大滝さんが唯一、他人のために書いたラジオテーマが「土曜の夜の恋人に」だ。TBS深夜「馬場こずえの深夜営業」に大滝さんが出演した時、流れで書くことを約束。メンツはピアノに坂本龍一、ギターが山下達郎、伊藤銀次と、いまとなっては超豪華な布陣で作られている。
「ばーばーばー、馬場こずえーのしんしんしん、深夜営業……」という軽妙で耳に残る曲は「Niagara CM Special Vol.1」に収録されている。が、この曲にも元歌があった。
布谷文夫「悲しき夏バテ」の元歌、ガーネット・ミムズ（Garnett Mimms）の「One Woman Man」を書いたアンダース＆ポンシアも、大滝音源界隈の重要人物。彼らはスペクターの弟子で後期ロネッツに多く曲を書いていたけれど「New York Is Lonely Town」という自信作をスペクターに蹴られたのがきっかけで独立、カーマストラで同曲をヒットさせている。
ラヴィン・スプーンフルのヒットで知られるカーマストラ・レコードの最初のシングル「Yes We Have No Banana」のB面「The Audition」こそが問題の曲なのだ。
このシングル、A面もひどいが（しかしヒットした）B面はフィレスのシングル盤以下の埋め草で、セッションの手休めか楽器合わせを録音したもの。しかしクレジットには「アンドレオリ／ポンシア／ペリー／ブルーム」とあり、前の２人がアンダースン＆ポンシア、残り２人もボビー・ブルームとリチャード・ペリーという、アメリカン・ポップス界の重鎮たち。ちなみに大滝さんはアンダース＆ポンシアのイノセンス／トレードウィンズのアルバムのライナーも書いている。
Youtubeにも音源がないので、とりあえず両方をつないでみました。
https://www.dropbox.com/s/yuirl65n2d698yv/%E6%AF%94%E8%BC%83.aiff?dl=0&fbclid=IwAR2ZnRN_7oKkvgWEcH550v_tRuiQ7JytdtuaXS2m_W-9C435fwHAXF6MoMw