動物にフォーカスして、ミニコラムをご紹介します🐼
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記事一覧

ネズミじゃないよ ハイラックスだよ

ゾウに近い? よこはま動物園ズーラシアではこのタイトルがキャッチフレーズとして使われているのを目にすることが多い。ブログでも担当飼育員さんからの熱い訴えを目にする。  実は、わたしも最初は「もふっとしたかわいいネズミ」という印象しかなく、数年以上も間違えていたことを今、ここで深く謝罪する。  しかし!安心してほしい。この分類については過去研究者たちも長年苦悩してきたので、わたしたちもうっかりしてしまうのも無理はない。  イワダヌキ目に属しているが、蹄のような平爪やゾウのような

ズーラシアでフォトウォーク開催します

来たる3月8日(日)… よこはま動物園ズーラシアで、フォトウォーク開催します。 特別な授業内容は特になく、広いズーラシアの園内をお散歩しながら、 とにかく魅力的な動物たちをたくさん撮り尽くす会にしたいと思っています。 現在、参加表明いただいているのは37名!開催目標人数は30名で予定しています。(団体お弁当注文のため) そして、スペシャルゲストで! な、な、なんと!SIGMAさんが参戦!! レンタル可能な望遠レンズなどもご用意して下さるとご快諾いただきました。 豪華すぎ

今年のおやつはコアラのマーチ

オーストラリアの先住民であるアボリジニ。 「コアラ」=「水を飲まない」という意味がある。 彼らはユーカリの葉から水分を取り入れるのだが、コアラ1頭あたりに必要なユーカリの木は100本と言われている。 日本の国土1/4の面積が焼失したオーストラリアの地で、10億匹以上ものコアラやカンガルーなどの野生動物たちが今回の山火事で犠牲となった。 さらに、火事で土地を追われ、水を求めて先住民たちが暮らすエリアにやってきた野生のラクダの5000頭が殺処分された。 連日見かけるニュース

オオカミの誤解

 わたしの大好きな旭山動物園で暮らしているシンリンオオカミたち。夕暮れの閉園間際になると、園内にゆったりした音楽が流れ出す。その音楽に合わせて、オオカミたちは一斉に遠吠えし始める。  アオォォォォーーーー…  どこか切なく、美しい遠吠えの大合唱。その歌声は大切な家族や仲間との絆を歌っている…  「一匹狼」という言葉 この言葉を聞くと、オオカミは単独で行動していると思うかもしれない。でも実はオオカミには群れ(パック)で暮らし、立派な社会がある。アルファと呼ばれるリーダーが

おっとり系と呼ばないで

 アクビと見せかけて ふぁ〜と大きな口を開けると、巨大なキバや真っ平らな大きな歯がよく見えるのんびり&おっとり系のカバ。つられて、わたしも大きなアクビをしてしまう。  見ているとのんびり眺めてしまうのだが、実はアフリカでは殺人カバとして有名である…獰猛なのは縄張り意識が高いためだ。ちなみに、先ほどの大きなアクビ…本当はアクビでなく、威嚇の可能性もあるのだ… (飼育員さんとのハートフルな交流はキュートさが爆発している!) 即逃げて 動物園にいくと、カバ周辺の看板には注意書き

真夏の対処法

パック必須なんです 真夏本番である。こりゃ、参った参ったと動物園の動物たちも夏バテをしている様子を見かける。動物園に行く前は、顔、首、肩、デコルテ、両手にいっぱいの日焼け止めを塗る。  同じように日焼け止め対策をするゾウは、市販の日焼け止めクリームを使わない方法がある。  日焼け止め対策  まずは長い鼻を使って、全身に水をスプラッシュ。  水浴びをして、上がった体温を冷やし、さらに乾燥肌対策にも効果抜群。  そして、次は泥パックになるように砂浴びを開始。  保湿効果だけで

犬じゃないよ

 モフモフなフォルムを持つプレーリードッグ。「ドッグ」と言っても、あの犬のことではない。なぜドッグとついたかと言うと、「キャンキャン」という犬の鳴き声に似ているからだと言われている。ちなみにその鳴き声は危険を家族や仲間に知らせる合図であるのだが、動物園の安全な場所ではなかなかこの声を聞くのは難しそうだ。この「キャン」という鳴き声の中に、危険を察知したモノの大きさや特徴などを伝えている。思っているよりもコミュニケーション能力に長けているのだ。 撮影場所:熊本市動植物園 人気

アニマル界のモデル

 9頭身、小顔、長い手足。憧れのナイスボディの持ち主、それはチーターだ。わたしはズーラシアで暮らしているチーターに初めて出会った時、そのあまりの美しさに心を奪われた。ガラス越しの前に横たわって、こちらをジーッと見つめているその透き通った瞳。美しい曲線美。どことなく妖艶な女性のような仕草を彷彿とさせると思うのはわたしだけだろうか、ゴクリ。 撮影場所:よこはま動物園ズーラシア  地上最速チーラン  スピードに特化したしなやかなバネのような身体で、広大な平地を猛スピードで駆け抜

死肉を食す者

怖がらないで 死体を主食とする鳥類と聞くと、どうにも気味が悪いと感じるだろう。わたしも当初動物園で出会った頃、なかなか愛着が持てなかった…ごめんね、ハゲワシ! 
 そういえば、同じ死肉を食べる仲間のコンドル…野毛山動物園でメスオスのカップルを初めて見たときに、メスにアピールするために3mの大きな翼を広げて、ディスプレイ(求愛行動)を必死にしている健気な姿を檻越しに思わず前のめりで応援してしまった。当たり前だが、コンドルも感情を持っている。死肉を食べているからって怖がってはいけ

モフモフの生き物

世界最古 初めて見たのは上野動物園の西園の小獣館。  薄暗いゾーンで、わたしは出会ってしまった。そして、急にハートを鷲掴みにされてしまった動物…そう、それはマヌルネコ。モッフモフだ。フォルムが究極のまんまる…まさに芸術的。しかも、この姿、実は1500万年前から一切形を変えていないのだ。NO 進化、NO 生存だったはずなのに、よくぞそのフォルムで生き抜いてきてくれた!多謝。 ◎ 撮影地 : 旭山動物園 雪の中はへっちゃらだけど モンゴル語でマヌル=小さなヤマネコの意味で、ア

背中にチャック

予想外の長さ 世界一小さいクマとして知られているマレーグマ。胸元を見ると、ツキノワグマとお揃いのオレンジの三日月型の模様が目に入る。角度によって太陽のように見えることから「Sun Bear」と呼ばれている。なんだかオシャレなあだ名だ。しかし身体の大きさの割には、とても長い舌を持っている。意外にもアリなどの昆虫を食べるときに活躍する。そして、鋭く大きい爪は木登り名人にとって必須アイテムである。わたしが大好きな天王寺動物園で暮らしているマレーグマは細い木の枝の上で、まん丸になって

遊びの達人

恐怖の食事 瞳がまんまるなカワウソ、人気の理由は全力のキュートさ。なんせこの写真でごはん3杯半くらいはいけると思う。さらに「キュ〜」「ピュ〜」という鳴き声を発せられたら、もうあと2杯くらい追加可能だ。 ◎ 撮影地 : 愛媛県立とべ動物園  しかしながら、動物園で食事シーンを初めて見たときは、シャッターを押す手が止まった。それまでのキュートさから人相(カワウ相)が変わってガツガツと貪っている雰囲気が野生感が溢れんばかりなのだ。 好奇心旺盛です 動物園には様々な小道具がある。

鎧を着た消防士

角の正体 巨体を揺らしてゆっくり歩くサイ。最初に目に飛び込んでくるのはやっぱり立派な角だ。"ざんねんな生き物辞典"で、実はこの角はただのイボだ!と掲載されて驚いたことは記憶に新しい。成分としては髪の毛や爪と同じだ。角が削れてしまっても、また再生される。   ちなみに、伝説のユニコーンは大昔のサイがモデルになっている。ということは、ユニコーンの角もただのイボということになるのだが、誰しもそれを許さないだろう。 ◎ 撮影地 : よこはま動物園ズーラシア 森の消防士 もし山火事

森のうっかり八兵衛

尻尾の使い道 これからやってくる暑い真夏…人間同様、井の頭自然文化園の”リスの小径”のリスたちもまた、夏バテでベタっとお腹をつけて涼んでいる姿を見かける。ちなみに、砂漠地帯で暮らしているリスたちもまた尻尾で日陰を作って体温調整を行なっていて、「リス」はラテン語でsciurus=「尻尾を日傘のようにする」、さらに古代ギリシャ語でskiouros=「自分の尻尾の影に座るもの」という意味がある。つまり、古代からリスたちは尻尾を巧みに操って生きてきたのだ。さらに雨や雪を遮ったり、眠る