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Detroit: Become Human体験版

 ゲームは能動的なメディアである。どんなに伝える技術が発達しても、実際に遊んでもらうこと以上にそのゲームのことを伝える手段はない。
 体験版の配信は、最も手っ取り早いゲームのPR手段だろう。対象がハードの所有者であることなどの制限はつくが、その分購入に直結しやすい。

『HEAVY RAIN』は、私の生涯のメモリアルタイトルに列することができる一本だった。濃密な人物モデル。CGが最も不得手とする水の表現に挑んだグラフィック(結果も見事なものだ)。しんと胸の下に伸し掛かるようなストーリー。
 手垢のついた表現であるが、映画のようなゲーム体験に酔いしれた。
 そのスタジオが放つ最新作と聞けば、私が抱いた期待の高さは察していただけよう。主題となったのは人類が100年向かい合ってきた根源的恐怖。進歩しすぎたテクノロジーが人を超えた人を生み出した時、人はどう在るか、である。

 ゲームは三人称視点で進行する探索主体のアドベンチャー。体験版に収録されたのは、人質をとって立て篭もったアンドロイド(変異体)を相手に、あらゆる手段を講じて人質を救助することだ。ちなみに主人公(あなた)もアンドロイドである。
 大きく分けて『検証』と『交渉』の2パートに分けられる(あくまで体験版の話であり、ゲーム全体がそうであるかはわからない)。現場は既に変異体によって荒らされている。その痕跡から手がかりを掴むと、以後の交渉を有利に進める材料になる。分析、照合、再現など、アンドロイドっぽい科学捜査を駆使して、なぜ彼が凶行に至ったかを浮き彫りにしていく。
 なんか面倒そうだなーと思ってしまったあなたに朗報。本作はこのパートをまるっとすっ飛ばし、いきなり変異体と対峙して交渉することもできてしまうのだ。
 見事な自由度といえるが、無論徒手空拳で対峙すればそれなりに難度も上がる。腰を据えてじっくり進めるか、猛進を試みるかはあなた次第だ。

 本作の特徴……というより、HEAVY RAINでも見せた独特のインターフェイスは、開発社の発明だと思うのだ。
 例えばテーブルにナイフが置かれているとする。今までのゲームではプレイヤーが近づき、ボタンを押させることでこれを拾っていた。が、本作は近づいてから、右スティックを下にさげるなどの操作をして拾うことになるのだ。
 一手間増えただけじゃないかと思うなかれ、これが没入感を高め操作のストレスを見事に軽減している。
 例えばこれが窓を開けるという行動だったらどうだろう?当然人は窓を開ける時、手を右に動かす。これに準じてスティックを右に倒すことで窓を開けられるようになったらどうだろう?
 実体験に近い動きをゲームに落とし込むこのセレクト方法は、一度経験すると実に心地よいので是非やってみてほしい。

 体験版であまり語ると、本編をプレイした後語ることがなくなってしまうのでこのくらいにしておくが、とりあえず私は本体験版をプレイする前から購入を決めていた気持ちが、特典版にしようかと迷うほどになったことを書き添えておく。


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