漫画版『仮面ライダークウガ』第11、12巻~神のいない虚無的世界で人はいかに生きるのか?~

漫画版『仮面ライダークウガ』も12巻まで出て、いよいよ折り返し地点に突入したようだ。

https://note.mu/a1fa_01mg/n/n0eb41fe1f79c

前回まで「未確認対策監視委員会」を立ち上げ、プロテクトスーツ「G3」の開発のために五代雄介と一条薫を抱き込んだ新谷ケイの手腕は見事だと言わざるを得なかったが、どうやらここに来てボロが出たようだ。

新谷は自身の好奇心からか、椿に対して五代のお腹に埋め込まれてるアークルの摘出を急ぐように念を押してしまう。
当然、椿としては了解するはずもないが、新谷としてクウガである五代は人間ではないので通常の人権は適用されないとあくまで彼をモルモットとして見做しているようだ。
五代の生命の危険を感じて椿は五代と一条を一刻も早く施設から逃がそうとする。
しかしそれと同時に保管していたガリマの検体も逃亡してしまう。
功を焦った新谷は逃亡しようとする五代から無理やりアークルを引き出そうとするが、逃亡したガリマの検体を自ら始末しようとして返り討ちにあった。

ここまでの話を聞いてなんで彼女が敗れたか大体お分かりであろう。
まず解剖医の椿秀一の説得を軽んじてしまった事と、ガリマ(グロンギ)の検体の保護と警備に掛ける労力を欠いていた事が挙げられるだろう。

そもそも心情的には五代&一条の味方である椿に対して、軽々しくアークルの摘出のことを明言するべきではなかった。
彼女の自信家であり、ある種の不遜さが本当の危機を危機として認識することが出来ず、ガリマの検体を逃がし直接闘いを挑んで挙句敗北…
(少なくとも、ガリマが逃亡した時点で施設を放棄して逃げ出すのが無難だった…

一方、11巻の新キャラで刑務所を脱走したアギトの一人、片桐章馬。
彼は幼い頃に母親に愛されなかったトラウマから女性を惨殺しては天使の様な化粧を施してオブジェとして各所に吊るしていく猟奇殺人犯。

偶然、カジノで駿河、翔一、ゴ・ガメゴ・レ、片桐の4人が鉢合わせたので、ポーカーの勝負を仕掛け負けたら次の試合で勝つまでゲゲルを中止するよう提案し、ガメゴも片桐も承諾する。
凶悪犯の弾丸を寄せ付けず、イカサマを使わずともポーカーで勝ってしまう凶運の持ち主である駿河は難なく二人を打ち負かしてしまう。

ガメゴは快く条件を飲み、次の試合に勝つまでゲゲルを中止するのだが、片桐は平然とその条件を破り猟奇殺人を続ける。
その様子を見たガメゴは片桐に憤怒する。

「勝負での約束を反故にするのか?
軽いなお前の言葉は

俺はリントから歴史を学んだ。
数々の英傑には敬意すら抱ている。
しかしお前は同じリントとして彼ら偉業を汚す者…

リントは病んでいる…グロンギにそのような者はいない…

反吐が出る!

そして、逆上した片桐をガメゴは一瞬で倒して腹のアギトの霊石を抜き取り片桐を変身不能にしてしまう…

ゲゲル…彼らの殺人遊戯は人間の側からしてみればタブーではある。
が、グロンギ達自身はゲゲルのルールについては堅実に守っていく者たちが多い。
むしろ、この世界の人間達は2巻で登場したカップルの彼女があえて自分だけ助かるために彼氏をビルから突き落としたり、片桐の件といいルールを平然と破るし、倫理(モラル)に対する認識が信じられないレベルで酷い人間があまりにも多すぎるような気がするw(まぁ、井上敏樹節だわなぁw


生物として欲望に忠実であり、ある意味での健全さ保っているのはグロンギで、人間の方こそ本来的な悪に近い存在であるという価値観の相対化がここでも繰り広げられる。

施設にいた五代が保管されていたグロンギの検体がガリマだと知り、衝撃を受ける。
惨殺した者の首を挿げ替えては暴れて回るガリマにはもうかつての様な美しさはなく、ゾンビの様に施設を徘徊するだけだ…
変わり果てたガリマと対面にしても五代は直も自分の身を捧げようとする。
それに呼応してガリマの意識の残り香の様なモノが五代に感化されたのか自ら浄化して消えていった…

五代は怒りの力で新たな形態、『ライジングマイティ』へとパワーアップして、ガメゴに再戦を挑み撃退するが…

その代償はあまりにも大きく五代は一条の元から姿を消してしまう…

小説版555にしろ龍騎でもいいのだけど、一見ビジュアルとして汚物や禍々しいものが登場するのだけど、それを文芸の力で何か美しいものに昇華していくとゆう表現は井上敏樹の一つの真骨頂といえるのではないかと思う。

打って変わって、一条とその妹の加里奈とバルバがメインの先代バルバ『ベルセス・バルバ』に纏わるエピソードが繰り広げられるのだが番外編的な意味合いが強いのでこの記事での説明は省略する。


榎田ひかりから神経断裂弾やナノ合金の刀を支給してもらい、翔一を徐々に自分の精神的な支配下へと引き入れ、次々とグロンギに対抗するカードを揃えていく駿河哲也。
やはりここで注目しておけなければならないのは、駿河と翔一の関係性である。
駿河にせよ翔一にせよ、互いを人格として見做してなくて特異な能力を認めた上であくまで利用し合うある種の互恵関係ともいえる仲で、これは互いに人格として認め合うがゆえにその弱点を突かれた五代&一条の関係性とは全く真逆のものだ。
この二人の関係性はまだまだ着地しそうにない…

翔一は駿河から高野玲子という地下アイドルをやる裏で猟奇殺人を繰り返すアギトの一人を監視せよと頼まれる。
そこで偶然出会った、地下アイドルの土倉さやかという娘。
コンビニ店員の妙なグロンギが偶々、トイレに置き去りにされた赤子を拾う。

どうやら、英雄(ヒーロー)のいない世界でも、この現実は嫌がおうにも動かざるを得ないようだ…










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