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『クレベルコイケさんの攻略法』

こんな話を歯科医の私が書いても誰も信じないかもしれないし、MMAファイターが目にすれば気分を悪くする人もいるでしょう。
皆さんを煽るようなつもりは毛頭ありません。
競技者としての皆さんとは違う視点で、クレベルコイケさんという鬼神を分解してみようと思います。

なぜコイケさんの“真剣分析”にやる気が湧いたかというと、昔からある程度試合を観ていて、“ふわっと”こんな特徴をお持ちだな、と文字化するほど興味のない興味くらいのものはあったのですが、2023年に金原さんがコイケさんを攻略したことで、俄然文字化することに大きなやる気を掻き立てられることになりました。

金原さんの試合で、金原さんが勝ったことで、仮説の答え合わせができるようになった。
金原さんはこのコイケさんの特徴をどうやって封じたんだ?

真剣分析してみました。
私にとって、非常に良い競技における全身機能の勉強になりました。
色々とこのことに時間が割けず時間が空きましたが、noteに書き留めておこうと思った次第です。

「素人が語るな」と気分を害する方はあえて読まなくてスルーしてもらいたいので、今回は有料にします。
気分を害さず、興味が湧く人はご購入ください。
私らしく、エンタメ性のない、小難しいことに興味のない人にはつまらない身体の仕組みの勉強よりの攻略法解説になっています。

この時点で気分を害する人。
一杯やってぐっすり寝てください。私のことなど、一眠りすれば忘れてしまいます。

では解説を始めます。

優秀なアスリート、優秀なピアニスト、それらの卓越者はそうでないものと比べ、脳を活動させる範囲が少ないことがわかっています。
専門的には“プロはアマチュアと比較して『一次運動野・補足運動野・前補足運動野・帯状回運動野で明らかに脳賦活化が現局される』”といった書き方になります。

逆説的に、単純に、言ってしまえば『脳活動範囲を多くしてしまえばパフォーマンスは鈍磨する可能性があるよ』となります。

脳に余計で下手な情報は送らないに越したことはありません。

例えば、いつもと違う“気になる”違和感がユニフォームやコスチュームにあるとか、テーピングの違和感とか、その関節の可動の違和感とか、視覚情報、聴覚情報、嗅覚情報とか。意識がいってしまうことなどは特にです。

また身体機能についての有識者の方ならば知っているかもしれませんが、視覚機能と脳との関係経路に『What経路』『Where経路』『How経路』という視覚入力により情報伝達に異なる経路が存在します。

また、緩急などに関わる視機能入力、それらの目の追い方からの脳への情報入力も経路が異なるので、パフォーマンス上のフェイントなどにも、相手の視覚機能から伝達経路への意図的な仕掛けで、全身に緊張や機能低下に導くなど、それなりに理論的正当に理由づけされるものがあります。


What経路/Where経路/How経路


簡単に説明すると、俗にいう視力検査に関わる瞳孔中央部(約2~3㎜範囲)からの情報入力は『What経路』を介し、止まっているものを見る物体視、形の認識、色の認識、長期記憶の貯蔵などで使用されます。
中央から離れた視力の低い周辺からの入力は『Where経路』『How経路』を介して、空間視、眼や上肢の制御、運動視、運動知覚、眼球運動などに働きます。

アスリートのパフォーマンスにより重要度が高いのは『Where経路』『How経路』と言えます。

集中して一点凝視して周りの景色など何も見えない状態でハイパフォーマンスなどできないことはよくわかるでしょう。
ボクシングでも、キックボクシングでも、MMAでも入場からface to faceまで、気合いが入り過ぎて、睨みつけて周りが見えてないように見える方がおられますが、裏腹に、そんな集中の用い方はその後のパフォーマンスに良い効果は何もありません。

右利きの人、右手の『巧緻性』と言いますが、左手の器用さとのアシンメトリー性が強い人(右手と比べて左手が不器用)の、右手、左手運動時の対側SMC(脳の感覚運動野)の平均賦活信号強度活動(脳の活動範囲、活動への刺激の強度活動)は右手運動より、左手運動で有意に高かった。というデータがあります。

要するに、人間には右脳左脳で役割が違う時点で全身機能や構造はアシンメトリーです。
そのアシンメトリー性は脳に送られる情報強度、情報により活動する脳の活動範囲にも及ぶ。ということです。

優秀なアスリート、優秀なピアニスト、それらの卓越者はそうでないものと比べ、脳を活動させる範囲が少ないということを今一度書いておきます。
このことから、脳を活動させる範囲が少なくて済むということは『エネルギー効率が良い』と置き換えられます。

『エネルギー効率が良い』ということは『パフォーマンス効率が良い』となります。

歴史を紐解くと、身体機能のアシンメトリー性を特化させてトップアスリートとして君臨した人達がいます。
思いつくところで、サッカー選手の中村俊輔さん/ボクサー、“神の左”の山中慎介さん、などは代表的な気がします。

昨今サッカーなどでは“両足が使用できるように”とか、右も左もいろんなポジションができる選手、ポリバレントな能力(複数のポジションをフレキシブルにこなせる能力)が求められたりします。
そのことから、機能にシンメトリー性を求めるトレーニングも多く拝見いたします。

①まずそのシンメトリー性に求める技術やパフォーマンスは、人間の基本として、アシンメトリー性の中で成立している機能、構造から考えると『違う特徴を持って使いこなせる』を目指し、『同じように』を求めるべきではありません。

②幼少期からの成長発育に関わりながら左右差を少なくする場合と、成長発育が終了した時点からそれらを求めるのでは、脳の学習に差があることが予測されます。
成長期を終えての変化を求める場合、『下手になる』、もしくは『下手な時期を乗り越えなければいけない、乗り越えれるかはわからない』という可能性が現れます。
それは成長期に関わっても同じか…。

③人には個体差があり、また、運動連鎖の中に尺側(固定に関わることの多い連鎖)と橈側(操作に関わることの多い連鎖)があり、さらには、それらにアシンメトリー性の差が極端にある場合があります。
私が歯科治療で患者を診る際に使用する評価の一つ(評価は複数で行わなければ信頼に足りません)に両手の母趾、小趾だけを折り曲げて3を作らせるものがあります。
これらをはじめとする末梢からの運動連鎖はもちろん口腔機能にも影響します(個体の全身機能の特徴は踏まえなければいけません)

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