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地方で紡ぐナラティブ~今年も阿賀北ノベルジャムはじめました。

今年も小説ハッカソン「阿賀北ノベルジャム」がスタートしています。大学が主催、自治体が共催となり、新潟県北部(阿賀野川より北)の阿賀北地域を中心とした物語を創ろうというもので、今年で三回目の開催です。(扉画像は本日行われたプロット発表会後の記念写真です)

コロナ禍をきっかけに「やむなく」オンライン形式ではじまったこのイベントですが、既に11作品が完成・販売されています。従来の地方における文学賞は、著者の孤独な作業を通じて作品を生み出し、入賞すれば評価=手応えが得られるものの、そうでなければ「何が足りなかったのか」すら分からないものでした。

ノベルジャムでは、著者だけでなく編集者・デザイナーが併走することで、(時にはケンカもしながら)物語を紡いでいきます。そして、オンラインツールを用いることで、東京など遠隔地のメンバーとも共創を行うことが可能になりました。ぜひ今年度もどんな作品が生まれるのか注目頂ければと思います。

ストーリーからナラティブへ

以前、日経COMEMOに「関係人口創出を支える物語と「ナラティブ」」という記事を書いています。阿賀北ノベルジャムは、その実践となるチャレンジです。

物語(ストーリー)とナラティブの違いについては、ビジネス的な観点からはこちらに分かりやすく解説されています。

阿賀北ノベルジャムの場合そこで生み出される作品が「ストーリー」、それが起点・媒介となって生まれていく様々なコミュニケーションが「ナラティブ」という位置づけです。

遠隔地を結んでの約三ヶ月間の創作も、そう易々とは進みませんし、それ以上に地方におけるナラティブ形成も、なかなかすんなりとは行かない、というのが正直なところです。学生中心の運営では、そもそも「運営」としてのSNSの使い方から学んでもらう必要がありますし、試験や行事などがあると発信は途絶えがちです。またノベルジャムでは完成した作品を電子書籍として販売したり、SNSを通じてその拡散を図るところに特徴がありましたが、驚くほどその方法論は通用しないということを痛感しています。

そこで今年度は、完成した本をまず紙の本として送り出す方針です。商業出版のような規模感には遠く及びませんが、同人即売会のようにまずは手に取ってもらえる形とすることに重点を置くことになりました。オンライン創作という「デジタル」と、紙の本という「アナログ」をどう組み合わせていけるか、運営としてもいろいろ試して見たいと考えています。


なお阿賀北ノベルジャムも含めた、地方×デジタル×コンテンツの取り組みや、データ・インタビューなどをまとめた本を11月26日に出版します。

この日経COMEMOに寄稿した記事を中心に、大幅に改稿・加筆した内容になっています。よろしければこちらもチェックして頂けますと幸いです。

※この記事は日経媒体で配信するニュースをキュレーションするCOMEMOキーオピニオンリーダー(KOL)契約のもと寄稿しており日経各誌の記事も紹介します。詳しくはこちらをご参照ください。

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