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コンテンツ創造と地方との関係(1)

私がメディア・コンテンツを教える敬和学園大学は新潟県新発田市にある小さな私立大学です。新発田市は新潟市から更に北に約25キロのところにある地方都市で、さらに少し北上すると、先日地震で被害が出た村上市に至ります。(地震が起きたとき、わたしのアパートもかなり揺れました。被害に遭われた皆様にはお見舞いを申し上げます。)

(画像は新発田市ホームページより引用)

新潟市の人口がおよそ81万人、それに対して新発田市は9.8万人です。人口10万人を下回る市町村は全国的にみても人口減少が進む傾向が確認されており、ここ新発田市も対策が急務となっています。(参考:国土交通省:持続可能で活力ある国土・地域づくりをめぐる現状と課題

定住人口を増やすにはまず交流人口(観光などでその地を訪れる人々の数)を底上げしていく必要があります。JR白新線の駅から自動車で20分ほどの場所には県を代表する温泉地の1つ、月岡温泉がありますが、そこを訪れる人は駅前にはほとんど立ち寄らず、残念ながら数キロに及ぶ駅前商店街は地方によく見られる「シャッター通り」となってます。

駅から新潟に帰る電車は1時間に2、3本のため、温泉地から帰る観光客が駅前をぶらぶらする時間はあるはずにも関わらず、立ち寄りたいスポットが認知されていないというのが現状です。著名な温泉地では大規模な再開発によってこのような温泉街に再び観光スポットを生み出す動きがありますが、人口減少によって税収も減る傾向にある地域ではなかなかそういった取り組みも難しいのが現状です。

そこで「コンテンツ」の出番となります。ここ新発田市は忠臣蔵で活躍する堀部安兵衛の出身地で、わたしのゼミでは彼の足跡を辿りながら、キャラクター化する取り組みを進めています。現代の世情では「主君のために命を捧げる」という物語は、そのままでは受け入れにくいのも事実なのですが、親しみやすいキャラクターに変換し、新たな物語をそこに与えることでリバイバルを図ることができるのではないかと考えているのです。

詳しくは割愛しますが、堀部安兵衛は根無し草で熱血漢というなかなか弄りがいのある属性の持ち主です。これまでも上記の三井不動産レジデンシャルのCMに登場したり、SMAPの木村拓哉が主演する映画「忠臣蔵1/47」で主人公として描かれていたりもします。わたしのゼミには幸い絵を描いたり物語の設定を考えるのが好きな学生たちが集まってきているので、数年掛けて育てて行くことができればなと考えています。親しみやすいキャラクターを通じて、この土地の風土や観光資源を知ってもらい、訪れる人(交流人口)が増えれば、というところに期待があります。

ただ、こういった地方でのキャラクターを用いた取り組みは、かつてのゆるキャラブームに代表されるように、これまでも同時多発的に起こりながら、多くの自治体では大きな成功には至っていないのが現実でもあります。次回はその要因を整理してみたいと考えています。


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