見出し画像

イギリス旅行記②

朝、目が覚めると外は曇り空だった。
「イギリスって本当に曇りが多いんだ……」と感動を覚えながら、朝食を済ませてロンドン塔へと向かう。

実際にイギリスに来て気づいたことだけど、この国(というかロンドン?)は地下鉄もバスも充実している。
しかも、オイスターカード(日本のSuicaとかPASMO的なもの)があれば、地下鉄でもバスでも大体は利用できるのだ。おまけにオイスターカードは、一日に一定の利用金額を超えると実質一日乗車券となるらしい。便利だ。

ってか、イギリスの二階建てバスって、観光客向けとかじゃなくって普通に市内交通として利用されているんだね。
ああいうバスは元々、「オムニバス」と呼ばれる二階建ての馬車に由来していると聞いたことがある。昔『イギリスの生活と文化事典』で読んだ。
オムニバスの場合「一階は屋根があって快適だから富裕層向け」「二階は屋根がなくて雨ざらしだから貧乏人向け」みたいな区別があったらしいが、流石に現代英国のバスは二階でも雨ざらしではなかろう……と思っていたんだけど、ロンドンを歩いていたら二台くらい二階が雨ざらしのバスを見かけた。なんで?

さて、ロンドン塔に着く頃には、すっかり雨になっていた。
しかし「イギリス人は傘を差さない」というのは、どうやら割と本当らしい。結構がっつり降っているのに、傘を差している人がすれ違ううちの二割くらいしかいない。
彼らを真似して傘を差さずにいたら、寒すぎて体調を崩した。頭痛がする。着込んでいるのに寒い。食欲は失せ、やや吐き気を感じる。イギリス人は特殊な訓練でも受けているのか?

脱線した。ロンドン塔は楽しかった。「イギリスに来てよかった」と思った。
ロンドン塔って、結構ヘンリー8世と関わりがあるんだね。あまり知らなかったから、ためになった。

叛逆者の門

個人的には「叛逆者の門トレイターズ・ゲート」を見られたことが嬉しかった。かのエリザベス1世にも、姉のメアリー1世に叛逆の嫌疑をかけられ、この門を通って幽閉された時期があるのだ。ちなみに、母アン・ブーリンも同じ門を通って投獄・処刑されたという。因果なものだね。

王の居室
セント・ジョン礼拝堂

中世イングランド王の居室やセント・ジョン礼拝堂も良かった。めっちゃファンタジーの世界に迷い込んだみたいだったわ。『ダンジョン飯』みたいな。

ヘンリー8世の甲冑

あとはホワイトタワーの甲冑の展示も良かった。私は空っぽの甲冑が性癖なので、甲冑の展示はワクワクしながら見て回った。ヘンリー8世の甲冑、良かったなぁ。
あと、でかいカラスがいた。近くにはカラスの名を冠した土産物屋やカフェがあった。カラスが稼ぎ頭なんだね。

(普段はほぼ撮らないから)写真を撮りすぎてバテた。

ロンドン塔からバラ・マーケットに行く途中からだんだんと頭が痛くなってきて、到着する頃にはグロッキーだった。
バラ・マーケット、てっきり屋外にあるのかと思っていたが、屋根の下にあった。それと、思いの外規模が小さい。あと、お土産にできそうな日持ちしそうなものは少ない。大体はその場で買って食べる感じだ。
それから、買ったものを食べられるテーブルとベンチがあるのだけど、その周辺に鳩ども(しかも人慣れしていて図々しい)が集っていて、人が落とした食べ物の欠片を啄んでいる。しかもあちこちに飛び回りやがる。私もダウンのフードに糞を落とされた。なんだよ!
ここで食べたミートパイが美味しかった。しかしケーキは甘すぎる。本当に甘い。暴力的に甘い。体調不良と併せて、私から完全に食欲を奪い去っていった。
いやーしかし、奥で売っていたパン、美味しそうだったなぁ。しかも結構安かったし。

イギリスに来て思ったことだが、安いものと高いものとがはっきりしている。
外食とか贅沢品は高い。日本の倍くらいはするだろうか?
一方で、イギリスにおける主食や生活必需品はかなり安い。パンとか肉なんかは、日本よりもだいぶ安いと思う。

さて、バラ・マーケットからポートベロー・マーケットに行く間に、体調はだいぶ回復した。おそらく、電車という暖かい場所で、しばらくの間座っていられたからだろう。
とはいえ、ポートベロー・マーケット自体には期待していたような収穫はなかった。平日の上に雨だったから、出店している屋台がほとんどなかったのだ。骨董品目当てにイギリスに出向くなら、やっぱり日時や天候に気を遣った方がいいということだろう。
それから通りの店を少し見たが、あれは日本でいうところの原宿に少し似ている。一言でいうと「キッチュな土産物屋」なのだ。良さげな骨董品店はあまりない。だから何ともいえない、少し損をしたような気分になって、念願の二階建てバスでハロッズへと向かった。バスの座席には、なぜかバナナの皮が落ちていた。

ハロッズで紅茶などのお土産を買う。
ただし、デパートだからかイギリスだからか、はたまたその両方か、物価は非常に高い。けれど煌びやかで、見て回るのが楽しい。
特にデパ地下的エリア(ハロッズの「デパ地下」はグランドフロアにある)は、日本にはないようなものもあって、見ているだけでも面白い。鳩やうさぎの肉を、ほぼ丸ごと売っている。うさぎ肉なんかは、特に元のうさぎの形がそのまま残っていたように思う。
歩いていると、ときどきめちゃくちゃかわいいものを売っているが、値段は大抵かわいくない。

オートミール・ビア

オールド・チェシャー・チーズという古いパブに行った。英語辞典を編集したサミュエル・ジョンソン博士にゆかりがあるという。「オーツ麦は、イングランドでは馬の飼料だが、スコットランドでは人が食べる」という記述が有名だよね。博士にあやかってオートミール・ビアを頼んだ。黒い。独特だが、結構飲みやすい気がする。夏目漱石はイギリス留学中、オーツ麦のポリッジのまずさに堪えかねて「ジョンソン博士はあんなことを言っていたが、最近はイングランドでもオーツ麦が食べられている。どうやらイギリス人は全員馬になったらしい」などと皮肉を言っていたはずだ。しかしこのビールは美味い。

肉をパイで包んでグレービーソースをかけたもの(料理名は失念)

あと、焼いた肉がパイ生地に包まれていて、そこにグレービーソースがかかっている料理を頼んだ。美味い。めっちゃ「想像していたイギリス」の味がする。ただ、外側のパイ生地の「炭水化物」感が、後から後からボディブローのように効いてきて、かなり満腹になる。

今日出かけていて思ったが、イギリスにいると、案外道ゆく人に話しかけられることが多い。
「〇〇駅に行くには、このホームから出る電車に乗ればいいかな?」とか「次の電車はこの駅には止まらないから、別の路線に乗り換えた方がいいよ」みたいな。
そういうお国柄なのだろうか? いわゆる「公共心」というやつだろうか? 何ともいえないが、面白く思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?