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イギリス→フランス旅行記⑥

本日はイギリスからフランスに向かう。

イングリッシュ・ブレックファースト

さて、イギリスでの最後の朝食だ。目いっぱいイギリスらしいものを食べよう……ということで、イングリッシュ・ブレックファーストである。
ブラックプディングとか初めて食べたけど、思っていたよりも美味しいな。

マーマイトはこれくらいでいい。これ以上は塗りすぎだ

あと、噂に聞くマーマイトも食べた。人によっては「クソまずい」と感じるらしいが……前評判を裏切って割と美味しかった。
多分「まずい」と感じた人は、マーマイトを塗りすぎなんだと思う。ホテルの人もマーマイトについて“very salty”って言ってたし。
これはジャム並みに塗りたくるものではなく、バターを塗ったパンの上にほんの少しだけ塗るものなのだろう。でないと塩辛くなりすぎる。

朝食を終えてホテルをチェックアウトし、モートン・イン・マーシュからナショナル・レールに乗ってパディントン駅へ。
パディントン駅からセント・パンクラス駅まで移動し、そこからユーロスターに乗ってパリへとやって来た。

凱旋門だ!

パリ、ロンドンよりもうっすらと治安が悪い気がする。
あと、全体的に景色とかちょったしたもの(鉄道駅の構造、改札の構造、エレベーターなど)が雑だし雑然としている?感じがした。

まず、鉄道に乗るのも一苦労である。
改札にて、駅で発行したナヴィゴイージー(フランス版Suica的なもの)をタッチするも、トランクを押していてもたついたせいでゲートが開いている間に中に入れず、途方に暮れた。フランスの鉄道は運賃先払い方式のようだが、とんだ無駄金じゃねーか……なお、駅員は近くにいないものとする。
そうしたら、通りがかりの兄ちゃんが出口ゲートの上に手をかざしてセンサーをバグらせ、無理矢理中に入れてくれた。キセル乗車の常套手段なんだろうね。でも、運賃はさっき払ったのでキセル乗車じゃないです。金払ってんのに中に入れなかったり、誰でもキセル乗車できたりするようなガバガバ改札を作るのが悪いんだよ!
ちなみに、パリの地下鉄を利用すると、ほぼ必ずといっていいほどの頻度でキセル乗車に遭遇する。というか、私がフランスに来て最初に見た「改札を通る人」がもうキセル乗車だった。一体全体どうなっとんねん。

それと、改札だけでなく駅構内の構造や案内なんかも無茶苦茶である。
運賃を払って改札を通ったのに、目当ての乗り場までになぜかもう一つ改札がありやがる。一体全体どうなってんだ。二回も運賃を払えってか?
あと、案内板に「A線・東 ↑」「A線・西 →」って書かれていたら、「ああ、東行きにはこの辺から乗れるけど、西行きはもうちょっと向こうなんだ」って思うじゃん? 実際には、東行きも西行きもほぼ同じ乗り場なんですけどね……なんでこんな紛らわしい表示にしたの……
この案内表示のせいで、たったの二駅移動するのに小一時間かかったわ。ちょっと勘弁してくれよ。

なんとか目的の駅に着き、地上に出る。
大きめの通りを少し下ると、うさんくさい押し売りがたくさんいる。アップル製品の箱らしきものを何個も持っている人間が近くにいたら、下を向いて目を合わせないようにしよう。うっかり目が合ったら何もリアクションせず、すぐに逸らそう。
それから、キョロキョロニコニコしていると観光客感丸だしなので、若干下を向いて仏頂面で歩こう。できれば暗い色の地味な服も着ておくといいそうです。フランスに留学していた知人が言ってた。
スリにも注意。私は貴重品の入ったサコッシュをずっとダウンの下に隠していました。

落書きとゴミも多い。少しでもスペースがあるところ(マスコットの像とか)は落書きされていることが多いし、道路に謎の金属片とか紙くずが落ちている。
私はおよそ二日間の滞在だけで、3回は犬の糞を見かけた。昔フランス語の教授が「パリとかめっちゃ犬の糞落ちてる。だが、フランス人はそれを指摘されると怒る」と言っていたが、あれって本当なのか!と謎の感動を覚えた。

それと、タバコを吸っている人が多く、煙い。そういえば、フランスの喫煙率(特に女性喫煙率)は今でも高いと、どこかで聞いたことがある。
何だっけ、二昔くらい前にタバコ会社が「喫煙は健康にいい」みたいな広告を打っていたんだっけ? ソースはないから、気になったら各自で調べてくれ。

蚤の市を見にクリニャンクールに行くが、残念なことにほぼやっていなかった。イギリスのポードベロー・マーケットもそうだったが、蚤の市は曜日などを考慮しないとさっぱりやっていないらしい。
フランスもイギリスも大抵はキャッシュレスだが、フランスの蚤の市だけは現金しか受けつけていないところがあった。
ソニーバンクウォレットのVISAデビットでフランスのATMを使う際、タッチ方式ではなくカードを挿入して操作するタイプだと、上手くいかないことがあった。気をつけてね。

クリニャンクール蚤の市の最寄り駅のブーランジュリーで食べたエクレア

ちなみに、飯はとても美味い。というか運がいいことに、この旅行を始めてからイギリスでもフランスでも「まずい飯」というものに当たったことはない。
フランスでは、何気ないカフェのカフェオレなんかがめっちゃ美味しかった。砂糖とか入れてないのに、優しい甘さがあるんだよね。
それに、お菓子(エクレア、ケーキ…)も甘すぎない。イギリスでもフランスでもお菓子を食べたが、個人的にはお菓子はフランスの方が美味しかったと思う。

めちゃくちゃ混んでいた。寒いし

あと、ルーブル美術館に行った。アホみたいにすっげー混んでた。観光オフシーズンの、天気の悪い平日なのに。
ルーブル美術館に行くときは、絶対に予約をしておいたほうがいい。大英博物館にもまして予約したほうがいい。
予約なしだと入場してチケットを買うだけで一時間くらいかかった。二月の寒空の下で待つのはきついし、本当に予約はとった方がいい。
ただ、大英博物館よりもはるかに予約枠が埋まるのが早いっぽいね。
フランスを旅行する人は「ルーブル美術館に行く」ということが決まった時点で予約しておくことをおすすめする。

ダヴィッド《マラーの死》。ダヴィッドの作品はプロパガンダ色が強いね。まあ、ダヴィッドって確かそれでのし上がった人だし……
《バッカス》あるいは《洗礼者聖ヨハネ》
《メデューズ号の筏》。下の手は子どもかな?
《ヴェールを被った女性》。薄布の表現にこだわりを感じるね

でも、ダヴィッドの絵とか、《バッカス》あるいは《洗礼者聖ヨハネ》とか、《メデューズ号の筏》とか、《ヴェールを被った女性》とか見られて良かった。
《バッカス》あるいは《洗礼者聖ヨハネ》って面白くない? ラクダの毛衣を着て荒野をゆく厳格で禁欲的な聖者が、ぶどう酒と酩酊を司る祝祭の神と重ね合わされるなんてさ。

《磔刑》。死せる肉体の表現が生々しい

ジョットの描いた《磔刑》とかもあった。
あれはキリストの十字架刑の表象における「神としての勝利」から「人としての苦悩」を経て「生々しい死せる肉体」へ至る変遷が見られる、貴重な作品なんだ。

《モナ・リザ》。見て分かる通りめちゃくちゃ混んでいるため、この絵専用の壁があるくらいだ

あと一応《モナ・リザ》も見た。しかし、《モナ・リザ》を生で見られた感動よりも、《モナ・リザ》周辺がクソ混んでいたせいで、後ろにかけられたヴェロネーゼの《カナの婚礼》をじっくり見られなかったな……という思いの方が強い。なんであんなに混んでるんだよ……

《Hermaphrodite endormi》
《Hermaphrodite endormi》。こちら側から見ると、雌雄同体なのが分かりやすい

それから、《Hermaphrodite endormi》というエッチで興味深い彫刻を見た。身体のラインは女性的だけど、よく見ると雌雄同体になっているんだよね。
これもギリシャ神話的な世界観がモチーフなのだろうか。雌雄同体とか両者の混淆・混乱・転倒といった要素は、キリスト教的世界観とは異質に思われる。

《ミロのヴィーナス》。混んでいた割に綺麗に撮れた
《サモトラケのニケ》

かの有名な《ミロのヴィーナス》や《サモトラケのニケ》も見た。
私は特にニケの造形が好きなのだが、ふと思う。「ニケに頭や腕が残っていたとしたら、私はこの像を好きになっただろうか」と。
ああいう彫刻は、欠けているところがあるからこそ却って美しいのかもしれない。「これこそが美しい女神の顔です!」と描写されてしまったら、もはや空想の余地がなくなってしまうだろうから。

本当に美しいものは「不在」なのだ。
絵画はその成り立ちの神話(これから戦争に行く青年の壁に映った影を、彼の恋人がなぞった)からして、描かれたものの「不在」を織り込んでいるわけだが──イメージが作品として「固定化」してしまった時点で、それは作品のモデルが元々持っていたはずの豊かな色彩、微妙な表情の移ろいを喪失する定めにあるのだろう。
つまるところ、私がニケの顔を想像するから、あるいは想像しきれずに漠然とした理想だけをそこに見るから、ニケは美しいのである。

さて、ルーブル美術館での鑑賞を終えたら、またパリを観光して帰ろうか。
ちなみに、シャンゼリゼ通りは割と綺麗で明るかった。歩道の脇に掃除マシーン?があったから、この通りは掃除に力を入れているのだと思う。まあ、観光客が真っ先に歩く通りだしね。
なお、その他の通りは先にも書いた通り薄暗く、ゴミと落書きが多く、謎の水たまりが多い。天気が悪かったのもあって、やけに湿っている。
しかし、そういうところも含めて楽しい旅であった。フランスって千年前から「理想」の国なんだよなぁ……これについては近々記事にしようと思っている。

そんなこんなで、飛行機に乗って無事に日本に帰ってきた。
ちなみにバターは液体扱いなので、トランクに入れておかないと手荷物検査の際に没収される(一敗)
というかバターに限らず、少しでも「これってどうなんだ……?」と思うものがあったら、空港に行く前(最低でもトランクなどを預ける前)にきちんと調べておくことをおすすめする。

また行きたいなぁ。
今度は地中海諸国(スペイン、ポルトガル、イタリア)か、東方(ギリシャ、トルコ、イリリア州)か、南仏か、オーストリアか……

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