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藍生かし直しプロジェクト②

藍生かし直しプロジェクト過程


👇こちらの記事からの続きです。

本藍染め作家・京都芸術大学で教鞭を取られている梅崎由起子先生と、京都芸術大学の学生さんらと私たち西陣織とのコラボ企画・藍生かし直しプロジェクトを進めてきた過程をこちらでは綴りたいと思います。


図案と組織(おり工夫)を考える


2021年11月ごろに学生さんの代表の方が私たちの工房(実家ですがw)にお越しくださいました。

あらかじめ作ってきてくださった図案もとに、どこの部分にどんな織りの組織を組みたいかの具体的なイメージややりたいことの優先順位などをお伝えくださいました。

お預かりした指図書。こと細かく指図をいただいています。

お持ち下さった図案は、このプロジェクトに参加されている学生さん達が染めや編み物などで製作された作品をコラージュして構成されたということです。

それぞれのパーツに皆さんの個性などがぎゅっと詰まった図案です。

ボカシ染めのような表現をする部分や、
編み物のように立体的に表現する部分、
ぼこぼこと膨れたような表現を施す部分、
数種類の糸を渡らせるように表現する部分、
むらができるようにボカシで染めた糸を使って表現する部分、
などなど。

わずか縦20センチ✖️横34センチほどの面積の図案の中に、ぎゅっと様々な織り工夫を凝らすアイデアです。

私たちの仕事としては、
ご要望としての「やりたいこと」の優先順位をはっきりさせて、
「できること」へと変換させていく作業です。

皆さんが作品を制作するにあたってのイメージをできるだけ忠実に汲み取れるように、しっかりとお話を伺います。
そして、私たち自身もワクワクできるようなご提案をさせていただきながらイメージを形にしていくのです。


紋意匠図を作り、緯糸(よこいと)を配色してテスト織へ


本藍染めについて私自身は、あまり詳しくなかったのですが、科学染料とは違って”藍を建てる”作業はその材料の配分や気温やタイミングなどなどによって、毎度個性が出てくるもののようです。

藍を発酵させて染料として使えるようになるまで、時間をかけて”育てる”必要があるもので、
生きた染料なので、藍自体が元気な時や元気がない時もあったり、毎度のことでも染め上がりに変化があるようなのです。

そして、やはり連続してたくさんの量を染められるものではないというお話です。

そんな繊細な本藍染め。

今回は学生さん達が藍を立てるところから始めていらっしゃいました。

👇こちらInstagramの投稿です。動画で藍を建てる作業をご覧いただけます。

そして、染め上がった糸たち。

真ん中のぼかし糸はくりくりと捻ったものの一部分だけを藍の中につけて、ムラ染にしたものです。

これらの麻糸達(一部絹)を使って、いただいた図案を紋意匠図へと変換し、試し織へと手配します。

試し織りの日は、皆んなで丹後の水戸さん(職人さん)の機場へと集結し見学会をすることとなりました。



丹後での試し織り見学会


本藍で染められた糸を使い学生さん達がデザインした図案で、いよいよ試し織り。

機場は、京都府の海側に位置する丹後の与謝野町にあります。
丹後は日本海側に面していて山もあり水も美しく豊かなので、美味しいものもたくさんあります。

機場のすぐ近くの風景。機を動かしながら農家をされている方も多いです。
見学会での様子。みなさん興味津々で見学なさっていました。

機場では、水戸さん(職人さん)ご夫婦が2台の機を使って試し織りをしてくださっています。

経糸が黒のものと、白のもの。
経糸が黒なのか白なのかによって、織物の雰囲気もぐんと変わってきます。

試織では、黒と白両方の経糸で織り上がりを確認します。

白い経糸がかかっている機。

水戸さんご夫婦が、織っていく手順などを説明してくださりながら、一越ひとこし杼(ひ)が走りおさで織物を押さえていく音が響いていきます。


そして、出来栄えを見るために織上がった布の周りを皆で囲みワイワイします。

学生さん達も梅崎先生も、出来上がった布をみて盛り上がっていらっしゃいました!

イメージが形へと成ってゆく瞬間を目撃した私たちですw

奥が黒経、手前が白経で製織されたものです。
水戸さんご夫婦と梅崎先生と学生さん達🤍

こちらの試織では、紋意匠図のふた返しを織っていただきました。

本藍で染められた麻糸を織り込むことに始めて挑戦したので、色々と問題点なども出てきました。
図案ももう少し改良して本番へとつなげていきます。


手直しから本番へ

年末に、学生さん達とzoom会議をして図案の手直しなどについて話し合いをして、本番に使う糸が手元に渡ってきたのは、年をまたいで2022年2月の半ば頃でした。

こんにゃくのり付きの麻糸を藍で染めたもの。

本番用にと染めていただいた糸ですが、麻糸は繊維が毛羽立っているので滑りを良くするためにと”こんにゃくのり”がついている糸を藍で染めてくださいました。

こんな形で手元に届いたものをコーンに巻き取る作業を糸屋さんにお願いしていたのですが、糸屋さんからは糸が「くっついている」という報告がきて、予想以上にコーンに巻き取る作業に時間がかかるようです。

本番までに時間も差し迫っているにもかかわらず、思わぬアクシデント。

私自身も自分の手で触って確認してみたら、糸同士がくっついているためにゆっくり解さないとぶちぶちと糸が切れてしまいます。

時間をかけながらも少しづつほどき、コーンに巻き取ってもらいました。

奥の綛(かせ)のものはお絹、手前のものは麻糸。光沢とけば立ち方が異なります。

どうやら、こんにゃく糸付きの麻糸は藍の成分と触れ合うとくっついてしまうらしいようでした。

新たな課題がまた一つ出てきましたが、ギリギリでセーフで糸繰りも何とか間に合い、
本番の5mも無事に製織していただくことが出来ました。

本番です!

👆こちらが本番です。

様々なテクスチャが盛り込まれた、みたことのない素材が織り上がりました!

こちらの布地がただいま京都のギャラリーで展示中です。

https://www.instagram.com/p/CasvOGrBVER/?utm_source=ig_web_copy_link


お近くの方はぜひ足をお運びください♪


私たちは7日に寄せてもらう予定でおります。そのご報告など、③へと続きます。



以下ギャラリーさんからのご案内。

 project_aiikashinaoshi @aiikashinaoshi

 梅崎由起子/王耀林/徐素平/森國文佳

 安田伸裕/大西香菜子/鈴鹿萌子

 2022.3.3 thu _ 3.7 mon

 11:00 - 18:00

会期中 無休

 

全日 事前予約制とし

ご予約された方を優先にご案内いたします

           

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本日3月3日よりgallery approach では

藍染作家 梅崎由起子さん @umezaki_yukiko が

藍と西陣織の『伝統を生かし直す』をコンセプトとして

京都芸術大学の学生の皆さんと共に立ち上げられた

新しいプロジェクトの展覧会を開催されています。

gallery は藍色のグラデーションで彩られた

美しい空間となっております。

多くの方にご覧いただけますように。

感染症対策のため

会期中は全日 事前予約制とさせていただきます。

下記の予約サイトよりご予約をお願いいたします。

予約サイトへはONE AND ONLYのWEBサイト

(Instagramプロフィール欄のURL)よりも

ご確認いただけます。

https://airrsv.net/oneandonly-kyoto/calendar

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なお、ご予約のお客さまがいらっしゃらなければ

予約なしにお越しになられた方も順次ご案内いたします。

お手数をおかけいたしますが

どうぞよろしくお願いいたします。

皆さまのお越しをお待ちしております。

フランスからスペインに抜けて進む、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼旅へいつか出たいと思っています。いただいたサポートは旅の足しにさせていただきます。何か響くものがありましたらサポートお願いします♪