炭酸飲料のガスの重さを体感しよう
炭酸飲料のシュワシュワは、炭酸ガスが水に溶けたもの。
でも、実際、ペットボトル一本にどのくらいの量が溶けているの?
というお話です。
500mlペットボトルに何グラムの炭酸ガス?
結論から言いますと、500mlのペットボトル中に含まれる炭酸ガスの量は、コカ・コーラで約3.5~3.8g、最近発売されたペプシストロング5.0GVでは約5.0gです。
さて、この重さって、手で持ってみるとどのくらいの重さなんでしょうか?
一円玉は、一枚が1gになるように造られています。なので、コカ・コーラでは一円玉3.5枚 、ペプシストロング5.0GVでは一円玉5枚分の重さの炭酸が入っています。炭酸飲料を買うときには、お財布の中を見ながら、一円玉何枚分の炭酸ガスが入っているか、想像してみるとおもしろいかもしれません。
なお、ペプシの”5.0GV”とは、炭酸ガスの強さの単位で、1リットルのコーラ中に5リットルの炭酸ガスが入ってますよ、という意味です。
500mリットルのペットボトルに、5.0GVの炭酸が入っていたら、炭酸ガスの重さはおよそ5.0gと、そのままGV値をグラムに置き換えられるので、割と便利な単位です。
(正確な計算方法はこの記事の末尾に記載しておきます)
ググるとビールやスパークリングワインのGVも分かるので、炭酸ガスの量を計算しながら飲み比べてみると面白いかもしれません!
余談. 何で炭酸ガスってこんなに水に溶けるの?
でも、何で、炭酸ガスってこんなに水に溶けるんでしょうか?
酸素と比較してみましょう。常温(20℃)常圧(分圧で0.2気圧)で1リットルの水中に溶解できる酸素の重さは8.84mgです。1g(一円玉1枚の重さ)の溶存酸素を集めるためには、なんと水が114リットルも必要になります。(というか、魚ってこんなに少ない酸素で生きているのかーΣ( ̄ロ ̄lll)って感じですが。。。)
あ、断っておきますが、空気中での炭酸ガスは微量なので分圧が0.00035気圧(酸素分圧の0.17%)しかなく、オープンエアーでの炭酸ガスの溶解度は0.557mgしか溶解しません。でも、酸素と同じ条件(20℃、分圧で0.2気圧)にしてやると、炭酸ガスは水に318.2mgも溶けます。
では炭酸ガスがたくさん水に溶ける理由を説明します。
炭酸ガス(二酸化炭素)の分子と水の分子は、どちらも分子の中にプラスの電気とマイナスの電気を帯びた部位を持っています(『極性がある』といいます)。当然、静電気や磁石のようにプラスとマイナスの電気は引き合うので、二種類の分子の間にはお互いにくっつこうとする力が働きます。
(なので、水中の二酸化炭素はほぼ決まった形で水分子と電気的な力でくっついており、この状態を『水和している』といいます)
ちなみに、気体が液体に溶け込んでいるとき、こんな力のバランスで溶解量が決まっているとイメージすると便利です。
溶解量=水和の力 + 圧力(分圧) - 温度による揮発の力
酸素原子は水和の力(プラスとマイナスの電気が引き合う力)がないために炭酸ガスよりも溶解量が非常に少ないのです。
(私に中学の時に教えてくれた先生は、『溶存酸素は、溶けているというよりは、水分子同士が電気的にくっついている間に、ただ引っかかっているだけ』と表現していました)
ちなみに、水への溶存酸素の溶解量や、温度・圧力と気体の溶解度の関係の式は、公害防止管理者試験や危険物取扱者試験でフツーに出題されますので、こうやって頭を整理しておくと、役に立つことがあるかもしれません。
あ、水和については、
水に溶けると温度が下がる現象について
https://note.mu/a_hisano/n/n349c28a41bb9
の記事でも触れているので、ご興味のある方は、そちらもご参照ください。
というか、余談の方が長くなってしまいましたが、炭酸飲料のガスの重さを体感しようという、お話でした。
長文を読んでいただき、ありがとうございました!
炭酸飲料中の炭酸ガスの計算方法
炭酸の強さを示す指標としてGV(ガスボリューム)という単位を使います。
この単位は、1リットルの水に、何リットルの炭酸ガスが溶けているかを表しています。
ペプシストロング5.0GV(500mlペットボトル)に含まれる炭酸ガスの含有量を計算してみましょう。
500mLの炭酸飲料中の炭酸ガス重量の計算(炭酸が5.0GVの場合)
コカ・コーラの炭酸の強さは3.5~3.8GVと言われており、ペプシストロング5.0GVは名前の通り5.0GVと公称されています。
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