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【MIL】前半戦振り返りpart2

前回の振り返りPart1に続いて、今回は個々の選手にフォーカスして振り返ります。

○ 先発

先発は今年も怪我人続出です。

開幕時点のローテ
・Corbin Burnes (28)
・Brandon Woodruff (30)
・Freddy Peralta (27)
・Eric Lauer (28)
・Wade Miley (36)

開幕2週目でWoodruffが右肩の故障でILへ。続いて5月中旬にそれまで7試合中4度QSだったMileyが背中の張りで離脱(6/17に復帰)。翌週にはLauerが右肩の故障でILへ。Peraltaも直近6試合で1度しか6回持たず、Burnesはロン毛をバッサリ切っています(!!!!????)。

そんな故障と不振でいっぱいなローテで安定感を保っているのがColin ReaJulio Teheran。Reaは現在もイニングイーターとしてローテを守っています。

Teheranは5/25にパドレスからFAで加入し、ここまで8試合中4度のQS。7/4のカブス戦と先週のメッツ戦で炎上するまで6試合35.1イニングを投げ防御率1.53でした。

Teheranは21年にDETからリリースされてから、独立リーグ、メキシコリーグを渡り歩き、今年はパドレスの3Aで開幕を迎えました。打者有利のエルパソでTeheranはシンカーを多用するスタイルに切り替え、さらにカッターを習得。この姿にMILフロントは注目し、メジャー契約を結びました。本人も「全ての球種でコントロールできている。特にカッターは自分にとって大きな球種だ。あらゆるカウントで投げたいときにいつでも投げられる」と語るほど、カッターが復活の秘訣になっています。


現在のローテ
・Corbin Burnes (28)
 18試合 7勝5敗 107.1 IP 3.94ERA 1.3fWAR

・Colin Rea (33)
 16試合 5勝4敗 80.1 IP 4.71ERA 0.6fWAR

・Wade Miley (36)
 13試合 6勝2敗 67.2 IP 3.06ERA 0.8fWAR

・Freddy Peralta (27)
 17試合 5勝7敗 92.0 IP 4.70ERA 0.8fWAR

・Julio Teheran (32)
 8試合 2勝3敗 47.0 IP 3.64ERA 0.4fWAR

・Adrian Houser (30) 
 11試合 3勝2敗 51.1 IP 3.68ERA 0.6fWAR

およそコンテンダーとは思えません。30代のベテラン勢はいつ炎上してもおかしくないためリハビリ組には一刻も早く帰ってほしいところ。一方でそのベテラン勢がいま最も安定しているのもまた事実。WoodruffとLauerが復帰した際誰を外すのか。マイナーオプションの残っているReaか、イニングこそ食うものの2戦連続炎上中のTeheranか。判断が難しいところです。


○ リリーフ

素晴らしい優れた運用と改造力で新たな勝ちパターンを築きました。数字上は平均を下回っていますが、これは一部が足を引っ張っているのが原因で、個々では非常に安定しています。

開幕時点(8)
・Devin Williams - CL
・Peter Strzelecki - SU
・Matt Bush
・Hoby Milner
・Joel Payamps
・Javy Guerra
・Bryse Wilson
・Gus Varland

以上8人のうち、既にチームを去っているのがGuerraVarland、そしてBush。Guerraは課題のコマンドが改善されずDFA(レイズが再獲得)。ルール5で獲得したVarlandは4/15に打球が顔に直撃しIL入りすると、復帰後の登板で9失点。翌日ドジャースに返却されました。Bushは被弾癖が治らず7月頭にDFA。昨年のTDLで加入後33.1イニングで11被弾は目も当てられません。

また、Strzeleckiは6/29にオプション行使してマイナーへ降格しました。4月は防御率0点台でしたが、5月後半から調子を落とし直近15試合の防御率は5.87でした。降格するまでチームトップの36試合に登板していたため、ハードワークが祟ったのでしょう。PS争いが激化する8月に戻ってくれれば十分です。

そんな誤算続きのブルペンで輝きを放っているのがElvis PegueroJoel Payamps。いずれもトレードで獲得したリリーフで、決して対価のメインピースではなかったものの、Pegueroは魔改造で空振り率が大幅にアップ、Payampsは5月以降の防御率が1点台と大成長を遂げ、勝ちパの一員に昇格しています。

さらに目立たないながら安定したピッチングを維持しているのがオフにPITから獲得したBryse Wilson。ロングリリーフとして開幕を迎えたWilsonは、軸とする球種をシンカー&フォーシームからシンカー&カッターに転換したのが功を奏したのか、30試合で防御率2.70。勝ちパ休養日の代役から敗戦処理まで幅広い起用に応える便利屋になっています。

また、前半戦終了直前にデビューしたのが23歳のAbner Uribe(アブナー・ウリベ)。100mphに到達する速球とキレのあるスライダーを武器に、今季はマイナー(AA, AAA)で23イニングを投げ防御率1.96、41奪三振と無双していました。デビュー戦はレッズ打線相手に2回1失点2奪三振。上々の滑り出しをみせています。


現在のブルペン
・Devin Williams - CL
 34試合 33.1IP 1.89ERA 3.37FIP 0.5fWAR

・Elvis Peguero - SU
 33試合 35.0IP 3.09ERA 3.40FIP 0.5fWAR

・Hoby Milner
 42試合 36.0IP 2.50ERA 3.73FIP 0.3fWAR

・Joel Payamps
 40試合 42.1IP 1.91ERA 3.38FIP 0.7fWAR

・Bryse Wilson
 30試合 43.1IP 2.70ERA 3.47FIP 0.5fWAR

・Peter Strzelecki
 36試合 35.2IP 4.54ERA 3.81FIP 0.3fWAR

・Trevor Megill
 14試合 14.2IP 4.91ERA 2.19FIP 0.3fWAR

・Abner Uribe
・J.B. Bukauskas

昨年ほどではないにしても一部のリリーフに負担が集中しているため補強は必要です。特に左投手はほしい。Justin Wilsonがリハビリ登板を開始していますが、トミージョン明けのベテランをどこまで信用してよいのかわかりません。


○ 野手

◇ ポジティブ

野手のfWARトップ3は
Christian Yelich(3.0)
Wiliam Contreras(2.5)
Joey Wiemer(1.5)

Yelichは4月こそ苦しんでいましたが、5月以降のスラッシュラインは.313/.405/.509。この期間のfWARはMLB8位の2.7でオールスターに選出されなかったのが疑問に思える数字です。前半戦の成績はMVPを獲得した2018年水準。堂々の前半戦MVPです。

前半戦の成績
2018 → 2023
AVG:.293 → .284
OBP:.364 → .378
SLG:.459 → .456
OPS:.823 → .833

HR:11 → 11
RBI:43 → 46
Runs:60 → 67
Steals:12 → 21

4月に書いたnoteで注目した逆方向へのヒットは依然として増えており、今季のヒット93本のうち反対方向への打球は37本。これはBichetteやArraezなどに次いで6番目に多い数です(参照)。


William Contrerasは期待された打棒は控えめ(OPS.860→.773)。しかしレシーバーとして目覚ましい進化を遂げています。ブロッキングスキルを示す指標(Blocks Above Average)は52位(-3)から3位(+6)、フレーミング指標は46位(-3)から9位(+4)。フレーミングは特に低めのフレーミングが著しく向上しています。

見逃しストライクの投球チャートマップ

このスキルが存分に発揮されるのは先述のベテラン勢とバッテリーを組む試合。球威で劣るReaやMileyは低め中心に投げ込む投球スタイルで、コマンドが生命線となっており、Contrerasのフレーミングが非常に大きな助けとなっています。

ちなみに第二捕手のVictor Caratiniは6月からBurnesの専属捕手となっています。Burnesはインタビューで「うまくいっていないときに修正する手立てを彼は把握している」と語り、Caratiniに絶大な信頼を寄せているそう。そんなCaratiniもOPS.735でfWARは野手6位。打撃面でも十分貢献しています


そしてMILの野手を語るうえで外せないのはJoey Wiemer。Part1では彼のフィールディングにスポットを当てましたが、今回は打撃面を。

マイナーではパワースキルと引き換えにアプローチが課題となっていました。実際、デビューから2カ月はChaseの嵐でBB%7.5 / K%28.3 / 60wRC+。しかし6月からはゾーン外のボールに我慢できるようになり持ち前のパワーが効果を発揮しています。

【4~5月】
173打席 5HR
.195 / .254 / .340 ISO.145
BB% 7.5 K%28.3 60wRC+


6月以降】
130打席 7HR
.236 / .346 / .482 ISO.245

BB% 11.2 K% 29.2 124wRC+

独特なスイングアプローチで不安視されがちですが、デビューから着実にステップアップしています。恐怖の9番打者として後半戦の活躍に期待しています。


◇ 誤算

☆ 1B

開幕ロスターに入ったのはRowdy TellezLuke Voit。しかしVoitは74打席でOPS.548しか残せず、5月下旬にDFA。Voitと入れ替わりで昇格したJonSingletonも32打席で打率1割台、長打1本のみに終わり2週間でDFA、古巣アストロズへカムバックしました。

Rowdyは4~5月で12HR / OPS.826でチームトップの119wRC+を稼いでいましたが、6月に入ってからHRが1本も出ずOPSは.416。守備の貢献もなく、前半戦のfWARは野手内最下位の-0.9です。

Rowdyの深刻な問題は強い打球を飛ばせていないこと。去年上位20%に位置していた平均打球速度とHardHit%は下位30~40%です。ここまでパワーレスなRowdyも見たことがなく、TDLでの最優先補強ポイントとなっています。


☆ DH

フルタイムDHとして復活が期待されていたJesse Winkerは、6/20に今季初HRを打つまで138打席かかる有様。その間.197/.312/.222、58wRC+。全くの期待外れでこちらも夏の放出・DFAが予想されます。

Winkerの成績について話すことは特にないのでプライベートな話題を。

5月のCOL戦、2歳の娘お手製のビーズのネックレスを首につけて打席に立ち話題を呼びました。インタビューでは「このように注目されるのは本当にクールだ。FaceTimeするといつも"わたしのネックレス!!"と喜んでくれる。娘もおそろいのブレスレットを持ってるよ」と笑顔で語っていました。娘のためにももう少し頑張ってもらいたい。


☆ SS

とはいえ上記2ポジションはトレードやFAでアップグレードしやすい部分であり、悲観的になりすぎることはありません。

一方で少し不安なのはWilly Adames。実は5月以降打撃がさっぱりでした。

fangraphsより

5, 6月のOPSは.580でwRC+は57。極端にボール球に手を出してしまい、長打がめっきり減っていました。前半戦最後の17連戦で打ちまくったため峠は越えたと思いますが、やや気がかり。5, 6月のチーム全体の得点力不足はRowdyと彼の低迷も一因です。



○ 展望

ブルワーズは前半戦終了時点で首位のレッズと1ゲーム差の2位につけています。他3チームはいずれも7.0ゲーム差以上離されており、コンテンドの可能性は低いというのが個人的な見解。よって地区優勝争いはレッズとブルワーズの一騎打ちとみられます。しかしこの2チームの直接対決はオールスター明けの7月に6試合組まれており、8月以降はありません。

ブルワーズは今年もコンテンドモードです。アーノルドGMがBurnesを売らないとメディアにも本人にも伝えていることからこれは揺るぎません。打者のアップグレードとリリーフの強化を図って、ライバルの少ないNL中地区で確実に地区優勝を手にしてほしいです。しかしレッズとの直接対決が7月に集中していることを考えると、補強する前のオールスターブレイク明けがポイントになっていきます。7月中に最低でも首位奪還、理想は4ゲーム差以上離しておきたいです。



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