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米女性がAppleを視覚障がい者差別として提訴

5月に、当noteでApple社アクセシビリティページの問題点について書きました。

もともとは、ある視覚障がい者の方のツイートがきっかけでスクリーンリーダーで読み上げを試してみたところ、問題点が見つかったという記事でした。

あれから約3か月が経ち、これとは別にApple公式サイトが提訴されたという記事を2018年8月24日に見かけました。

Apple公式サイトは視覚障がい者差別?米女性がAppleを提訴

"視覚障がいを持つ米在住の女性が「Webサイトのレイアウトが障がい者のための法律に違反している」として、Appleを訴えていたことが分かりました。
スクリーンリーダーがうまく機能しない"

提訴した方の指摘によると以下のような問題点があったそうです。

・掲載されている画像が代替テキスト属性を有していない
・テキストを欠いた空リンクを含んでいる
・同じアドレス先に飛ぶ不要なリンクが隣同士に位置するなど

正直、アメリカのApple社よ、お前もか(薄々そうかもなと思っていたけど)という気持ちです。
英語版の記事はこちらになります。

Apple web design violates law, claims blind person (21 Aug 2018)

因みに、Webアクセシビリティで世界初の訴訟事例は、どこだと思われますか?

2000年開催のシドニー五輪がそれだそうです。判決の結果、損害賠償も発生しています。

A Cautionary Tale of Inaccessibility : Sydney Olympics Website

なおアメリカでのWebアクセシビリティに関する訴訟は今回が初めてではありません。

Karlというアクセシビリティのコンサルタント会社のウェブサイトには、Webアクセシビリティ直接関連する多数の訴訟および和解が掲載されています。

どれだけあったかを体感していただきたいので、掲載されているウェブページのスクリーンショットをそのまま画像で載せます。
この長さ、PCでも申し訳ないのですが、特にスマホで見ているかたは見づらいかと思うものの、どうか趣旨をご理解いただきスクロールして流してご覧ください。

なお、アメリカでの訴訟件数は年々増加しています。

2015年 57件
2016年 262件
2017年 432件 ※但し2017年8月15日現在

これは決して「アメリカが訴訟大国だから」ではなく、アメリカ以外の諸外国でも訴えがおきています。

日本ではWebアクセシビリティに関する訴訟例はないものの、国際的なルールがあり、こういった世界の流れとしてまた2016年に施行された「障害者差別解消法」然り、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてと、日本は関係ないやでは済まない状況にあると、思考を切り替える必要があるのです。

また、先ほど紹介したAppleが提訴された英語版の記事についたコメントにこのようなものがありました。

社会の人口動態が変化し、多くの人が高齢化するにつれて、それを受け入れるウェブサイトは、そうでないものよりもうまくいくでしょう。

日本は今や超高齢社会("高齢化"ではありません。既に65歳以上の人口の割合が全人口の21%を超えたので)、待ったなし。またWebアクセシビリティへの対応は急にすればコストも手間もかかります。その時が来て慌てて短時間でやるより、ほんの小さな事でもいい、少しづつすれば負担が軽くなるのは経験者として断言できます。

なお、Webアクセシビリティを遵守するとデザインが‥とご心配のかたには、ぜひ、2017年9月16日(土)にベルサール新宿グランドで開催された「Word Camp Tokyo 2017」でのスライドが参考になりますのでおススメします。

これだけは知っておきたい「Webアクセシビリティ」のこと

参考

・(PDF資料)「Webアクセシビリティ海外の気になる動きと日本国内の最新動向」(ウェブアクセシビリティ基盤委員会 講演資料2015年2月)
米国でウェブアクセシビリティ訴訟は増加の一途(アゴラ 2017年09月05日の記事)

(了)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド Cromwell ©moya

最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。