ハンドメイド市場の革命家“GMOペパボ株式会社”

マーケティングトレース 対象企業
「GMO ペパボ株式会社」

●はじめに
今回、マーケティングトレース初挑戦となります。 はじめに、この活動に挑戦してみようと考えたきっかけを少しだけ語らせていただきたい と思います。 もともと私の勤めている会社にはマーケティングを実施する専門部隊がありませんでした。 それが 2 年ほど前の組織変更で私の所属する部隊が急遽そういったミッションを担う事となりました。今までの業務との並行で、なおかつ、そういったスキルの教えをこえる人も周りにいない中、時間ばかりが過ぎていく毎日でしたが、本屋に寄っては初心者向けのマーケティングの関連本を読み、「もっとマーケティングを学びたい」と強く感じていきました。 そんな時に出会ったのが、黒澤友貴さんの著書「マーケティング思考力トレーニング」です。 「マーケティングトレースはマーケターの筋トレ」という強いメッセージと、初心者でも段階的に実践できる様々な素材や STEP を紹介されており、あと一歩踏み出せずにモジモジ していた私の背中を強く押してくれた一冊でした。
今日、この記事をもってマーケターになる為の第一歩を踏み出したいと思います。

●対象企業基本情報
会社名 :GMO ペパボ株式会社
資本金 :約1億5千万円
売上高 :約89億4千万円
従業員数:連結 327 名

●市場動向
外部環境分析としては、働き方改革や一億人総活躍社会等、多種多様な働き方が模索されている昨今で、「子育てしながらの在宅ワーク」「地方で生活しながらのリモートワーク」等、 場所や時間を選ばない自由な働き方へのニーズは強いと分析する。また、新型コロナウイルス拡大の影響を受け、販売チャネルの拡大を求めている業態も多い。この様な社会事情を受けて、SNS 等ネット上のコミニュケーションツールを活用したビジネスは今後益々増えて いくと予想される。

●現状分析
対象企業の売上高は年々増加傾向。

当期純利益をみて明らかに分かるのは 2015 年に何かしらの大きな投資があったという事だろう。調べてみると、当時の株主説明会資料の中にその答えがあった。それは、GMO ペパボ株式会社の目玉事業の一つ、ハンドメイドマーケット「minne」のプロモーションへの投資だ。具体的には、「TVcm の放送」「宣伝ポスターの掲示」「オフラインイベントの開催」 「関連書籍の発行」「ヤマト運輸とのコラボ」等が挙げられる。確かに当時、頻繁に 「minne 」のTVcm を目にした記憶がある。特に水川あさみさんを起用した「おはよう minne」「こんちわminne」「おやす minne」という日常的に隙間時間でチェックしてしまうハンドメイド アプリというイメージを全面的に押し出したフレーズはとても印象的だった。
この集中プロモーションにより、ハンドメイドアプリとしては競合に比べて後発だったにも関わらず、 高い知名度を獲得した。
4P 分析をしてみても分かる通り、「minne 」はこの cm コンセプト通り、「普段使いできるハン ドメイドアプリ」としてのポジションを確立している。登録作家は個人の作家をメインとし、 他のアプリと比較しても圧倒的な作家数と作品数を誇る。その結果、幅広い商品ラインナップと低価格帯を実現。企業による投稿がほとんどない為、個人作家による参入ハードルが低 い事もこの結果に大きく関係していると考える。
業界競合としては、同じハンドメイドアプリである「Creema」や「iichi」、また、EC サイ ト作成・運営サイトである「BASE」等が挙げられるが、「minne 」はこれらのハンドメイドアプリとは全く違う独自のポジションを確立している。「Creema」や「iichi」が“特別感”や“高級感”を特徴としているのに対し、「minne」は“普段使い”“低価格層”というニーズを満たし ている。このポジションを確立している事が 「minne 」の競争力と言えるだろう。
この様に、コンセプトに沿った様々な施策の実施により、minne は“生活に身近なハンドメイドアプリ”というポジションを確立した。

●成功要因
ここまでの分析結果から、私は GMO ペパボ株式会社のハンドメイド事業における成功要因は、以下 2 点と考える。
①集中プロモーションによる印象的なスタートダッシュ
②“日常使いのハンドメイドアプリ”という新たなカテゴリ-の確立
2015 年の大々的なプロモーション活動が、後発にも関わらず「minne」をハンドメイドアプリの先駆け的なポジションへと成長させたと考える。(①)スタートダッシュでスピーディ に登録作家数を増やし、利用者の選択肢を広げた事で、他のハンドメイドアプリとは別のカテゴリ-にあたる、(②)“日常使い”のハンドメイドアプリというコンセプトを現実のものにした。

●もし私が CMO だったら?
もし、私が CMO だったら、「メインターゲットを核とした利用者層の拡大」に打ち出した い。
「minne」のメインターゲットは20代〜30代の女性と考える。このメインターゲットを中心として利用者層を広げ、より幅広い層の中で身近なハンドメイドアプリとなる事で、“日常生活になくてはならないもの”というポジションを確立したいと考える。 具体的には、プレゼントをするシーンを 「minne 」がサポートする、“minne サプライズ企画” だ。人生で、人へのプレゼントに悩んだことのない人はそうそういないだろう。 「プレゼント選び」という日常によくあるシーンにおいて、「minne」が登場する為のビジネスを打ち出したい。
①プレゼント特権
例えばプレゼント設定を設け、注文元と送り先が違う場合、 以下のようなサービスを受けられれば、プレゼント選びの際に minne が利用される決め手になる。
・送料負担
・他業態とのコラボにより「花束同送」や
 飲食店への直送
・QRコードの掲載されたカードが同梱され、
 無料でメッセージ動画をセットでプレゼント
②女性へのプレゼント選びに悩む男性向けの
 記事や推奨機能
プレゼントのネタ切れや、定番のブランドものではどうもしっくりこないがありきたりなプレゼントでは物足りないと悩む男性も少なくないだろう。そんな男性陣がプレゼント 選びに悩んだ時や十分な時間を確保できない時、女性がメインターゲットとなっている 「minne 」だからこそアドバイスできる事も多いはずだ。
いわば、minne がプレゼント選びの コンシェルジュとなる。
③ギフトカタログ
ネットでの取引に抵抗のある層向けのプレゼントや、相手に好きなものを一緒に選んでほしい時、同価格帯の作品がコンセプト別にまとめられたギフトカタログがあれば、利用シーンを大幅に広げられる。また、そういったカタログに選ばれる事は作家にとってのモチベー ションにもなるかもしれない。

この様に、「プレゼント」という機会を利用して、メインターゲットの周囲を巻き込む事で 利用者層の拡大を図り、minne をより身近なコンテンツとしてさらに成長させることがで きると考える。

以上が、私の初めてのマーケティングトレースです。

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