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ムーミンパパとニョロニョロの旅はいつのこと?

ムーミンの物語の7作目の『ムーミン谷の仲間たち』の「ニョロニョロのひみつ」を読んでいて、ムーミンパパはいつニョロニョロと旅をしたのか、と疑問に思いました。ムーミンパパがニョロニョロについていくことについて、これより前の本に書いてあった記憶があったので探して考えてみました。

『小さなトロールと大きな洪水』および『ムーミンパパの思い出』に、以下のように言及されています。

「パパはいつもどこかへ行きたいと思っていたの。ストーブからストーブへと転々とね。どこにいても気に入らなくて。ある日、どこかへ消えてしまった。あの小さな放浪者、ニョロニョロたちと旅に出てしまったのよ」

『小さなトロールと大きな洪水』新版p.23(ムーミンママの台詞)

「パパはそのあとで、ニョロニョロたちと逃げたんじゃない?」
 と、ムーミントロールが聞きました。
 するとパパは、はずかしそうにいいました。
「まあね。そんなこともあったかな。だが、それはずっとあとのことだよ。でもそのことは本には書かないつもりだ」

『ムーミンパパの思い出』新版p.132(ムーミントロールとムーミンパパの会話)

「ニョロニョロのひみつ」には、パパが出て行ったことについて以下のように書いてあります。

 だれひとり、ムーミンパパがいつ出ていったか、はっきりとは知りませんでした。
 スナフキンのいうところでは、パパはヘムレンさんといっしょに、コイを取る網をしかけにいったようです。ところがヘムレンさんによると、そうではなくて、いつものようにベランダにすわっていたけれど、だしぬけに今日は暑いし、つまらない、それに桟橋を直さなくてはいけないといっていたらしいのです。

『ムーミン谷の仲間たち』「ニョロニョロのひみつ」新版p.176-177

「スナフキンのいうところでは」!?

ムーミンパパとニョロニョロの旅のことは1作目『小さなトロールと大きな洪水』ですでに言及されているわけですが、スナフキンにムーミン一家が出会うのは2作目の『ムーミン谷の彗星』なので、スナフキンがムーミンパパが出ていくところを見たという話は時系列的に矛盾しているのでは???

ヘムレンさんは『小さなトロールと大きな洪水』にも出ており、複数名いるので何とも言えません。

とはいえ、スナフキンとヘムレンさんの話は食い違っているので、スナフキンが記憶違いで話しているのかもしれません。

ムーミンたちとスナフキンが、記憶があいまいになってしまうくらい長く一緒にいたということなのかもしれません。

トーベ・ヤンソンが前後の物語の関係を厳密には設定しなかったということかもしれません。最初の三作品『小さなトロールと大きな洪水』→『ムーミン谷の彗星』→『たのしいムーミン一家』はつながりが比較的明確で、その後の作品はそうでもない、と思います。

ムーミンパパとニョロニョロが旅した時期は、いまのところ謎のままですが、読み直すこと、読み比べること、考えることはとても楽しいです。

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