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推理とは何か

1.設問の答えを関係のない寓話が導く話

大学の授業で、こんな事を言っていた先生がいました。

設問
がん細胞を殺すには、放射線を照射する。
放射線はがん細胞だけでなく、正常な細胞をも殺してしまう。
では、がん細胞だけを殺すにはどうしたらいいか?

設問の答えは、この時点で聴衆のほとんどがわからない。そこで、先生は『一つの寓話』を話します。

寓話
ある国に独裁者がいた。独裁者は、7つの橋で周囲から隔離されたドーム状の建物に立てこもっていて、どの橋も沢山の車両や人間が通ると重量を感知して落ちる仕組みになっている。
そこで国連軍は、独裁者を倒すために夜のうちにすべての橋から、少人数の人間を徐々に送り込んだ。そして、翌朝。一斉にドーム状の建物を襲撃して、独裁者を倒してしまった。

そこで、先生は、もう一度設問に話を戻します。『では、放射線を使って正常ながん細胞だけを殺す方法は?』

最後に、その先生は、『何故関連性のない設問の答えを寓話が導くかは分かっていない』とその話を締めくくりました。

2.推理とは

頭の端にずっとこの話が残っていたのですが、先日古い心理学の本(W.ジェームズの『心理学 下巻』(岩波文庫))を読んでいたら、『推理』という項目に行きあたったのですが、、、。

この現象をその本の書式を踏襲して記述すると

がん細胞を殺す(A), 独裁者を倒す(A')
         ↓
複数の場所から分散させて送り込む(B)
         ↓
目標だけを破壊できる(C)

要するに、AとA'は同じものではないが、BとCは共通のものなので、仮にAとA'を取り換えたとしても、同一の解答が導かれるという事らしいです。

A≠A'だが、
    AであればB、BであればC が成立
同じく、A'であればB、BであればCが成立

ある出来事を『分析』すると、その分析は他の事象と共通する経路と結果を導き出す。ということで、これが推理というものらしいです。

3.久野の場合

よく、何かスポーツや執筆などの世界では『スランプに陥ったら、一旦その世界から離れて他の事をやってみるといい』という助言がされます。

この『別の事をする』という行為は、Aであれば、、、の部分を置いておいて、『〇であればB、BであればCが成立する』という部分を蓄積する行為なのではないかな、と考えています。

ようするに、色んな事を知っている人の方が、推理で答えを導きやすい、、、という話なのだと思います。

久野の経験で、仕事に関する資料を大学の図書館からまとめてコピーして持って来た時のことで思い当たることがあります。

コピーをファイルに綴じて、仕事に必要だと思える場所にマーカーペンで線を引くのですが、マーキングできるのは今仕事で直面している問題だけで、仕事で別の問題が生じないと、いくら重要なことが書いてあっても初見ではマーキングが出来ない、という経験があります。

しばらくその仕事をしていると、仕事で必要としていることそのものずばりだけでなく、『BであればCが成り立つ』の部分だけ共通した全く別の出来事も目についてくる(というか推理が働いてくる)ようになります。

なるべくたくさんの情報を最初に集め、定期的にその情報に目を通して、今現在の仕事で役に立つ情報を何度も拾い集めて(ついでに、思い出して)いく作業をすると、普通に仕事をするよりも仕事に関する理解が深まります。

これって、『推理』を効率的に仕事に生かしているように思えませんか?


などなど、今日は固い話で、『推理とは』という話でした。

おまけ。

以前、トークノートで投稿した話と、今回の話を絡めて話をします。

何故か、5本単位だと、本数を目にした瞬間に数えられるっていう話だったんですが、、、。

人間って、数字を暗記するのに、効率よく暗記できる桁数があるらしいんですね。大体の場合、4桁ずつセットで記憶するのが効率が良いらしいです。

例えば、15687435っていう数字があったら、1568と7435に分けて暗記するといった具合です。この、暗記しやすい桁数と、物の本数を瞬間的に数えるっていう作業、実は同じものなんじゃないか、、、ていうことで。

この現象について、学術的な回答はまだ調べていませんが、なんだか『BであればCが成り立つ』が共通しているような気がしませんか?


以上、長々と、ここまでお話にお付き合いして頂き、ありがとうございました!

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