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ターコイズブルーを選んだ新発売にかける大手企業の気合いを感じるコマーシャル

キリンビールが4月2日に発売した新しいビール「晴れ風」のコマーシャルを考えていきます。キリンビールといえば、ラガー、一番搾りを連想しますが、ビールとしては何年振りかの新商品です。酒税が変更になったとはいえ、大手企業が満を期して発売する新商品ですから、それなりのものがコマーシャルからも導き出せるのではないでしょうか。今回はまず、「名前は晴れ風 発売」30秒を考察していきます。出演者も豪華、内村光良さん、天海祐希さん、今田美桜さん、目黒蓮さんです。

今田「お披露目です!」
天海NA「キリンから新しいビールが出ます」
内村「あー美味しい、これ」
今田「名前は」
天海「晴れ風です」
天海NA「名前は晴れ風、キリンラガーや一番搾りのような自信作です」
天海「なんて言っていいんだろう?」
内村「ふわーって感じです」
今田「んー」
天海「美味しいよ」
目黒「(笑い)」
内村「あー、あーでもいいかなぁ」
天海NA「キリンビール、晴れ風」
目黒「よろしくお願いします」


セリフ展開だけでいくと、天海さんのナレーションが軸となり、4人の新商品に対する第一印象を展開するストーリーです。これといった物語性はなく、とにかく色彩を中心にまずは「新発売の商品がある」という序章のような感じを受けます。

カット割を見ていきます。

カット01 今田

ファーストカットはこの商品がもつ爽やかな風のような雰囲気を感じせる動的カットです。

カット02

2カット目にして早くも、商品カットですがまだ新商品の名称は出てきません。キリンビール共通のデザインだけです。

カット03 内村
カット04 内村

内村さんが商品名よりも先に飲んで一言。

カット05 今田
カット06 天海
カット07 天海

30秒のうち7秒で、商品名コールします。
この背景ですが、本麒麟のコマーシャルとセットコンセプトが類似している気がします。

カット08

商品名を再コールするカットで、大きくセンター位置縦書きで主張。

カット09 目黒

目黒さんのカットだけ壁に対して斜めです。

カット10 内村
カット11 目黒

ここでも目黒さんは壁に対して斜め位置の構図です。

カット12 天海
カット13 内村
カット14
カット15 今田
カット16 天海
カット17 目黒

ここでも目黒さんは斜めの構図。

カット18 内村
カット19
カット20 目黒

ラストカットで初めて目黒さんが壁に正面立ちの構図になります。

全20カットで構図としてはどれも単純なもので構成されていますが、目黒さんのカットに秘密があります。カット20のラストカットまで目黒さんはこのコマーシャルのセットである壁に正面立ちしません。他の出演者はみな壁正面に位置します。そこで目黒さんだけ違う空間にいるの?という疑問が少し浮かびます。さらにラストカットまで目黒さんはちゃんとしたセリフがありません。で、最後最後に満点の笑顔で「よろしくお願いします」というのです。とても印象的にラストカットになることで商品への印象も強くなります。
さらにこのコマーシャルで効果的な役割を果たしているのが、ターコイズブルーの色彩です。大手ビールメーカーとしてかなり個性的なカラーです。この色さえ印象付けられれば、店頭で商品名を覚えていなくても「これ新発売のビールだ」と消費者は認識するはずです。
キリンビールは本麒麟でも真っ赤な商品カラーで勝負に出ています。キリンは色彩による商品認識を重要だと考えていると思います。
カット10においても、商品パッケージや商品名よりもターコイズブルーです。他のビールメーカーであればもっと商品パッケージを大きく印象的に配置します。

カット20 カラー

それと細いかい点ですが、4人の出演者はどのカットでも単独です。4人はバラバラで撮影されています。同じ空間にいるという背景の効果で共演している印象を受けます。例えば、今田さんと天海さんがビールを飲んだ後の表情のカット15と16では、背景は完全に一致しています。
このようにそれぞれ単独出演のカットで構成されていますが、これから4人が繰り広げるシリーズコマシャールを期待させます。

もう一点、本麒麟とは異なり野外ロケの演出(スタジオで撮影していますが)、日差しが差し込んだり風が吹いたりと商品名を連想させる環境下での撮影になっています。


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