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もっと上手いやり方があるはずだ

2018年4月、僕は岐阜県高山市に引っ越した。たくみ塾に行くことにしたからだ。

ここで2年間木工を学ぶわけだが、たくみ塾はいわゆるの訓練校ではない。

実務実習を基本とし、その中で木工を基礎から学んでいく。

ここで木工を学ぶために来た者は塾生と呼ばれ、実務を行う現場に入塾初日から投入される。

実務というのは主に実際に販売されるオークビレッジ製品の製作だが、給料はもとより雀の涙ほどの賃金すら支払われない。

(ここまで読んで「ん?」となった人もいると思いますが、このまま進めます。)

そもそもたくみ塾は学校ではない。株式会社である。

事業内容は木製製品の製造で一部の製品を除き製作しているのはほとんどオークビレッジの製品である。実質オークビレッジの子会社だ。実際、たくみ塾の社長はオークビレッジの社員でもある。

一応、実習で作業した分は週一の講座で還元しているというスタンスだが、圧倒的に割に合わない。

もちろん最初の頃は作業の中での学びも多く、それなりに成長を感じていた。しかし、少しこなれてくると学びも少なくなり完全な労働と化した。

朝8:00〜夕方17:30の実習が終わると19:30までは自主制作時間として工房が解放され、機械なども自由に使えるが、販売製品用にセッティングされていると使えないし、残業もあった。

実習自体も一日中塗装だったり、梱包作業だったりと自分は一体ここで何をしているんだろうと思わずにはいられないやるせない気持ちでいっぱいの日もあった。

こうして僕は2年間たくみ塾に在籍することなく、一年目の1月に退塾した。

僕はたくみ塾のことを全て否定しようとは思わない。(結果、家具職人として就職することができたわけだし)

ただし、塾生ありきの運営スタイルには納得できないし、労働人員として塾生がカウントされているのは問題だと思う。塾生が居ないと仕事が回らないのは企業としてもう崩壊しているんじゃないか?賃金が支払われない以上あくまで塾生という枠組みから外れることはないし、スタッフだけで仕事が回らないような状況は企業としてありえない。そんなことを入塾早々に感じていた。

(賃金がないならないなりに寮があるとか食事が用意されるとかならまだ分かるが、そんなものはない)

こういう状況の中、塾生に対して作業が遅いだの、自分の作業に責任を持てだのスタッフは平気で急かしてくる。結果、怪我をする人が出てくる。後遺症が残る大怪我だ。起こってしまったこの責任は誰にも取れない。

では訓練校に行っておくべきだったのかというとそうとも言い切れない。

どちらにもそれぞれ良さがあると思うし、不満もそれぞれあると思う。ただどちらの環境が自分に合っているかを見極めることが大切なだけで、あとは本人次第だ。

たくみ塾の人たちにとっては昔から変わらずこれが普通だと思っていて、訓練校も昔からのやり方を続けている。ここを通らずには基本的に就職できない。 この就職するまでの一連の流れに正しさはあるが、時代には合っていないと僕は思う。もっと上手いやり方があるはずだ。

僕はまだそんな上手いやり方も分からないし実力もないが、自分だけの木工ではなく、もっと広域的な視野でのものづくりを目指していけたらと思う。



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さる山

デザイナーから家具職人へ。注文家具屋勤務。頭の中を少しずつ文章にしていこうと思います。考えていることいろいろと。京都市在住。
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