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時空を操る魔法使いコマーシャル NANOX

今回は洗濯洗剤のなノックスのコマーシャルを研究します。
このシリーズは洗濯学の特命教授(一部表記では「洗濯プロフェッサー」)の横浜流星さん、白い衣類を白く洗い上げたい主婦として小池栄子さん、黒い衣服を色褪せすることなく保ちたい若者として今田美桜さんの3人が登場します。
シリーズとしては「洗濯プロフェッサー/機能」篇、「洗濯プロフェッサー/便益」篇、「100点の洗濯へ」篇があります。今回はナノックスワンプロに特化した「100点の洗濯へ」篇30秒を題材にします。まずはストーリーから。

ナレ「ナノックスワンプロ!」
洗濯学特命教授「自分の選択に点数をつけてもらうと平均は70点台、すべての洗濯を100点へ」
小池さん「ちょっと待った!」
今田さん「教授、大袈裟、100点満点の洗剤?」
小池さん「どれを使っても同じよね」
教授「では、試してください」
教授「まず、1回目の洗濯で」
小池さん「うわー、洗浄力全然違う」
教授「そして、10回目」
今田さん「何これ!色変わってない!」
教授「そう、それがオンリーワンの」
ナレ「ナノックスワン!」
教授・小池・今田3人で「プロ!」

カット01

最初のカットで今回訴求する商品パッケージを左画面3分の2のスペースを使用して、印象的な構図です。しかも商品はパッケージ全体ではなく商品名を画面いっぱいに配置しています。ストーリー展開を考え、右側に洗濯学の特命教授が悩んでいる表情を配置しています。

カット02

特命教授が近未来的な研究室で近未来的な画面、ホログラム?の奥に立っています。ホログラムには棒グラフらしきものが写されています。

カット03-1

構図は引いて、研究室全体の舞台設定が見えてきます。周りにはたくさんの白衣をきた研究員がタブレットを持って特命教授の説明を聞いています。

カット03-2

特命教授が操作してホログラムに大きく数字が表示されます。
このシーンですがよくよく考えてみると、特命教授からみると数字は裏返しです。手前から見ている研究員なら読めますが。この辺りがコマーシャルっぽい構図です。もし、ドラマなら教授も手前に立っていると思います。そこが気にならないのがコマーシャルという30秒の世界です。

カット04

この秘密基地みたいな研究室ですが、なぜか小池さんと今田さんが入り口に隠れて特任教授の演説を聞いています。セキュリティに問題がありそうですが。

カット05
カット06

ホログラムがあった台の上に商品が迫り上がってきます。登場感の演出です。このスタジオの色彩が洗剤の色だとわかるカットでもあります。

カット07

入り口から歩きながら入ってきます。

カット08

このカットで二人の侵入者に教授と研究員たちが気付き振り向きます。

カット09

商品がのった台の目の前まで二人が入ってきます。誰もこの侵入者を止めずに、逆に画面で後ろ側に移動しています。しかも、イラストでは描き込んでいませんが、二人が入ってきた入り口はカット09では見えません。カット08での教授の反応を考えると商品の向こう側が入り口のはずで、部屋の構造が不自然です。カット07から3カットでこの状態に配置が変化するのは若干不自然です。しかし、その不自然さがこのコマーシャルでは重要です。「100点満点の洗剤?そんなのあるわけない!」という不自然さをカットの不自然さも伴って強調されているようです。

カット10

カット10の商品カットは、消費者が手に取る瞬間を映像的に刷り込む恐ろしい商品カットです。

カット11

カット09まで十分に蓄積した不自然さをこの商品が一気に解決しますという王道のセンター構図がカット10と11です。しかも、カット11の位置関係はカット01と同じです。

カット12

ここから時空が自由自在になります。
さっきまで研究室にいた小池さんが自宅と思われる洗濯機の前に瞬間移動し、2画面の左側に配置。右画面には何故かひざまづく特命教授を配置、指を立てているのアクションも印象的です。セリフの「まず、1回目」に合わせたアクションですが、魔法をかけるポーズに見えなくもありません。

カット13
カット14

魔法で小池さんは自宅に時空移動したのです。

カット15

カット15は実験結果を表現するような2画面の構図です。左側に従来品、右側に当該商品です。このような2画面の構図では、右側に新しい事象を配置します。英語で右を意味する「right」は「正しい」という意味もあります。

カット16

そして、次は今田さんが洗濯10回目に時空移動します。ここでも2画面で右側には10を表すポーズを取る特命教授です。1回目とは違い10回目は立って魔法のポーズです。

カット17
カット18

今田さんも小池さん同様時空移動します。

カット19

ここでも、右側が正しいという構図です。

カット20

この魔法は何かというとのポーズです。指の先には空間に浮かぶ洗剤です。この洗剤の塊はずっと特命教授の指の上にあるわけではありません。まるで洗剤自体が意思を持っているかの如く動くのです。
場所は実験室です。研究員の姿はありません。どこかに行ったのでしょうか、どうではありません。カット11までの過去ではなく、未来なのです。
ちなみに実験室っぽい演出としてイラストでは描いていませんが、奥に実際の実験で使用するクルーンベンチとインキュベーターが置かれています。なかなか凝ってます。

カット21

画面中央いっぱいに商品パッケージの構図です。左右に分けられた文字も大きく配置しインパクトあります。コマーシャルの洗脳能力が高いです。

カット22

ダメ押しで「プロ!」と叫びます。ナノックスにはこの「プロ」の他にも「スタンダード」「ニオイ専用」と計3種類ありますが、プロだけでいいんじゃねえと思わせるほどインパクコマーシャルです。
カット21の商品画面がスライドして、左側3分の1に横浜さん小池さん今田さんが揃って配置されます。ここでも、3人が再び同じ場所に時空移動することで完結します。

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