カード

小さな遊び心


私が生きる上で最も大切にしているのは「遊び心」だ。
心に余裕があるときも、ないときも、
この3文字だけは忘れないようにしている。

年を経れば経るほどに
周囲は退屈な人間ばかりになっていく。

あまりにも遊び心を大切にしてきたせいか、
私は最近、生きづらい。

自分だけ、ひどく子供であるかのように思えることが増えた。
自分の周囲だけ、勝手に時が進んでいるように思った。

私も皆と同じく、
人生という名の道の上を、
普通に歩いているように思っていたが、

それは私の勘違いで、
私は道の上に、ひとり、呆然と立ち止まったまま。

ただ、周囲の景色が勝手に流れ去っているだけだった。

だけれども、私はこのことについて、
少しも気を落としてはいないのだ。

何十人かに1人くらいは、
こんな人間が居ても良いのではないだろうか?

私は、自分の存在を、面白く思っているのだ。
いよいよ、重症だ。

小さな遊び心さえ身につけていれば、
どんな世間からの逆風にも、ある程度、耐えることができる。

自らの手で悲劇を喜劇に書き換える。
これは案外、クセになるものだ。

身の周り数センチの世界を、
自分の都合よく塗り替えていく。

そうだ。
ちょうど今、私がハマっているゲームの話をしようか。

つい先日に始めたばかりのゲームである。
私は主人公の名前の最後に「さま」を付けておいた。

すると、どんなことが起こると思う?

味方はもちろん、
敵でさえ、私の名前を「さま」付けで呼ぶのだ。

不穏だった世界が、腑抜けな世界へと一変する。

たった少しの遊び心で、
世界はこんなにも面白くなるものだ。

くだらない。

いよいよ浮世離れ甚だしく、
そろそろ取り返しのつかない場所へと、
辿り着きそうな予感がしている。

大切に育ててきた、この「小さな遊び心」のせいで、
私は世から孤立しつつある。
しかし、格別に危機感を抱いているわけではない。
お気楽なものだ。

ああ、いやだ。筆が乗ってきた。
危険だ。

そろそろ止めよう。
もうこれ以上、何も書こうとするな。

夜に文章を書くもんじゃない。

翌朝この文章を読み返し、
自己嫌悪でいっぱいになる姿が目に見えるようだ。

早く寝たほうが良い。君も。

眠れないのであれば、
朝食のことを考えながら、
朝まで目を閉じていることにしよう。

さて、ここらでお決まりの締め言葉を。

「それもそれで、面白いではないか」


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