『神性』資本主義のブラックボックス

■資本主義のブラックボックス

資本主義とは、ブラックボックスである。消費者の眼前には巨大なブラックボックスが置かれ、そのブラックボックスから突然出現したものを無作為に利用する。

どのような仕組みで動作するのか、どのような過程が踏まれるのか、どのような材料が使われているのか、どんな意図が介在するのか、そのようなことを消費者は気にしない。

消費者にとって『利益』と判断されるならば、ブラックボックスの中身を吟味することはない。この点においては、そのブラックボックスは、消費者が吟味する手間すらも内包している。

フォーカスすべきは、ブラックボックスの所有者は、消費者ではないという点である。それにもかかわらず、消費者は他人の所有物を盲目的に信頼する。

面白いのは、資本主義が高度化されるほど、この盲目性は高まる。なぜならば、眼前のブラックボックスの所有者は自分であると錯覚し始めるからである。また、その速度は驚異的である。

ブラックボックスは完璧であり、間違いを犯さない。資本主義というシステムの中にいれば、『我々は守られている』という思考が働く。それは、大衆意識の作用により強化され、今や自動化されている。

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