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上海乗り継ぎ

 今週はとりあえずここモントリオールでの生活に慣れよう、ということで予定がすかすかなので時間はたっぷりある上に、モントリオールへ向かう道中から既に大量のコンテンツを生産しているので消化していく。

 第一弾は『上海乗り継ぎ』。結論から言えば乗り継ぎには成功したので、その過程で起こったドタバタはおよそ杞憂ということになるのだが。

 今回の旅程は関空から上海へ飛び、そこで飛行機を乗り継いでモントリオールに向かうというものだったのだが、この上海での乗り継ぎが曲者であった。なにしろさほど旅慣れている訳ではないというのに、Google先生に『上海 乗り継ぎ』と聞いたら難しい旨の検索結果ばかり出してくるのだ。不安にならないわけがない。その上、当日になってさらに不安要素が追加され、緊張感の溢れる旅が幕を開けた……

 事の始まりは関西国際空港のチェックインカウンター。手続きに若干手間取りながらもなんとかスーツケース二つを預け入れてほっと胸をなでおろしたのもつかの間、吉田羊にそっくりな受付のお姉さんが「では、こちらの荷物は一度上海でピックアップしてから、エア・カナダのチェックインカウンターで再び預けてください。」と言うではないか。ああ神よ、我を見放したもうたか。それとも最近テスト開始前に般若心経を唱えていないのが災いしたか。とは思わなかったが、一気に緊張のボルテージが上がった。いやモントリオールまで運んでくれるんじゃないんか〜い!見送りにきていた両親には「上海で荷物ピックアップだってさ、あはは」と笑ってみせたが、内心ガクブルである。

 上海までは2時間半ほどである。chicken rice or seafood? と聞かれて、チキンライスと答えたら出てきた親子丼を食べてうつらうつらしていたらあっという間に着陸態勢に入った。このあたりからそわそわしはじめる。地上の景色が近づく頃にはショルダーバッグを肩にかけ、着陸の瞬間にはシートベルトに手をかけ、停止するや否や立ち上がるとリュックサックを背負って機外に出る準備は万端。座席がかなり前であったことも幸いして真っ先に外に出るとなんか暑い。しかも通路ではなく階段がある。そう、人生初タラップである。余裕があれば大統領ごっこでもしながら降りるところだが、そんな場合ではない。ダァーッと階段を駆け下り、きょろきょろと周りを見渡すと2台のバスが。どっちに乗ればいいんだ、という顔をしていたら、空港職員らしき女性に話しかけられたが、"I don't understand Chinese!" この後2時間半で何度かこのフレーズのお世話になる。無事にバスに乗り込み、ターミナルに着くと機械で指紋を登録してから入国審査へ。しかし、ここで問題発生。なにやら黄色いカードを書かねばならなかったらしい。せっかく先頭に並んだのに、その努力も虚しくカードを記入してから再び列へ。今度は入国できた。そのままターンテーブルに直行。ん?あれは??見覚えのあるローズゴールドのスーツケースを遠目に発見。他人のものかもしれないと思いつつダッシュすると自分のものだった。数個うしろにはもう一つのスーツケースもあり、ちょっと信じられないスピードで荷物のピックアップが完了した。(後で気づいたが、荷物にfirst class priorityと書かれたタグがつけられていた。ありがとう、吉田羊似の受付のお姉さん。)

 引き続き国際線の出発ロビーへ。軽く迷子になったが、インフォメーションで聞いたらあっさり判明したのでノーカン。エア・カナダ、エア・カナダと呟きながらチェックインカウンターに向かって、この日2度目の緊張を覚えた。「めっちゃ混んでる……」しかも、ただ混んでいるだけではない。この行列に対して窓口が5個しかない。しかも大急ぎで捌いている感ゼロ。とりあえず並んでみたものの、矢も盾もたまらず列の最後尾で整理をしていた人に話しかけた。2時間後のフライトに搭乗予定であること、列が長くて、進む様子もないこと……少し困った顔をしていたのでまさか英語が通じないパターンかと軽くがっくりしかけたところでぽつりと一言。"......You won't late." 拍子抜けした。確かにまだ2時間前である。とりあえずチェックインをあと1時間以内に済ませればいいのだ。そうですね、ありがとう、と返して再び列に並んだ。列は思ったよりスムーズに進み、チェックイン・出国審査へ。しかし、入り口に立っていたおばちゃんたちが何か言っているがよくわからない。思わず立ちすくんでしまったが、次の瞬間「トウジョウケントウジョウケン」と言われて我に返った。言われた通り搭乗券を見せて出国審査の列に向かうと、列の入り口でちょっと人相の悪いおっちゃんが何か配っている。よくわからずに素通りしたが、前の人を見るとまた何やら黄色いカードを持っている。まさか。そう、出国時もカードを書く必要があるらしい。慌てて先ほどの人相の悪いおっちゃんのところへ引き返す。"What is this?" "Do you have this?(黄色いカード)" "NO!!" めでたしめでたし。列に並びながら記入し今度はスムーズに出国完了。あとは搭乗口に向かうのみである。こちらも迷う事なくたどり着き、30分後には機内の席に着いていた。席に座った瞬間の安堵感たるや筆舌に尽くしがたいものがあった。まあその後の13時間に及ぶフライトもなかなかにタフではあったが、上海浦東空港でのバタバタと緊張に比べれば大したことではない。(少なくともフライトは座っていれば目的地に連れて行ってくれる)

 しかし、こんなのはまだ序の口である。次回、むっちゃんのさらなる活躍(?)をお楽しみに!


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