モーターヤブ・コラム 答え合わせ付き(ニンジャ学会誌897号掲載)

説明:この文章はニンジャ学会 896号に寄稿したコラムです。
学会誌発行から半年の期間が経ったので公開しようと思い立ちましたが、ネタと本文情報が入り混じり分かりづらいったらない。野暮な気もしますが本文由来・元ネタを整理していこうと思います。引用ボックスが「コラム」です。逆なんじゃないか

タイトルが本文と違うのは「連載」の文字が誤解を招きかねないためです

連載:鉄塊なロボニンジャ  No.82 モーターヤブ(初期型/改善/後期改善型) 
Iron Roboninjas of the world Motor Yabu (initial /kaizen/late-Kaizen)

「作中世界で出版、ないし連載されているロボ忍者マニア向け読み物」…を想定して書いた文章。タイトルの元ネタは言うまでもなく、文林堂「世界の傑作機」シリーズです

これとかですね
 大判で写真が多く適度にマニアック、それでいて割と入手性が良い というミーハー乗り物ファンには大変ありがたいシリーズです。「世界の傑作ロボニンジャ」は少々クドかったので語感を優先、鉄塊としました

ロボニンジャへの道
 2030年代初頭のオムラ重工特車事業部の立場は微妙なものであった。電子戦争終結後、多脚戦車需要に陰りが見え始めていたのである。無論、この時点で「カイジュウ対策法案」は国会を通過、オムラ重工の株価は保たれていた。しかし、特車部提案の陸上装備-超指向性マイクロウェーブ自走砲「スブスブ」、49連装液体窒素ロケットランチャー「シロクマ」、並列制御による対カイジュウ・カラテドロイド「ダイダラメック」-は軒並み不採用となった。シバタ・ソウジロウ戦時政権下の外征指向と結び付け陰謀論を展開する向きもあるが、一部(あるいは全ての)突飛なプランが首脳部に嫌われた、というのが実情のようである。理由はどうあれ、売り上げの低迷は確実な状況であった。

一応、事実成分を抜き出すと
・「ゼロ・トレラント・サンスイの10年前までは電子戦争中

→軍需産業は景気が良かった事でしょう。企業のやることなので、国家総力戦のような在庫過剰もなさそうですし。

・キョウリョク・カンケイの艦内は大概に老朽化していた

それなりに早くから竣工していないと、汚れるまでの時間が稼げません。素養のある肩なら艦歴捏造だけで1コラムいけるんじゃないでしょうか。

これらの課題から「カイジュウ対策法案から特車部門が溢れ、新需要開拓を余儀なくされた」という筋書きにまとめました。空母の完成には5年程度かかるようなんですが、まあそのへんはスルーで。
ちなみに「特車」というのは、戦後日本で戦車を導入する際に「攻撃的でよくない」と考え出された<欺瞞>名称。本編世界はちょくちょく多脚戦車が出てくるんですが(サヴァイヴァーズ・デスパレート・エクスペディション等)民間運用例がほとんどないので厳しそうだなぁと。おとなしくスポーツ戦車作ればよかったんじゃないですかね。
 特車事業部が提案したの他兵器は「東映特撮常連兵器」と「KAIJU狩人」です。メーサー車、ポンポン砲ならともかく、イェーガーなんか提案されたらねえ…無論、並列直結操縦でしょう。モーターオムラの原案めいたニュアンスもなくはないです。

 『このままでは製造ラインは縮小、特車部の伝統が途絶えてしまう』このような危機感の中、特車事業部が打ち出した打開策。それこそが”ロボニンジャ”…すなわち、重火器とカラテを備え高い戦闘力を持つ機械じかけのニンジャ の開発であった。2030代に入ったネオサイタマは治安悪化の一途を辿り、アンタイブディストの放火、暴動、企業襲撃などの暴力に溢れていた。郊外においても『開発プロジェクト』に対するイッキ・ウチコワシによる威力業務妨害(少なくともオムラはそう呼んでいた)が増加、損害が広がっていた。この社内・社外双方の問題に対応するソリューションを用意、新たな特車事業部の柱とする…これが「ロボニンジャ」計画の骨子であった。

本編準拠なのは
・ブラックメタリストはよく放火をするし危険

拳銃では火力足りなそうですよね。仏敵とはいえ、殺生は徳を著しく損ねてしましますし…
・手法が確立されるくらい、ウチコワシは抵抗運動を指導している

同様の事例が相当件数起きてるのでしょう。オムラはやり口が強引なので当然の帰結だと思いますけど。それでも、事業としてやってるオムラにとっては無視できない状況のはずです

・カブラ=サンの反応を見る限り、この手の兵器は一般的でない

一般的なら事前訓練で対応するでしょうし、新概念の兵器なんじゃなかろうかとも思えます。

この辺から「内外の需要にあわせデザインした新兵器」という事にしました。何しろブラックメタリストはあの通りなので、警備機械は欲しいところでしょう。

検討の結果、このロボニンジャは  ①常人の三倍以上の脚力 ②4足/2足両用による安定・機敏性の両立 ③スモトリ程度のボディ ④ニューロチップを応用した新型コプロセッサによる高度な知性 ⑤"サンシタ"ニンジャ-本誌読者であれば説明は不要であろう-を圧倒するカラテ を持つものとされた。読者諸氏もお気づきの通り、これがモータードクロの源流である。
 この「完全新型ロボニンジャ」は相当な戦闘力を持つと試算され、社長・モーティマー・オムラと技術者を歓喜させた。しかし、未実証技術を用いた「革新的な機体」故に、開発が難航する事もまた確実であった。通常であれば「堅実な技術に基づいた機体」を並行開発するのであるが、モーティマー氏は例によって楽観的であり、「お気に入り」への苦言はセプクを言い渡されかねない。一計を案じた特車事業部は「急峻な地形に対応し、有事には武装可能な装脚ハーベスター」の名目でプライベートベンチャーを申請。「産業重機もモーター理念の恩恵を受けるべき。モーターヤッター!」と最大の厄介者から了承を取り付ける。このプロジェクトは「ヤブヘビ」 -古事記に由来する詮索不要の符丁である- と呼ばれ、出来る限り既存のコンポーネントを流用・開発期間を短縮する形で開発するもの、とされた。
 果せるかな、技術的課題に加え政治的問題(ヨロシサン製薬によるニューロチップ維持サプリメント価格吊り上げ、特別顧問ラオモト・カン氏の執着など)により、モータードクロ計画は仕様変更・遅延を繰り返した。ヨロシサン製薬のの対抗商品・バイオニンジャの完成に至り、流石のモーティマーも「ヤブヘビをベースとした武装可能な重ワーキング・マシン」の製品化を承認。2033年秋、”モーター”を戴冠したロボニンジャ・モーターヤブはロールアウトした。

後継機のドクロが先ナンデ!…待ってください、その驚きはごもっとです。この珍説は

・ロボニンジャ計画に対抗して始めた筈のバイオニンジャが先にロールアウトしている

・いち機種の開発にそこまで時間がかかるとすると、ヤブ→ドクロ間が短すぎる
・「モータードクロチーム」であってヤブチームではない
>別チームがいる…並行開発では?

これは兵器によくある「先進的機体」「保守的な機体」の組み合わせだ!


…という推理の結果です。未だに不明な「ヤブ」の由来にもなりそうなストーリーにしました。ついでに、モータードクロの謎機能「スシ・フィード」の由来も妄想して練りこんであります。どう考えてもスシ粉末を搭載すればいいですよねアレ
 ハーベスタ と日本語で言った場合、もっぱら林業用多機能重機を指します。ピストルカラテのウォーモンガーとは全く関係がありませんってば。危険なバイオ生物の跋扈するネオサイタマの森ならば、産業重機とはいえ、それなり以上の戦闘力が必要そうです。


各部
 前項の通りモーターヤブは本来「ドクロに対する保険」であり、既存技術・既成コンポーネントを極力流用して開発された。「完全新開発はAI程度のもの」とは開発担当者の言葉である。
 ベースとなっているのは電子戦争期の試作空挺装脚戦闘車「OAT-082」。パワードアーマー兵(ニンジャを想定していたとも)を機外にマウント、パラシュート無しの降下を実現、火力支援を提供する装脚車両で、今日基準で見ても優秀な機動性能を持っていた。流通資料の少なさと用途の異常さ故にマニアの間では「アルベルトのハウニブー」「フジ・ビッグフッド」「オム」などと呼称され実在から疑問視されていた幻の装備である。

本編情報がないため、全部考えました。たのしかったなぁ。考証材料はこんな感じです
・ジェット輸送機からのパラシュート無し空挺に耐える脚部の過剰性能ぶり

頑丈、とかそういう話ではないですよね…「そう作った」レベルでしょう。

・無人機のくせにしばりつけたモータルが衝撃で酷いことにならない

初めからこう作らないと、ちょっと考えにくいかなぁと思うのです

この2点から「元々こういう機能の必要な有人機だったんじゃないか?」と考えた設定が↑になります。歩兵戦闘車について簡単に説明すると「戦車くらい硬く、兵士がたくさん乗れ、デカめの機関砲で援護が出来る車両」のこと。

富士山麓のIP秘匿基地攻略を考えた場合、絶対に必要となるでしょう。一方でその外観は決して一般的でもないようなので「社用のみの特殊兵器」という事になりました。オムラならやりそうでしょ、パラシュート無しタンクデサント空挺。アフター月破壊では「洗練」された会社ですら近いことをやってますが、ニンジャでもないと不可能でしょう。


 ハウニブーはおなじみ「ナチスのUFO」。オカルト兵器の定番ですね。そのうちプロフェッサーKが持ち出す事でしょう。「オム」の方は旧日本陸軍試作重戦車「オイ」のもじりです。長い間全体像が不明で「日の丸UMA兵器」状態だったのですが、近年図面が発掘され完全な形での立体化がなされました。オオオンファインモールド!オオオンファインモールド!

 その脚部は無骨な逆関節方式で、標準姿勢で機体高の半分を占める大掛かりなもの。半ばロストテックと化した制御技術(火砲の駐退機由来と言われる)により常人の三倍では効かない極めて強靭な脚力を発揮する。その健脚ぶりは相当なもので 装輪車両に匹敵する機動力、パラシュート無しでの空挺降下、吹き抜け構造のビルディングを三角飛びで踏破 などニンジャの名に相応しい運動能力を誇る。戦闘サイバネ向けパーツを積極的に用いる事で製造コストを低減、装脚機の課題である価格をクリアしている。

ニンジャの最低条件とされる事も多い「通常の三倍の脚力」。モーターヤブの場合、ここは確実にクリアしています。ドクロはどうかなぁ、ドラグーン辺りはジャンプパンチ決めてるので案外強いのかも。商用オフザシェルフ(モニタとかに専用部品ではなく民生品を使う)でコスト低減!も近年のトレンドですが、そもヤブは民生機なので、そういって良いのか否かちょっと微妙…

本機の弱点として広く知られる「脚部関節の継ぎ目」であるが、これは解決可能ではあったが、政治的な問題により「残された」ものである。ヤブヘビ段階では「重機らしさが失われ追及リスクが高まる」、オムラでは「火力に関係ない」、オナタカミ時代にも「ドラグーンとの競合を回避する」と、先送りされ続けていた。

定番の弱点・脚関節部。メカに定評のあるキルズでは、サイドスカートで防弾処理してありましたね。フジキドも転ばせる、弾倉を誘爆させる、などの工夫を余儀なくされ大変そうでした。

 よく「頭」と認識される部位は索敵レドームである。通常の周辺環境走査の他、対ジェットパンクス戦闘時の索敵、射撃完成、跳躍時の測距に用いるほか、隠し芸的に気象レーダーとして動作させる事も可能である。尤も胴体から直接手足の生えるデザイン故、どこを「頭」と呼ぶのかは中々難しい所である。

モーターヤブの「頭」問題。ニンジャがちょくちょく攻撃してるんですが、イラストを見ても何処だかイマイチ分からない。おまけにこの頭ときたら「回る」し「スイカめいて割れる」んですよ…。キルズともなるとリアルロボット路線が先鋭化、それらしきものがすっかりなくなっています。アニメイシヨン ではちょこん と付いてましたっけ。執筆後に「エリア4643」版モーターヤブも出たんですが…頭、何処なんだろなァ。ドクロはカンタンなんですけどね。一番出現頻度の高いオムラ製品でありながら、大分読者のイマジナリを試す仕様となっております。

兄者版はこちら

被弾率の高い前・側面装甲には特殊なカーボンことカーボン・ナノ・タタミを使用。イッキ・ウチコワシの戦闘マニュアルにおいて「通常兵器での貫徹は不可能」とされた程の耐久性を備えている。コスト対効果の観点から、上面は均質圧延鋼鋼材が用いられている。

さて装甲。意外な事に「特殊なカーボン」ことカーボンナノチューブ はニンジャ名鑑準拠

  何しろぴょんぴょん跳ね回るロボだし、RPGに耐えるし…軽量で頑丈な素材である事に違いはないでしょう。やっぱりオムラは戦車道を推進してV字回復すればよかったんじゃないか
一方で頭部へ馬乗りになったニンジャスレイヤー=サンがカラテでひしゃげさせているので、最低限、上面は金属製の筈。トップアタックの危険性は殆どなさそうですし、多分ただの鋼鉄でしょう。オムラが軟弱なジェラルミン持ち出すとも思えんし、ましてチタニウムなぞ…

 両腕部はモジュール化され、サスマタを始めとする各種装備(後述)に対応。エンドユーザーのレベルで換装が可能で、戦闘中パージも可能となっている。尤も、落下破損による修理コストが甚大である(例外なくオムラ社直送となる)ため、投棄禁止設定で運用される事も珍しくなかった。後のオナタカミ・ヤブでは禁止設定で出荷されるよう改められている。

腕部パージのシーンも スシ・アット…で初披露。妄想じゃないんですコレが

カッコイイギミックなんですが、尺の都合か殆ど出番がありません。本編登場のほぼ全機がガトリング&サスマタ 装備なんですが、一応マシンガン機も出てきます(後述)

AI・制御系
オムラ製初期型モーターヤブの挙動は、粗暴で極めて危険なものであった。被害を全く考慮しない戦闘行動、投降兵に対する攻撃(それも、投降了承を示してから)、味方に対する積極的攻撃、文字通りの「暴走」など、事例を挙げればきりがない。当人は「賢く強い」と言って憚らなかったが、2033年当時の基準で考えても相当な「ぽんこつ」であった。
 無思慮な振る舞いからは想像しにくいのだが、ハードウェア上は十分な性能が確保されている。メインプロセッサは最高級オイランドロイドに用いられた「タカシマダ203」ベースのカスタムチップで、ロボット三原則指令を無効化、戦闘意識とベーシック・カラテをHWレベルで搭載している。ソケット互換のオイランドロイドに流用したところ非常に高いカラテを発揮、モーターカワイイの原案になったという。

少なくともメインチップはエトコ=サンと互換があるんですよモーターヤブ。これを不十分な処理性能、とは言わせない

暴力行為がアンロックされたあたり、チップレベルで倫理規定が実装されてる気がするのだなぁ。エシオ=サンの制御とかは例外扱いで

 問題の原因はソフトウェア…AIの出来がすこぶる悪かった事にある。オムラ社は旧世紀マイコン戦国時代の遺恨からペケロッパに敵視され、高度UNIX人材が常に不足していのである。貴重な非ペケロッパ高度UNIX人材は「稼ぎ頭」のオイランドロイドに専念せざるを得ず「予備機」たる本機の開発に回す余裕も無かった。当時提携関係にあったピグマリオン・コシモト社製AIの搭載も検討されたものの、財務状況悪化の一途を辿っていたオムラにとって、安くない「ライセンス料」は許容できるものではなかった。

 「オムラ製品はなぜポンコツなのか」「割に口座ハッキング対象となりにくいのはなぜか」というのは、地味に難問。確かにオムラ社はジャポネスクな労働環境でアレなんですが、より割を食ってるだろう下請けのオナタカミとかに行きたがる理由…宗教上の問題以外はありえないでしょう。X68000は実際宗教になりましたし…。忍殺日本マイコン競争もきっと、最終的にはメガトリイの持ち込んだ黒船ワールドスタンダードUNIXによって決着がついたんだろう…などと妄想しています。そのうちシャードで来るんではあるまいか

 余談ではあるが本機には「メンテナンスモード」の名目で手動操縦機構が搭載されている。歩行戦車時代の操縦機構をそのまま残したもので、テンサイ級のタイプ速度があれば「LAN直結パワードスーツのように」自在に操縦が可能だったという。メーカー出荷時テストでは「想定環境と相違が大きく暴走の危険がある」として全機このモードでの検品が行われていた。

ハッキングで存外自由に動かせる 問題への回答は「鉄人28号方式」。直結ならともかく、キーボードから制御可能となると自力でフィードバック制御している訳でははなさそう。「そういう半自動モードがある」と考えるのが自然かと思われます。ネオンの街にガオー

ウェポン・システム
 産業重機の系譜にある事、および多様なミッションに対応する必要性から、本機はモジュール式の腕部を備えている。装備換装によって多彩な任務に対応可能である事がセールスポイントの一つだった。ただし、出荷期の8割強は右腕サスマタ・アーム 左腕:ガトリング の「重モーターヤブ」形態で出荷されため、意味のある機構だったのかは疑問である。

「重モーターヤブ」の初出はコレ マシンガンヤブもここが初出なので、製品名にアクセスできるタダオ視点ならでは…といえるでしょう。

 ■30mm6砲身ガトリング
 モーターヤブの武装で真っ先にイメージされるのはこれだろう。30mm/165mm弾を使用、火力用途向けにAPDS、HE、二次被害防止用の減装弾が用意されていた。

 公式に口径設定はありませんが…どのメディアでも相当デカく描写されてるんですよね。実用されている中で最も大きい30mm径をチョイス。

ただし、二次大戦からY2kまでの日本ではこのサイズの砲の運用実績がありません。当然需要もなく、新規開発が行われる事もない筈。なので「冷戦終結後に旧東側諸国からIP・製造設備を二束三文で買い漁った」「ライセンス料を嫌い西側ベースの砲は消えていった」という脳内設定を追加、東側規格の30mm/165mmに登場願いました。オムラ社のマシンガンもAK47の末裔に違いない・・・!

元来艦載対空砲だったものをFCS:火器管制システムごと流用している。大口径弾と発射レートの恩恵で非常に火力が高く、即席バリケード程度はショウジ戸同然。ただし、初期モデルではFCS-AI間での「相性問題」があり「投降受付した捕虜に対し射撃を行う」という看破しがたい挙動がまま見られた。


この手の大口径ガトリングといえば航空機関砲かCIWSと相場が決まっているわけで、ヤブの使い方に近い後者をチョイス。幸い、ロシアのそれは30mm砲なのでそのまま採用しました。

 ■電磁サスマタ
 近接戦闘用に用意された堅牢なサスマタである。転倒時には起立用の杖としても用いられる。


起き上がった描写はあるんですが、使ったかどうかは不明です。でもさぁ、杖、必要でしょう?

 ピストン機構によって繰り出されるツキはカラテ20段を優に超え、電磁ショックにより重サイバネ者も一撃でノックアウト可能である。このサスマタにはAEDモードが存在し、なんと本当に心肺蘇生が可能である。もっとも救命以上に「暴徒鎮圧設定下での電磁ショック攻撃を全て蘇生行為として記録する」欺瞞プロトコルの一部として活用された面が強いのだが。

「忍殺史上最も頼もしい欺瞞」として有名なサスマタ電気ショックです

出所はここです。ログに「AED」と書かれれば誰も追及しないでしょう。ネオサイタマだし

 ■23mm 複砲身機関砲ポッド
 前述のガトリング砲の取り回しが困難であったり、過剰火力となる場合に向けた装備である。二門のマシンガンが交互に発砲する珍しい形式で、ガトリングと違い初弾発射までのインターバルがないというメリットがある。

マシンガン装備の機体、いることはいるんです

 当初の計画ではこの機関砲ポッドx2 がモーターヤブの標準装備であった。しかし、モーター理念に染まったオムラ営業マンは重モーターヤブのみを熱心に売り込み、またユーザー側にも23×115mm という融通の効かない実包が嫌われたため、出荷されたのはごく少数。旧オムラ倒産時に初期ロットが在庫されている有様では「洗練」を標榜するオナタカミといえど(本来の有用性を承知で)ディスコンとせざるを得なかった。

いることにはいるんですが、絶対数が少ない。訓練標的になるようなデッドストック品なんだろうな、という考えから「売れなかった」事にしました。
 二連式 としたのは、モーターヤブのモデルと目される「ED-209」がそうだから


そして、現実世界にも「交互に発砲する2連機関銃」は存在します。「ガスト式」というんですが、これも東側で発達した方式。例によって買い漁ったパテントそのままに作った結果、専用砲弾を要求する難物になってしまった…というわけです。

30mmは並ぶものがないので割と売れたでしょうが、23mmには競合の20mm弾が存在します。みんな大好きバルカン砲の弾だ!

大差無いのに互換の低いモノってまず売れないんですよね…ベータとか、メタルテープとか、HD-DVDとか。いやメタルは良い音しますけど
「威力が過剰な場合」とか言ってますが、23mmはおろか12.7mmでもリーサルな威力を持っています。しかしまあ、その辺は60mmでも豆鉄砲扱いなロボット業界の法則が適応されています。だってオムラだし

 ■ライオット・シールド
 プラント通路など「遮るもののない閉所」で用いる盾。通常、サスマタと排他で装備する。発端は「ロボットには盾が必要」という具体性の無い案だったのだが、サスマタを振り回せない環境でのカウンターウェイトとして有用なため、カタログに掲載されていた。利率がどの兵装よりも高かったため「火力に影響しない」割に熱心に売り込まれた。


この装備が出てくるのは「ニンジャスレイヤー殺(キルズ)

「プラント内で」「サスマタと持ち替えで」使っているので「サスマタの振り回せない環境用」という事にしました。ニンジャ相手に役立つ代物ではないので、如何なる用途のものなのかはさっぱりわかりません…ヤブ、どうせ頑丈だし。敢えていればバランス・・・なんでしょうね。バラストとか言えばいいんですが、例によってロボット、というかガンプラの説明書を意識しているので謎用語を意識的にぶちこんでいます。


 ■グレネード・ランチャー
 胴体側部にリトラタブルに埋め込まれている。本来はスモーク・ディスチャージャーであったのだが、モーティマーに「モーター理念にそんなせせこましいモノはいらない」と一蹴され、急遽同規格の手榴弾射出機に変更された。30mmガトリングが大火力な上、ヤブは射点が高いため、使い道は殆どない。モーターヤブは暴走時これを全弾発射したがる傾向があるため、キルスイッチとしたユーザー改造例が存在する。

派手でいいですよね、戦車のスモークディスチャージャー

何に使いたいのかサッパリ分からなかったので「本当は違ったんだけど」という事に。

 内蔵機関銃
 頭部に格納された奥の手。非常時のため「副兵装」が必要というカートゥン的理論で設定された…と言われる事が多いが、その実、歩兵戦闘車の同軸機銃がそのまま残ったものである。初期モデルでは7.62x50mmのごく標準的なオムラ社製車載マシンガンを搭載していたが、『改善』モデルにおいては小口径ガトリング…所謂ミニガンに変更された。対人戦であればこちらで十分だったようである。


同軸機関銃ってゅうのゎ。。
そぅ、主砲の横のてっぽぅ。。
なんか、昔わこれでタゲったらしぃよ。。
今も残ってるんだって。。。
ぃみゎかんなぃ。。。。
もぅマヂ無理。
取り外そ・・・

各型
「オムラ製」のモーターヤブは通常、3機種に分けられる。

オナタカミ・ヤブや謎派生型は含みません。

モーターヤブ 初期型/NSPD仕様
 「世界初のロボニンジャ」として市場投入されたモデル。初期ロットは増加試作的な性格が強く、脚部を中心に非装甲素材を用いていた。戦闘能力自体は十分であったもののAIの成熟度が低く、誤射、敵味方誤認、複雑な状況での暴走の他「アイサツが出来ない」ため不評であった。
 ネオサイタマ市警に納入された「NSPD仕様」も本機がベースである。頭部にパトライト、肩にオムラ社紋をあしらった本機は「ロボニンジャ」の知名度向上に貢献したが、猥雑なネオサイタマ市街地は本機のAIには刺激的で「暴走」が続出。悪名をとどろかせた。時には「N案件」と相打ちとなる殊勲も上げたものの、大部分は早々に職務から切り上げられたようである。中古市場に流れた本機は安価な事が評価され、サードパーティー改良キットが流通するなど独自の進化を遂げていった。

本編活躍のまとめですね。「スシ・ナイト・アット・ザ・バリケード」に登場した個体は防弾性に難がある様子があったので「そういう仕様だった」としました。


NSPD納入機の運用実績が悪かったことは言わずもがな

スガモ地下に仕舞い込まれる一方、ジャンクヤード行きの二階級特進を遂げる個体もあったあたり「実際に戦った」例も少なくないのでしょう。適切に機能すればサンシタニンジャより強いですし。

また、ニンジャキラー保有のヤブは横流し品であり、さらに独特のチューンがされていました。

モーターヤブ改善
 その名の通り「カイゼン」版として投入されたマイナーチェンジモデルである。
 本来、ヤブは「モータードクロ」までのつなぎであり、その完成と共にフェードアウトする予定であった。
しかしながら実際に完成したモータードクロは戦闘力こそ高かったものの、当時の特別顧問ラオモト・カン氏による介入により「対ニンジャ戦闘」に特化した仕様で完成、汎用性を欠くものであった。またバイオニューロンの悪燃費は活動時間を制限、主要な用途である警備・哨戒・郊外進出も困難とした。アイサツが可能な点は評価されたが、ゼンメツアクション・モードの存在により、むしろ暴走危険性が増したとすらいえた。モーターヤブで問題視されていた点が改善されず、それでいてイニシャル・ランニング両コストも高額なモータードクロを「ヤブの後継機」と呼ぶ事は無理がある-それが結論だった。NSPDへのモータードクロ納入失敗と同時期に「モーターヤブを置き換えるモーターヤブ」の制作が決定、モーターヤブ改善 と呼ばれる事となる。
 このシリーズは「改善」の名の通り順次小改良が行われたため、具体的に1モデルを指すわけではない。早期に行われたのはモーター理念に基づく「火力の強化」である。外観上もっとも分かりやすいのは、両肩部に追加された20mmガトリングだろう。この部分は元々、VTOL輸送用マグネットホイスト射出機の為に用意していたハードポイントであるが、「完全武装状態が見たい」という技術者の独断によって設計段階から追加火器向け配線準備がなされていた。ただし搭載可能である事と適している事はまた別な問題である。射角が制限され、接合部は「目立つ弱点」になるなど使い勝手が悪かった。頭部機関銃は貧弱な5.56mm機関銃から7,7mmガトリング、所謂「ミニガン」に換装され、こちらは有効性が評価されている。
AIも改善が行われたが、前期段階で実現したのは「アイサツ」の実装程度で、それもエンベデッド戦闘本能を御しきれず発砲開始する不完全なもの。投降受付問題も未解決であったため全数「投降不可」設定で出荷されていた。
「賢い」とは言い難い本機であるが、警備など「自動である」事に意味がある用途、非正規戦など「損害が問題とならない」環境ではそれなりに使えるものだった事も事実である。


特に強くなってない事に定評のある「改善」。反動の大きなガトリングを短期間で追加出来たのは「そういう作りだった」ということでしょう。ヘリで吊られるロボ、みんな好きでしょ?マグネット式釣り上げ装備は、サイバギーにも登場しましたし、オムラのオプション装備に存在することでしょう。

後期改善型
 『改善』の一部ではあるが、性能に大きな差があるため区別される。完全新規のAIが搭載された事で劇的に「賢い」ヤブとなった。アイサツを流暢にこなし、余程の混戦でなければ誤射はせず、暴走も起きない、というこれまでの問題点を全て解決したそのAIは「助っ人」により2週間で書かれた事でも名高い。この助っ人はヤブチーム歓迎会の席でモーターヤブへの想いを語り、そのうえで「手直しすれば半年。オムラは持たないでしょう。ゼロから書けば半月で上がり永遠に残る」と宣言、本当に14日で完成させてしまっったという。このAIによってモーターヤブは始めて実用水準に達したと言っても過言ではない。この「助っ人」であるが、オムラ倒産後はキョート共和国へ移住、ゲームソフト開発事業を興したそうである。戦闘力が大幅に向上したため、肩部ガトリングはオプション扱いとなった。
 この新型AIは製造ライン上のモーターヤブ全機に適応されたが、ストレージの大型化が必要な社用初期型ヤブへの適応は先送りされ、対オナタカミ戦にはほとんど参加していない。出荷されずにオムラ倒産を迎えた機体も多く、それらはオナタカミによって販売された。そのため「賢いヤブ≒オナタカミ製=再び改善」と、ひとまとめにされる事も少なく
ない。


「後期改善型」。オムラ製でありながら、かなり利口な挙動を見せる…ある意味問題児です。後述のコンビナート襲撃と辻褄が合いませんからねえ。かなり疲弊していた&評判の落ちていたオムラ時代にはあまり売れなかったのでしょう。末期モデルの悲しみよ…

「完全新規なら半月」の元ネタはもちろん故・岩田聡氏のMother2に関するアレ。つい入れちゃいました

未来へ
 2035年、激しい攻略戦の後、オムラ社は倒産した。この戦闘でヤブも迎撃に当たったが、電撃戦と周到な計画、そしてドラグーンの前には苦戦を強いられた。旧来「手も足も出なかった」とされがちであったが、これはイッキ・ウチコワシによるプロパガンダ映像(CG、ミニチュア、実写を巧みに織り交ぜたもの)による印象操作の影響が強い。
 しかし、モーターヤブの物語はここで終わらない。オナタカミによる接収後、高級機・ドラグーンの穴を埋める下位モデルとして更なる発展を遂げていく。
 「つなぎ」として生まれながら長く主力を務めた本機は、問題こそあれど十分に「傑作機」の枠に収まるのではないだろうか。


あのウチコワシだぞ!LIVE映像だという保証が何処にある!命がけの戦場LIVE映像映像も特撮も大差ないだろう!進歩!革命!。ところでネオサイタマの特撮って凄そうですよね。マイケル湾どころでは済まない火薬量叩き出してそうです。

「つなぎ」が主力機になってしまうパターンは歴史上結構あります。冷戦時代の米ソ主力戦車なんて、どっちも繋ぎでしたし…後者の代表格・T-72なんて2017年にアップグレードモデルが現れる有様なので、2048ヤブが出てくるかもしれません?

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感想とか

モーターヤブ、いいですよね。カワイイだし。

ところがこの子に限らずネオサイタマメカの記事って珍しいんです。需要はあるみたいなですけど(以前怒られた事がある)とにかく供給が細いんです。「アッこれは自分が何か書けばハードルが下がりゆくゆくは自動スシ供給レーンが整うのでは?」と思い立ち、締切直前に参加申込みをしたのが本記事になります。その節は関係者各位に大変なご迷惑をおかけしました…

この記事に呆れ返った方が「ドラグーンだけは渡さん」「キョウリョク・カンケイ艦長は俺だ」「オームーラー!オームーラー!」と思いの丈を学会誌コラムにぶつける等すれば、こんなに嬉しい事はございません。

では、またまた


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