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プレチャンバー・・・?!

7月1日に公開された9月に発売予定のマセラティの新型スーパースポーツカーMC20に搭載されるという新型V6 3.0LツインターボエンジンNettuno(ネットゥーノ=ネプチューンの意味)エンジンの新技術プレチャンバーについてです。

この新型ツインターボエンジンですが、スーパースポーツカーもV6 3.0Lエンジンで賄えてしまう時代なのですねで済ますだけではもったいないぐらい、重量を低く抑えられるドライサンプはもちろんのこと、直噴+ポート噴射で、プレチャンバーを利用する場合とそうでない通常のスパークプラグの2つのスパークプラグを用いる大変現代的かつ複雑なエンジンです。

プレチャンバーのことに触れる前に、まずは「チャンバー」とは?

Chamberとは、謁見室、小部屋と言った意味のようで、何か意味のある区切られた場所ということとのようです。

バイクなどの2ストエンジンの太った排気管をチャンバーと言ってきたので言葉は馴染みがありました。ただその意味は、排気管を太らせて排出を促すと同時に太った筒の中まで行っちゃった着火前の混合気をシリンダー内に引き戻しやすくしてパワーを高めること脈動効果というを高めるためのもの。

さらに、コックさん用語では冷蔵庫をチャンバーと言ったりする。食材が保存してある大事な場所ということですかね。昔は冷え冷えした小部屋だったことからの派生なのだと思われます。

他にも真空チャンバーとか、いろんな使われ方をしている用語でした。

プレが前に付くと?

チャンバーの前にプレが付くと、それはエンジンをシリンダーで爆発させる前に小部屋で着火させると、よりピストンへの圧力が早く効率的に爆発のパワーを伝えられるということで近年(2014年)以降のF1で主力チームが採用してきた内燃機関の技術のことになります。

正直最近F1を全く見ておらずこんな内燃機関の新技術が採用されていたことすら知りませんでしたし、世の中ネコも杓子も電気自動車へ舵を切った現在、内燃機関に開発費をかけるなんて、しかも量産数も少ないマセラティが自社V6エンジンに?!

フェラーリから出すのが順当なはずが、F1には出ていないマセラティがまさかの市販車一番乗りで出したから話題になったということであります。その具体的な説明についてはジャーナリストの世良耕太さんの説明が詳しいのでリンクを張っておきます。

①プレチャンバー

そして、マセラティの資料がさすがはイタリアのメーカーらしくひとことで言えば美しいのです。

電気自動車には無い内燃機関ならではのシミュレーション動画を作るあたりクルマ好きですね。

実際自分の経験で、本来やってはならないのだが、より短いプラグしかなくて一時凌ぎに利用した時がありました。設計通りの圧縮が得られないし、圧力が変な方向へ向いてしまいエンジンを壊してしまう恐れがあるので絶対にオススメしませんが、たまたま被ってしまい交換用のプラグが無く手元にあったのがなぜか短いプラグだったのであくまで一時的に使いましたが、力が出ないどころか普段よりも力が出た気がしました。逆プラシーボ効果に首を傾げた記憶があります。

これからが正念場

内燃機関たるガソリンエンジン・ディーゼルエンジン車は環境を破壊する悪者であると欧米ではハッキリと認識されたと思う。

そこで「走る喜び」を謳うだけで売れていた時代とは明らかに違い、電動自動車へ大きく舵を切っているのと並行して各メーカーが進んでいることに間違いはない中、内燃機関エンジンの開発の焦点はハッキリといかにリーンバーンをさせ空燃比を向上しているかの結果を追求することは明らかになっていて、どのメーカーも空燃比率の向上にしのぎを削っている。

この2000年から2015年頃までは欧米車はディーゼルと直噴&省燃費ターボ化を進めていたし、マツダのSkyactivエンジンのようにガソリンとディーゼルの良いところ取り、そして今はもうハッキリと、空燃比率45%を目標にしてほぼ市販車にあてはめてきている。

その空燃比率を支える技術として直噴&ターボは重要なキーファクターというかもはや土台のようなもので、その次が今回のプレチャンバーによる爆発スピードと圧力の最大化技術。同時にシリンダーもしくはポートへのウォーター噴射による冷却技術、将来的にはこれらの全てを導入することになるのでしょうが今は過渡期で、少しずつ採用されている。つまり内燃機関はまだ成長しているし、これからも生産され続けるということを感じさせます。

シリンダーブロック内に水を噴射などありえないと思っていた自分にとっては、とても勉強になっています。

フェラーリからのエンジン供給契約終了に合わせて発表したマセラティの新型V6エンジンはこれからさまざまなバリエーションを展開していくでしょうが、ユーザーに高く評価されひょっとするとマセラティの内燃機関エンジン最後のベースエンジンとなるかもしれない可能性も感じます。






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