2017年10月、僕は学校見学に行くことにした。学校と言っても向かったのは職業訓練校である。木工を学べる学校も年々減ってきているらしく、選択肢はあまり多くない。その中でも無垢材加工を基礎から教えている上松の訓練校に見学に行くことにした。ここを出て独立している人も多く、木工をやっている人からの定評がある。

上松は長野県の木曽郡にある山間の町である。木曽は母方の本家がある土地で何回も行ったことがあるわけではないが、全く知らないというわけではない。馴染みのある土地だ。

母に上松の訓練校に見学に行くことを告げると、久しぶりに親戚に会いたいから一緒に行くと言い出した。一瞬、否定的な感情が湧いたが、学校見学の時間に親戚のところに行ってくるだけらしいし、運転代わってもらえるし、まあいいでしょう！

当日、僕は行きの道中寝不足のため助手席で爆睡していた。ありがとうMy mother。

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目が覚めると既に長野県に入っていた。高速道路なのであまり風景は変わらない。

流れる風景を眺めていると小布施サービスエリアが見えてきた。母は無言のままハンドルを切った。どうやらここが目的の一つだったらしい。

サービスエリア内には美味しそうな果物が沢山売られていた。僕は売店で志賀高原ビールを見つけ即購入した。志賀高原ビールは好きなビールベスト5に入る。 母と合流すると満足そうな顔で大量の栗を抱えていた。栗ご飯を作るらしい。

この時点で結構満喫しているがあくまで一番の目的は学校見学である。

運転を交代し先を急ぐ。

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訓練校はなかなかへんぴな所にあった。周りに何もない。

事務室に寄ると大部屋に案内され、部屋にはすでに見学者が集まっていた。

見渡してみると高校3年生だろうか、親同伴の人が数組いる。他はおそらく自分より年上の人がほとんどだった。夫婦で見学に来ている人もいて少し驚いた。

予定の時刻になり、まず学校の説明が始まった。

僕は説明をろくに聞かず、配布された資料をぺらぺらと勝手に読み進めていた。

するとある資料が目に止まった。

[年間スケジュール]

やけに塗りつぶされたところが多いな。何の日だ？

◼️ … 休日

は？

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そこは完全に学校だった。あたり前だ。

休日は普通にあるし、夏休みも冬休みもあった。行事的なこともある。

当然だが休みの日は学校は施錠されるし、機械も使えない。

卒業するまでの一年間でこんなに休みあって、自分はどれだけ成長できるだろうか。

ぬるいな。

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見学が始まり作業場に案内された。

皆同じ作業着で等間隔で床に座り作業していた。

僕は少し気持ち悪さを感じた。

さらに高校を卒業したばかりくらいの子が鉋掛けの手本を見せてくれた。なんかきゃっきゃしていた。

あぁ、ここは本当に学校なんだな。就職させるための学校なんだな。

学校嫌いの僕はこの時点で嫌気が差していた。

この後も見学は続いたが僕はもうほとんど話を聞いていなかった。

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見学が終わったあと、情報収集のため他の参加者に声を掛けた。

話を聴くとどうやら他の訓練校も同じようなカリキュラムで進むらしい。もちろん自由に機械は使わせてもらえない。

さてどうしましょう。

帰りの車内で母にどうだったかと聞かれたが僕はそっけない返事しかできなかった。

帰りの道中もいつのまにか眠ってしまった。

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