囚われる・・・
「どうしても許せないんだ」
Kさんは、毎日、どうしても、憎い想いに囚われてしまいます。
頭で思わないようにしようと、チャンネルを合わせないようにしようとしても、それは一時的には出来たとしても、ふっと湧き出てしまう辛い思い。
街を歩いていても、家に居ても、目にしたり耳にしたりするものから、ふっと、予期せず思い出してしまう過去のシーン。
そこから連想してしまう様々な事柄が、頭の中を駆け巡り、胸を強く締め付けて煮えたぎるように出てくる、どす黒いもの・・・。
許せない、許せない、許せない・・・。
本当だったら、こんな今にはなっていなかったはずなのに、あんな扱いを受けるなんて。あんな裏切られ方をするなんて・・・。
度々、訪れるそんな時。
どす黒いものから行動しても、何も生み出せないのは痛感してきているKさんは、じっと堪えるしかできません。
どうすれば解放されるのか、楽になれるのか、答えは出ていません。
新しい恋をしたら?というだけでもないと、Kさんは感じています。
自分が、より自分らしく生きることを体現すること、その先にしか答えはないような気がしています。
いえ、気がしているというより、身体の奥のほうで確信しているようです。
それが、気の長い道のりを哀しみを伴いながら歩くことであったとしても・・・。
だからといって、まだ全身全霊でその道を歩みきるパワーが出てこなくて、痛みに押しつぶされないようにしようとして、放心状態のようになってしまう時もあります。
部屋をキレイにして、植物を育てたり、可愛い愛猫と遊んだり、穏やかな時間の中だからといって、辛さがないわけではありません。
辛い時、Kさんは空を見ます。
明るい空の時もあれば、どんよりと曇った空の時もあります。
雨降りや台風の時もありますし、時間が経てば暗い夜にもなります。
闇と光。
どうか光に向かっていけますように、と願いながら、笑顔と光の中にあった失われた日々が悔やまれてならない。
痛いほどの哀しみが全身を覆ってしまいます。
どうか、自分らしく生きていけますように、その先で新しい光がつかめますように・・・。
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