「デリバリースーサイド2」〜作者の記録(1)〜

<「デリバリースーサイド」シリーズの原作者によるこぼれ話をお届けします>

先日、自殺防止支援団体さんにささやかながら寄付をしてみた。

現在、舞台公演のクラウドファンディングを行なっている。
「自殺防止支援団体への寄付」を謳って、総額70万円に挑戦中である。

クラファンページ

実際に寄付する際には、現在アクティブで定期的に活動が継続され、なおかつ身近な団体さんが望ましいと、様々なサイトを見て回っており、予行演習として一足先に寄付をしてみた。

電話の相談窓口が開かれ、会合での相談も定期的に展開していて、サイトも整っていてクレジットカード募金もでき、大きな組織という印象であった。

しかしサイトの「街頭募金報告」を見た時、「やはり」という感じと同時に難しいなと感じた。

ある1日の募金結果「数十円」という金額が記載されていた。

全国にあるが、都内を拠点とした団体さんである。もちろんどの街頭で何時間立っておられたのか、どんな訴えかけ方をされていたのか分からない。しかし新宿駅付近で行われている「犬猫殺処分防止募金」の方が、まだ集金が多そうな気がした。

ところで私は別な劇団体さんのスタッフもしている。

ある時主宰の方が「カンパを募ろう!」と貯金箱をスタッフに呼びかけて声がけしたところ、全公演の終演後には5万円以上が集まった。

例えば3500円の公演だとして、15枚程度のチケットが余計に売れたことになる(一人の役者さんが呼んだ人数より多かったりもする)。

もちろん、その公演は良作で、お客様が「面白かったです」「頑張ってください」と口々に仰るのを聞いたし、その盛り上がりのままに、5千円札を投じるお客様もいらした。作品の力と団体の好感度、それと祝祭感が財布の紐を開かせたのかもしれない。お客様とすれば、進んで支援を投じたという、人特有の「貢献感」による満足も得られたかも。

祝祭感といえば、感動ポルノと批判の的にもなっている「愛は地球を救う」を思い出した。
批判はどれも真っ当で頷ける。捏造に近い行き過ぎのやらせや、出演者への無理強いは良いはずもない。

ただ果たして、イベントも行わず、著名人も出演せず、広告費もかけずに純然たる募金のみを行ったら、収益金は一体いくら位になるのだろうか。

「金が多ければいいというのか!」という感情的なご批判もあるでしょうが、そうではなくて「”金の量によって行動可能範囲が変わってくる”ので、願わくば、可能範囲が多い方が望ましくないですか」ということだと思う。

本当に気高く純粋な、人助けの気持ち「のみ」を頼りにして何かをなそうと思ったら、意気込みや理念というエンジンは高性能で尊くとも、ガソリンが切れ、いずれ失速してしまうだろう。

抽象度の高い視点を持つというと大仰だが、今回のクラファン に関しては、
「とりあえず支援して頂いて贈ってみる。話はそれから」。
という方向で考えている。

おそらく批判は起きる。それは置いておいて、とりあえず今必要な金額を集め、それによって出来る行動を行い、物資を得て支援する。

ただ、目的のために精一杯やったことが、期せずして別の誰かに不快感を味わわせたり、不利益になることが発生したりする。難しいところだ。
(期せずして与えてしまったらしい不快感については次回書きます)

ところで、あるムスリムの学者さんが
「日本人は”テロが怖い”と騒ぐけれども、1日に90人が自死している国に住んでいて、その点は誰も怖がらない(騒がない)のですよね」
とおっしゃっていた。

募金に関しては、どの活動にも優劣はないし、優先順位も各人が決めることだと思う。

ただ、「人の生き死に直接関わること」と「その他」(もちろん間接的には全ての活動は生き死にに関わっているが)について、どちらに「緊急性」があるかと言われたら、おそらく前者だと答える人が多いだろう。

しかし、前述の通り、単純な善意や好意に頼っているとその返答通りにはならないことが多い。
そして人がつけた行動の優先順位にケチをつける「善意の人」も私は好まない。

人それぞれが、今、最善だと思ってとった行動の結果が現実であり、ではその結果をどう変えるか、が工夫のしどころであると思っている。
その「工夫」の仕方によっては、鼻持ちならないと思う人が出る場合もあるだろうけれど、それはまた別の解決策を練る話。

「デリバリースーサイド」でやりたいことはいくつかある。
そのうちの一部。

●「死」に対する評価をそぎ落とす。
「死」は等しく悼むもので、「誰だから」「どう死んだから」尊い/軽んじていいものではない(悲しみの量の違いという意味ではない)。
●「自殺」の解釈を考える

第1作目のセリフを抜粋し、今回はここまでと致します。

次回は「自殺の解釈」についてお話しする予定。
ご精読ありがとうございました!

気になられたら、ぜひぜひ劇場へ!

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(中略)
黒木 「悩みを引き受けられんくせに『自分が辛いからとにかく死ぬな』な んてエゴイストの言いぐさだ」
吉良 「引き受けられるわけないじゃない。他人なんだから」
黒木 「他人が無責任に人の意志を止めるな」
吉良 「すぐ答えが出なくても、とにかく生きさせたいの。止めてくれて良 かったって、必ず思う時がくる」
黒木 「誰に保証できるんだ」

前作「デリバリースーサイド」より
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第2回 a-fiction m&h theater「デリバリースーサイド2」

【日程】2019年1月29日(火)〜2月3日(日)全10公演
【会場】八幡山ワーサルシアター(京王線八幡山駅より徒歩30秒)

[Introduction]
自殺者が増加した某国
法改正により新たなビジネスが生まれた
自殺の後始末を本人から請け負う専門業者
その名もデリバリースーサイド 通称DS〜ディーエス〜
[Story]
「私は自殺してません」
依頼人の自殺者が残した奇妙な書き置き
「過労死だ、会社に殺された」と兄がDSに援助を求めるが…
「デリバリースーサイド」シリーズ第2弾

2017年秋に第1回を上演して好評を頂いた
ミステリー 「デリバリースーサイド」
DSの経営者黒木と助手の伊田、吾妻と吉良の刑事コンビも再登場
新たな出演者と共に、シリーズ第2弾をお届けします
演出 赤星ユウ (レティクル東京座)
原作・脚本 菅原愛 (a-fiction)

【出演】
五十嵐啓輔(和奏AGENCY)、 中三川雄介(レティクル東京座)、田邊俊喜、
山本沙和(レティクル東京座)、 兎美心(REVE INNOVATION)、
長野耕士、 音羽美可子、大橋篤、
松山コウ(劇団C2)、ハズレKUJI(阪口拓嗣:ボクらの罪団)、
エスムラルダ、森友樹(和奏AGENCY)、
城田さおり、えみかん、卯木祐矢(劇団わたあめ工場)

チケット販売中

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音楽、舞台など各種フィクションを制作しています。 @東京都新宿区 http://a-fiction.com

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