誕生日の日に(後編)
神社にて
思い切って千円札を入れてみた。
記憶にないくらい久しぶり。
決して懐が温かくない状況の中で、自分としてはだいぶ思い切った。
特別な日だから、特別なことをしよう。
その流れは、今まで行こうともしなかった方向へ足を進め、普通なら目をくれることもない喫茶店へ視点を向けることになり、入ってみたら「本日のコーヒー」の使用するコーヒー豆を指定させてもらえた、という奇跡につながっていく。
往復含めれば1時間近く歩いた誕生日の午前中は、行動はぼんやりしていたが、その心境はイケないイタズラをしたような、そんな感じだった。
そんな誕生日もあっていい。
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