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「やりたいこと」のむこうがわ

子どものころ、
「好きなことをみつけよう」
「得意なことを伸ばそう」
「将来の夢は?」
なんて言葉をよく耳にしていた。

好きなこと、できること、得意なこと。
自分に質問しながら見つけていって、ある程度伸ばせたかな、と思ったところで就職の面接を受けてみると、こんなことを言われたりする。

「あなたはこういうことができると言っているけど、うちの仕事は他にも…だから、それ以外のことをやることになっても大丈夫ですか?」


得意なことのパワーが強いほど、不得意なことがいーっぱいあると認識される。
否定はしない。
特定の何者かになる道を進むほど、別の何者かになる道がせばまっていくのを全身で感じるし、後戻りはできないし、しようとも思わないし。

だけど。

伸ばしてきた得意なことそのものより、得意なことを得た「代償」の大きさを気にされるシチュエーションが待っているなんて、そんなの聞いてなかったよ。

なんだか驚いてしまうけれど、これが「専門性が高い(と周囲からラベリングされた)人」が就職の際に厄介者扱いされる構造らしい。


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そんなことにモヤモヤしていた中、昨日は「ほぼ日刊イトイ新聞」 で13歳からの3年間、たべものの絵の連載「たべびと」を続けていたあーちんさんの原画展に行ってきた。

絶景。

(BAKEのプレスバターサンド。エネルギー詰まっていておいしいから、職場の夜おやつに差し入れしたことある。)

購入したポストカードにサインもいただきました。ありがとうございます。


自分がやりたいと思うことと、誰かを喜ばせられること。
その重なりの部分を自分の力で磨いていける力は、「才能」という言葉では片付けるのは惜しいほどに尊い。

あーちんさんはまだ高校生だし、これからどのような道を歩むのかわからない。
でも、どんな形であれこのすばらしい力を大事にして、伸ばしていったら、その力はきっとすばらしい人をたくさん連れてきてくれるようになる。


ご本人を前に、そう言えたら良かったのだけど。
モヤモヤが邪魔をして、すぐに言葉にできなかった。


===

今期のTBSドラマ「チア☆ダン」は、チアダンスで全米制覇を夢見る高校生の部活青春ドラマではあるけれど、そのわりに、主人公の家族や学校の先生など、たくさんのおとなの姿が描かれている。

第2話、チアダンス部の顧問を引き受けることを決意した太郎先生が、家族にそのことを打ち明けるとき、こんなふうに言っていた。

現実の厳しさを伝えるおとなはいま世の中にいっぱいいる。ほやけど、夢を伝えるおとなも、もっといてもいいと思うんや。

心の病気を治療しながら、おそるおそる教師の仕事に復帰した太郎先生。
大学教員である妻の今日子さんは、夫が部活の顧問まで引き受けることを心配しながらも、こう返した。

おとなの役目だと思う。それも。夢をみてもいいんだよって、若い子に伝えるのも。


おとなの役目、である。

子どもに
「好きなことをみつけよう」
「得意なことを伸ばそう」
「将来の夢は?」
と、ワクワクしながら言いたい。

若い子のすばらしい力を心から褒めちぎり、信じたい。

わたしはそっち側のおとなになろう、と、この歳になってはじめておとならしいことを考えた、平成最後の夏なのでした。



あーちんさんには計り知れないパワーをもらいました。ほんとうにありがとうございます。
渋谷ヒカリエでの原画展は今日8/5(日)までだけれど、Café&Meal MUJI新宿でも、9/5(水)まで展示が行われているそうです。行きましょう。

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