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"憎く、恋しい友達"



憎くなるほど大切な友達が
私にはできるのだろうか。






大好きな人を深く知りたい時
その人の話を聞く。

私にはもう1つ選択肢がある
その人が作った音楽に真剣に耳を傾けること

Dear my friend / 어땠을까 (feat. 김종완 of NELL) - Agust D
아직도 여전히
今でも相変わらず
니가 난 그립고 또 그립네
お前が恋しくて懐かしい
아직도 여전히
今でも相変わらず
함께한 추억이 날 맴도네
共にした思い出が俺から離れなくてさ
어쩌면 그때 널 잡았다면
もしあの時お前を引き止めていたら
아니 그때 너를 막았다면
いや お前を食い止められていたら
아직도 여전히
今でも相変わらず
우리는 아직도 친구일까 어땠을까
俺たちは今でも友達だったかな どうなんだろうな

意味深なサビから始まるこの曲を聞いた時
この曲は何か大切な、重要な事を語っているに違いない
と強く感じた。

案の定、Spring day(BTS)によく似た歌詞が綴ってあったり
First Love(BTS SUGAソロ曲)のレコーディングの時に、"この親友を重ねて泣いてしまった"という話があったり
この一曲だけではなく、いつも心にいる大切だった人について語っているのかな。と背筋がスッと伸びた。



沢山の時間を共に過ごし、沢山の思い出で溢れている親友が
逮捕され、毎週片道三時間かけてソウルの拘置所まで通った。
しかし、出所し久しぶりに会った親友は変わり果ててしまった。(薬物に溺れたと言われている)

유일한 친구였던 너를 되돌릴 방법은 없고 너는 괴물이 돼버렸네
唯一の友達だったお前を戻す方法は無く お前は怪物になってしまってさ
내가 알던 넌 없고 널 알던 난 없어
俺が知っていたお前はいなくて お前が知っていた俺はいない
우리가 변한 건 비단 시간 때문이 아닌 걸 난 알아
俺たちが変わったのは単なる時間のせいじゃないと 俺は分かってる
니가 알았던 난 없고 내가 알았던 넌 없어
お前が知っていた俺はいなくて 俺が知っていたお前はいない
우리가 변한 건 비단 시간 때문이 아닌 걸 덧없어
俺たちが変わったのは単なる時間のせいじゃないってことが虚しいよ

『虚しい』
この曲のユンギさんのラップはこの言葉が最後だ



야 니가 밉다 야 니가 싫다
なぁ お前が憎いよ なぁ お前が嫌いだよ
야 이 말을 하는 이 순간조차 난 니가 그립다
なぁ この言葉を口にするこの瞬間すら俺はお前が恋しい

この歌詞が、特に印象的だった。
声や発し方まで頭について離れない。

大切な友達。
憎く、嫌いになるほどの恋しい友達





ユンギさんは、過去や想いを音楽という形にして
この世に刻んでいる

そして
ユンギさんのソロ楽曲は、私には共感できるものばかりだった。
挑発的な強い言葉も
自身の夢を追いかける時の葛藤も
鋭い視点や考え方
そして、びっくりするほど優しい温かい言葉も
どれも共感できるものばかり

自分が抱えている感情や経験、考え方や理念が似ているひとって、すごく惹かれる。
共感をする事で癒しになり、自分を愛する事にも繋がる。
Agust Dに出会ってから、それが言語化されて、"音楽"という形に仕上げているユンギさんを好きにならない理由は、私になかった。

ユンギさんに対する、共感という感情は私にとって、とてつもなく大切な宝物で
その宝物を、宝箱にどんどん入れている途中に出会った"Dear my friend"






私はこの曲には、共感できない。


"裏切られた"と思うことは、幾度となくあるし
友達が破滅したこと
壊れてしまったと、感じたことも何回か

でも、裏切られても、離れ離れになっても
"憎い"と思ったことはなかった。
そして"恋しい"と思うことも、考えてみるとなかったかもしれない。

人は1人1人が唯一無二で誰かにとって誰かは尊い存在なのに
そう思って人と接しているつもりなのに、ユンギさんがくれた"共感できない"という感情に気付かされた。

怒りを覚えるほど大切な友達にまだ出会っていないのだろうか。
それとも、ユンギさんとは愛情の形が全く別物なのだろうか。





ユンギさんは、きっと
愛情深い人なんだ。
本当の意味で"深い"
いわゆる狭く深く、深く深く人を大切にできる人

人は、成功すればするほど
歳を取れば取るほど
大切な人が増えていくのだと思う。
だから、ユンギさんの周りには今、沢山大切な人がいるはず

この曲を聞くたびに
そう思っては、ユンギさん幸せを祈る。





ユンギさんはこの曲が収録されているミックステープ【D-2】をリリースした後、LIVE配信に現れた
Dear my friendについて話している時、1人のファンが

「この曲は悲しいです」

と言った。

悲しい。
私もそう思う
大切な時間を共有した、親友を憎み、恋しいと感じているって曲だもん。

でもユンギさんはこう続けた

「なんで悲しいんですか?僕は悲しくないです。」

その言葉は私をもっと悲しくさせた。



思えば、ユンギさんはとても和やかで、少なくとも悲しそうに歌ってなんかいなかった。

きっと、終わった話だからなのかな
もう、こうして音楽として発表できる程の"過去の話"

思い出を語るように、過去にあった"出来事"を歌っているかのような曲
出来事を語り、"憎い" "恋しい"そういった感情を率直に言葉にした曲
まるで音楽にすることでその気持ちや思い出を成仏させているかのように感じてしまって

なんだかそれが、どうしようもなく悲しかった。

でも、音楽として大切だった親友の存在と関係を
この世に形として残すユンギさんが格好良くて、有り難くて、素敵で、悲しさよりも尊さが勝ってしまう





私にもいつか、離れた時に憎くなる様な友達が出来るのかな。
ユンギさんみたいに、深く友達を思う感情を
理解してみたい。
ユンギさんに共感する感情は、何度味わっても私の宝物だから

いや、でも
この曲には
この先も共感したくないな。
大切な人を憎む苦しみに
きっと耐えられない。


SUGAはこちらの曲が実話だと公言はしておりません。

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