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フンっ だ。

草に隠れて、何かしらの動物のふんがあった。
鳥ではない。
柵があるのにどこから入ったのか。
「なんでしょう?」
「なんでしょうね、イタチではないですね」
イタチではないのか。
「川から上がって…?ヌートリアとか」
「ええ?いやあ…」
「まあイノシシじゃなければ」と自分でもテキトーだなと思いつつ言いながら、しばらく真剣に考える。柵…川…それとも こ こ に 住 ん で い る 。

コロコロとしたひとかたまり、その先に、踏みつぶされたひとかたまり。踏んだのは多分ヒトだ。
(誰か踏んだな) 自分ではないので落ち着いている。

今も例えばあの辺り アジサイの葉の茂みの中で、じっと潜めて眼を光らせているネズミみたいな一匹の、やたらと大きなこんもりした体を思った。
対峙してしまったら…嫌だな。睨み合いになったら、緊張しちゃうじゃないか。

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