魅RIン vs CHICOの日記

最近またMCバトル見てる
なぜならフリースタイル日本統一が面白いから
今週の歩歩vs KTR、どちらもあまりにもよくて、新三大初心者に見てほしいMCバトル更新しちゃったな!と思った
全国民に見てほしいけど、これはアベマでしか見られない
でもおれ新三大にいれてるミリンvsチコは擦られすぎてYouTubeで見られたから、今日はその話をする
ヒプマイのオタクも、MCバトル1mmも興味ないオタクも聞いてってほしい

これは2015年12月の出来事
この、たった1分の動画のことを何文字喋るつもりなのか

この試合があった2015年はフリースタイルダンジョンの番組放送が始まって、"MCバトル"とか"ラップバトル"が一気に市民権を得た年だった
ダンジョン1期だけ見てたって人もたくさんいたし、ラップのCMやアニメタイアップもめちゃくちゃ増えた
このMCバトル元年に彗星の如く現れた若手の最重要人物がこのチコカリート21歳
フリースタイルダンジョンに出て最初に4th stageのR指定まで到達し、その存在感に誰もが圧倒された
このR指定とのバトルも感動的だけど、これもアベマじゃないと見られない

バトルでこんな嬉しそうなRを見れたのは
この日が最後ですよ

件のチコvsミリンは、その2015年末に行われた戦極13章という大会の一発目の試合
カットされてるけど、司会が2人の名前を呼び上げた瞬間の盛り上がり凄かったんだから
「一発目からチコカリート!!!??うお〜おれたちは今日お前を見に来たんだよ!!!!」みたいなとんでもないボルテージだった

さらにこの試合のために選ばれたビートは「enter the dungeon」
これはフリースタイルダンジョンのテーマソング
ステージに立つ2人のラッパーはDJによって選ばれたBGMの上で戦う、拒否権なし
口開けの試合や決勝の試合とかは、過去の名曲や流行りの曲が選ばれることが多い
アニソンで言ったらアイドルくらいな感じ?今最もベタな曲って感じ
でもベタは最も盛り上がる、だってあのダンジョンに出ていたチコの試合なんだから

「先攻はミリン、後攻はチコ」
映像はここから
バトルは2ターン、ミリン、チコ、ミリン、チコって8小節ずつラップして良かった方に客が手を挙げる
手が多かった方が勝ち

あったまりまくった空気、思う
チコはすごい…じゃあミリンって誰なんですか?
当時ミリンは19歳、新潟に住んでいるラッパー、ミリンには悪いけど、チコに比べたら無名の若手としか言いようがなかった
この大会の客は特にフリースタイルダンジョン新規が多かったはず
チコは知ってるけどミリンって誰?、そんな空気だったと思うよ
この空気っていうのはとても重要、さっき言った通りバトルは客判定で決着がつくから
はるばる新潟からやってきてこの大舞台に立ったミリンにとって、最悪の相手、地獄の空気だったはずだよ

試合が始まる
瞬間、先攻のミリンが叫ぶ
「わかってねえな、わかってねえな!おれが今日は全員わからせにきたぜ!」

これ
いや〜もうこれが全てなんだよな…
自分は無名、相手はチコ、ビートはダンジョン、会場の空気、自分は先攻、勝つために何をするか
これしかない!!!!100パーセントの解答をミリンは瞬間で出した
この会場の盛り上がりを見てくれ
もう一瞬で風向きはミリンに変わった、客は正直

「わかってねえな」
これはただの叫びじゃない
チコの盟友である崇勲というラッパー、
今さっきゲストライブで出演した彼が披露した代表曲「わかってねえな」の引用
この引用をサンプリングというんだけど、どのタイミングで誰の何のどんな言葉をサンプリングするかはセンスが問われる
この「わかってねえな」はすごい
相手、ビート、会場全部、おれを、わかってねえよ!
観客が今さっき聞いたばかりのこの曲
瞬間、マグマのようにグラグラした怒り、まだ若いミリンの「覆してやる」という気持ちが会場全員に一発で伝わる、開口一番言ったのもいい
サンプリングの教科書に載せてください

そのあとの「戦極13章、おまえらも楽しんでけこの瞬間を」
もいい、韻も踏んでるし
自分は開幕戦の一発目に叫ぶ仕事を任されてる、今日の大会をどうするか、自分の役目をわかってる
そして最後の「あんたにのみぶつけてくぜ」もいい
客が何人いようがこの広いステージで戦うのはチコ1人なんだ

次はチコのターン、この真っ向勝負してきたミリンの先攻に対して何を言うか
チコは揺れない
「当たり前だろ、目の前にはオレしかいないんだからわかってねえな!」
まずさ…もうチコの声を聞いてくれよ
すげーとんでもない声だよ、やっぱラップにおいて声質と声量は超重要なんだ
この声で声量がのってハリも自信もがあるのが凄い
そのあとの「マイクロフォン、チェキ」からの流れのグルーブほんとに確実
そして最後の「2015、今年の顔だろ?」
そうなんですよね
間違いなく今年の顔だし、実際この2日後にUMBチャンピオン獲って事実上の日本一になる
やっぱチコつえ〜、空気はまたチコに流れる

2ターン目、今度はミリンのお返事
「2015も依然重要」
3秒前に聞いた言葉で韻踏めてえらい
このあとチコがグルーブ作るならおれだって面白いフロウできる、っていうのもケンカでいい
「揺らしてく新潟から、オレはわざわざやってきて…あんた沖縄」
ここ好き、なんかわざわざきたって言ったけどチコの方が圧倒的に遠いの気付いちゃったミリン面白い
思わず言っちゃうのもウケる、即興の楽しさ出てる
「オレはレペゼンNGT、目の前のチコさんR.I.P」
 
この韻踏みはネタっぽさあるけど新潟から…っていったから出てきたんだろうなって納得できる
これでミリンのターンはおしまい、ちょっと微妙だったかな…"わざわざ"って言葉はどうだっただろう、チコの返事を聞くのみ

最後、チコのお返事
「R.I.P、ワックなMCケツにキス」
R.I.Pみたいなよくでてくるワードの韻はみんないくらでも持ってるんだよな、これも反射で出てきてえらい、引き出しとかいうんだけど
「わざわざやって来たんならじゃあ帰っていいよ!」
"わざわざ"を見逃さなかったチコ、帰ってい〜よ!!がかわいい
ちなみに翌年末の戦極15章、同じく1回戦1発目の試合で出てきたケンザ390が「わかってねえなら、帰ってい〜よ!」って叫んでかなり沸いた
このサンプリングとかいう文化面白くてバトル見るのやめられない

話を戻して、そのあとの
「みんなその舞台に立つために来てる、地元背負って、マイク持って」
がとにかくポエムでいい、緩急がすごい
お前がわざわざ言いながらやってきたこの場所に、立ちたかったラッパーがたくさんいるのに…みたいな視点
オタクはこういうの言われると弱いんだよなって言葉を即興で的確に入れてくる
そして最後の一言
「抜けてきたぜフリースタイルダンジョン」
これを言われた瞬間ミリンがブンッて後ろ向いて歩き出すのが少し悲しい
負けたって思ったんだろうな
チコは地元を背負ってマイクを持って上京し、フリースタイルダンジョンで名を刻み、わずか1年でこのプロップスを得たんだ


さすがにチコです
チコの2ターン目のお返事があまりに核心をついてた
ミリンは負けてしまったけど、この「わかってねえな」は伝説的に流行ったし、ミリンのこの第一声があったからこれはベストバウトになった
バトルは戦いだけどセッションでもあるから、どちらが勝ったとか負けたとかどうでもいい試合ってあるんだよな
とにかく来て一発目にこれ見させられて「今日はすげ〜日になる」とみんな思ったと思う

これよりも自分が好きなバトルや、有名vs有名の超有名バトルは沢山あるけど、
これは2015年という年に起きたフリースタイルダンジョンというムーヴメント、無名と有名の戦い方、選ばれたビートの使い方、相手の出した韻を踏み返すこと、的確なサンプリングをすること、なんかいろんな要素が教科書みたいにハマってる良い試合だと思うから、なんも知らない人にまず見てほしい1本と思ってた

勝ち進む先で起きたチコvs晋平太もアツい素晴らしい完全なベストバウトなのでよかったら見てください 字幕ないけど…
https://youtu.be/IiQBK3Zeoxw?si=qbh7W8R1ZWESKniL

MCバトルって最高だな
機会があったらまた聞いてください
今日の日記はここまで


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