見出し画像

『ガラスの心の胸飾り』

傷つくのが怖い誰かのお守りのように。
暖かい言葉やキラキラした思い出に包まれて、
大切に守られた心を胸に抱いて前を向いて歩いていけますように。


ーーーーーーー


ガラスの心の胸飾り、制作後記を改めてきちんと書くことにしました。
今まではこういう長い文章的なものを出すのに恥ずかしさの方が勝っていて、
書いても自分の中だけで収めておいたり、どこかに載せたとしても私の作品をいつも見てくださってる方しか見えない場所に隠していました。
通りすがりの初めましての人に見てもらうには私の心の内を書きすぎてしまっている気がして、

気持ちが変わったのは今回の展示期間中にご来場してくださったいつもお世話になっているご夫婦から、『もっと読んでもらいやすい場所に置いておけばいいのに、その言葉たちまで含めてなないさんの作品なんだから。』と言っていただけたことがきっかけです。

人の文章や言葉ってとても合う合わないがあると思います、
話し方でその人の事を好きになったり、文字打ちの並びで苦手になったり。
もし、読むのが途中で苦しくなったら、躊躇わずにページを閉じてください。
このページを開いて知ろうとしてくださったことだけで、とても嬉しいです。



今回のガラスとシルバーで制作したブローチは、今年2022年の2月終わり、
グループ展が終わってひと段落したところから始まりました。

誰かに身につけてもらいたいという気持ちからジュエリーになり、
美術品として、実用性よりの感情を伝えることを優先することもしたい、
そんな二つの間で揺れているうちに、あのブローチにしては少し大きな作品をを制作することにしました。



テーマは「傷つきやすい心」
最近はよくHSPなんて性格タイプも聞きますが、SNSに囲まれてる毎日を過ごしてる私たちは、人と関わる機会が昔に比べて増えていて、その分楽しいことも多いけど、知らなければ傷つかなかったのにななんて思うものまで見えてきてしまうし、怖いもの見たさで知ろうとしてしまいますね。

私自身、他人の動きをとても気にしてしまうというか、何を考えているのかいろんなところから想像してしまったりして、傷つかなくていいようなところで勝手に一人で転んでしゅんとしてしまうことがあります。

人一倍誰かとおしゃべりをするのが大好きな私ですが、自分が辛くて悲しくて仕方ない時に誰かの言葉に救われたり、何気ない振る舞いに支えてもらう事はあるのに、身近な友人が苦しんでる時に隣で話を聞くことしかできない自分が少し申し訳ない気持ちもありました。

でも、人よりもきっと傷つきやすい気持ちはわかってあげられるような気がしたから、
私ではない誰かの傷ついた心に寄り添って、綺麗な何かで包んであげたくなったのです。

友達と喧嘩したからって明日学校に行かなくていいわけではないし、
職場で失恋したからって仕事をすぐにやめるわけにはいかないし、
心がどれだけ傷ついてボロボロでも、何食わぬ顔で身支度をして、ご飯を食べて、
外に繰り出さなければいけない。

本当はね、ゆっくり休んで心に空いた穴が埋まるまで、嫌な現実から目を背けていられたらいいんだけど。
そうはいかない世界に私たちは生きているから。


1番最初に制作したのはオレンジ色の心。
傷ついて、割れて、穴まで開いて、
腫れてぷくぷくになったしまった心をオレンジ色のガラスの粒で焼き上げ、
キラキラした温かい思い出をシルバーの板を一つずつ糸鋸で切り出した形で表しました。

糸鋸で切り出す作業は最初の想定より何倍も時間のかかる作業で、気が遠くなりそうにもなったけれど、最後にガラスをこの思い出達で包んだ時のことを想像しながらポカポカした気持ちで切り出していました。

ハート型の心は恋心。
お友達がとても綺麗に一眼レフで撮ってくれて、プロフィール写真も2年ぶりに変えました。

ガラスなので重そう。と思う方も少なくないと思いますが、一度粉々に砕いたガラスの粉を薄くひいて焼いているので、中身が空洞でとても壊れやすいけれど薄く軽い仕上がりになっています。

それぞれの心を包んであげたい何かを模様に落とし込んで上から被せていますが、ガラスを包み込む要素として、モコモコした大きい石座のような物に嵌っています。
側面には模様をひとつひとつ分けて施しました。

全体的にガラスもシルバーもマットな仕上がりなのは柔らかいイメージにしたかったから、
でもせっかく胸元を飾るジュエリーなのだからと縁の部分だけヘラがけをしてキラキラ光が反射するようにしました。

恥ずかしくて隠したい心をリボンで包んで
自由になりたい気持ちを羽で包んで
芽吹いた気持ちを若葉で包んで
どこかに逃げてしまいたい心をいつかの涙で包んで


展示板として使った後ろの板は鏡をイメージして切り出した形です。
展覧会の会場で実際に作品を見てくださる方が、
まるで鏡に映った自分の心が包まれているように感じていただけたら嬉しいなと思い、このような壁掛けの展示方法にしました。

全9点の写真はInstagramに載せていく予定なのでもし気になってくださる方がいたら、ぜひ覗いてみてください。


こんな気持ちになるくらいなら、
これだけ1人で傷つかなきゃいけないのなら、
最初から自分にも他人にも期待せずに、頑張らずに、ただ淡々と毎日を過ごしていればよかった。

そんな風に傷ついた心を1人で持ってどん底にいる時、この胸飾りを着けたり、見たりして、明日を歩いていくささやかなお守りのような、小さな勇気になれたら嬉しいです。

私たちは、自分が思っているよりも精一杯に頑張れているし、立派に自分の足だけでも立っていられてる。

傷ついた分、割れてしまった分、
そしてそれを癒して治した分。
ちょっとずつ私たちは人としての感情に深みが増して、隣にいる誰かに優しくできるようになると信じて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?