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陸前高田のいきづかい。

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2015年から通っている陸前高田(主に漁師町広田半島)での記録。 写真を交えつつ、感じたことや考えたことを綴る。
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記事一覧

あたらしい道ができていくこの街を走りながら思うこと

陸前高田では、日々新しい道が開通している。 “あたらしいまち”を震災に強いまちになるようにと、ここ数年ずっと工事に次ぐ工事で、東京でいえば新宿とか渋谷並みに、このまちの工事は終わらない。 つい先日も、市街地から車で30分ほどの距離にある私の家付近(まあ田舎)で、新しい道が開通した。 杉林の山を切り拓いた、とても作為的で、計画的な道。 まっすぐで新しい線はその無機質さが都市的できれい。この田舎町に異質なものを生み出しているかんじも、興味深い。市街地へ早く行けて、快適で便利。

おばあちゃんの「おはなし」の時間

黒崎のほうにね、開墾さ、しにいったのよ。 私が通う陸前高田市広田町に「黒崎」という地域がある。 半島の先っちょで、町で一番大きなお祭りが開かれる神社があって、温泉がある。もちろん人も住んでいる場所だ。 そこをシゲ子ばあちゃんはずっと昔に、開墾しにいったという。 ふむ、開墾? 手をつけていない山や野原を、耕して人が住めるようにしたり、畑にしたり…すること…。 誰かが、その昔に家を建てた。その隣にも家が建った。畑では牛を飼った。そういうことの連鎖で、この場所が人の住む場所に

陸前高田、あるハレの日のこと。

いちばん小さなともだち、4歳おめでと。

CONTAXをはじめて陸前高田に連れ出した。/カメラ日記

年が明けて、コンタックスと友達になってから数ヶ月。 一緒にヨーロッパを旅したり、いつもカバンにいれて連れ出していたら、だいぶ手馴染みもよくなってきたよ。 どっちが良いとか、あっちが悪いとか、なんでもいいからちょっと見てくれよ。

願いでも祈りでもなく決意と許し、陸前高田より。

昨日の、穏やかな春の気配とは一転して、今日は強い風とともに雨がザバザバと降っている陸前高田。 晴れればよかった、と思うのが人間の性だけれど、雨もまた嫌いではない。 願っても祈っても変わってくれないことが世の中には沢山ある。 人はどうしたって違う人に代わってその痛みも喜びも感じることができない。 こんな私のこの言葉が誰の役にたつだろうか。 人に語って感動してもらえるような成功秘話も、どん底に落ちた過去もない。 なんでもない私がこんなことを口にしていいのか。 わからないことだら

なんてことない今日の陸前高田と「ふのり」

2019年3月10日。 今日の陸前高田では「ふのり」が開口した。 「ふのり」という言葉も「開口」という言葉もこっちに通いはじめて知った。「ふのり」は海辺の石ころにくっついてる藻。海藻。 「開口」は「この日この時間は漁していいですよ」という意味。 つまり、今日はふのり漁の日だった。 1年に1〜2回だけしか開口しないというふのりの漁というか「むしとる日」に私が立ち会ったのははじめてだった。 11時半から12時半の間は「むしとって」いい時間として決められ、漁業組合で漁業権をと

刻まれたシワに何を感じようか/Rikuzentakata

岩手県陸前高田市広田町の、泊漁港という小さな漁港でかご網でタコやエゾアイナメ(通称どんこ)などなどを獲っているのが、だいはちろうさん。 そのシワが、美しくて、私は見惚れた。 今回のお供は漁師になるかも?ふうがちゃん。一緒に陸前高田で活動を共にした仲間でもある。彼女はキュートな出で立ちでおじさん/おじいさんをホイホイしている。(半分以上ほんと) 魚を獲ったあとに神経を刺激して最後の一撃をくらわせる場面を教わる。at船の上 ぺちん!!と魚たちが反応し、力尽きる。 庭に

海の世界をもっと知りたい/Rikuzentakata

漁師の写真が撮りたい。 海の世界をもっと知りたい。 冒険したい。 今回撮ってみてまた一層深まったこの3つの気持ち。 遠洋漁業船を乗り継いで(ホッピング)世界中を旅をしたいなぁ〜。 これが最近人生のやりたいことリストに加わった。 料理でも覚えれば船に乗せてもらえるかしら。笑 豪華客船とか違って、何か(魚)を追い求めて旅をしてるんよ漁船って。すごい。というかそんなに魚好きだったっけ。。。 みなさん撮りたい被写体はなんなのでしょうか。 そういうの話したいなあ〜 PHOT

日常の足元を忘れないこと/Rikuzentakata

11月17日〜20日、岩手県陸前高田市広田町へ。 今回は、いつもお世話になってる&仲間である家族の長女の七五三があったので駆けつけました。 また今回も先月に引き続き写真をいーーーっぱい撮りました。石巻にある猫島にも寄って帰ってこれて、とっても心が満ち足りています。 撮った写真をどんなふうに見せようかなあ〜とずっと考えていたんだけど、今回はまずこの記事でハイライト的にごちゃっと4日間のいろんな写真をお楽しみください。 いつも、何かを感じていた時間を過ごした後、「こ

土とばあちゃんと野菜の日 / Rikuzentakata

広田町に行ったときにほぼ毎回立ち寄るのが、のぶこばあちゃん家。 畑で一緒に土を耕したり整えたり種を植えたり、なった野菜を収穫したりする。 それだけなんだけど、ただひたすらに心臓がぶよぶよに溶ける時間。 土をさわって、野菜が根をはって強くのびてるのを見るのが楽しい。 トンボにもモンシロチョウにも「わ〜!!」って言える。 「こんな大きいのなってっよ〜〜〜〜!!」って叫べる。 野菜が元気に実をつくることに喜べる自分を確認しにきてるような。 自分がここにいる意味なんて考えず

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せかいは猫でできている② / ぜんぶ陸前高田編

青い風のふいた日 / Rikuzentakata

予定していた7日のおまつりは、台風が来て8日になった。 7日は一日中風が強くて、呑気に散歩してたら海風がびゅうびゅうとかじゃなくドッカーンドカン吹いていて、工事現場に積んであった砂の嵐に巻き込まれて、いたいいたいと叫んだ。 8日のおまつりの日は、嘘みたいな秋晴れの日でそれはもう気持ちよかった。 撮った写真を見たら、青かった。 太平洋の広がる海と、真っ青で高い空に、ぽつんと荘厳に立ったはしごをみんなで見上げた日。 もしかしたら今まで陸前高田で撮った写真の中で一番鮮やかで賑

牡蠣たちは海からあがってくるとき、怪物のようだった/Rikuzentakata

晴れた日の綺麗な海と朝日を見て、写真に収めたかった。 そんな期待もかなわず、どよーんとしたくもり空で太陽はもやもやと世界を静かに明るくする日だった。 カメラを手にする機会が前より増えてから、わりとどんな天気も好きになることができてきた気がする。それぞれの天気に個性があって、楽しいからね。さすがにポートレートとか撮るとき重い曇り空で陽キャラな人を撮るのは萎えるけどね。 ・・・・ 今年の6月に一度訪れた陸前高田市小友町の牡蠣養殖場・マルテン水産に再訪した。単純に、その町に移