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放送大学大学院(自然環境科学プログラム)修士全科生合格記

 この度、放送大学大学院全科履修生の合格通知をいただきました。春から晴れて社会人大学院生になります。
 この記事では、自身の経験を振り返るため、またこれから社会人大学院を目指す方の参考のため、私がここまでにたどってきた紆余曲折の記録と、これからの展望をまとめておきたいと思います。


卒業論文の執筆

 私が放送大学に編入学するまでのキャリアについては、以下の記事をお読みください。

 私が卒業研究を履修したのは、大学院で修士論文を書くためのステップとすることが目的でした。
 4月に入り、卒業研究の履修が始まりました。私の所属した研究室では、学部生は全体のゼミへの出席は必須ではなく、指導教官とのマンツーマンでの指導が基本でした(指導の進め方は指導教官によってまちまちだと思いますが)。4月から指導教官に指示された教材で基礎を学び、参考文献を読み、と言った作業を進めていきました。
 8月ごろから本文の執筆に着手したわけですが、ここで大きな誤算が発生しました。最近色々な業界から聞こえてくる労働力不足は公務員においても例外ではなく、4月の人事異動で私の部署は人員が一名減らされていました。春先はまあなんとかなっていたのですが、夏場になり繁忙期を迎え、流石に業務が回らなくなっていき、月50時間程度の超過勤務プラス月2〜3日の休日出勤(週休日の振替扱いなので超過勤務とは別枠)が毎月生じるようになってしまい、想定していたほど論文の執筆に時間を割けませんでした。
 放送大学の卒業論文の提出期限は11月1日です。結局、10月後半に何日かまとめて振替休日を確保して、バタバタと論文を仕上げ、提出期限当日に卒業論文を提出しました。正直言って論文のクオリティには全く満足できる出来栄えではありませんでしたが、ともかくも最後まで取り組むことはできました。

大学院入試一次試験(筆記試験)

 時系列が前後しますが、卒業研究と並行して院試に向けた準備も行っていました。放送大学大学院入試の一次試験は例年9月末日ごろの土曜日、所属学習センターで受験することになります。私の所属学習センターには、博士課程の受験生も含めて10人ほどの受験生が集まっていました。私が受験したコースは自然環境プログラムですが、自然環境科学プログラムの受験生は私しかいませんでした。ざっと見わたしたところ、受験生の中で私は最年少のようでした。
 自然環境科学プログラムの筆記試験は、数学・物理学・化学・生物学・宇宙科学・地球科学の中から自分が専攻したい分野を一つ選んで回答することになります。小論文や英語の試験はありません。英語の試験の代わりに出願の際にTOEICなどの成績証を提出することができますので、TOEICの成績証を一応出してはおきました。私のTOEICスコアは785、決して自慢できるスコアではありませんが…。
 私の専攻は物理学ですので、物理学を選択して解答します。物理学分野の筆記試験は、古典力学・電磁気学・熱力学・量子力学から一題ずつ問題が出題されます。はっきり言って、普通に大学で物理学を専攻された方なら簡単に回答できるレベルの問題だと思います。
 しかしながら、前述した通り仕事が忙しくなってしまい、筆記試験対策に十分な時間を割けなかったこともあり、筆記試験の手ごたえは全く良くありませんでした。試験が終わった直後には完全に一次試験で落ちたと思い、来年の院試に再挑戦することを考えて学びのスケジュールを再構成し、とりあえず院試のことは忘れて卒業論文を仕上げることに専念することにしました。

大学院入試ニ次試験(口頭試問)

 院試のことを一旦忘れて仕事と卒業論文の仕上げにてんやわんやしていたある日、一次試験の合格通知と二次試験(口頭試問)の日程を指示する書面が届きました。
 二次試験は11月上旬にオンライン(zoom)で行われます。完全に落ちたつもりでいたので、その日は休日出勤の予定を入れてしまっていました。休日出勤は午前で切り上げ、近所の公民館の部屋を借りて口頭試問に臨みました。
 試験官は私の卒業研究の指導教官と、副査の先生のお二人です。副査の先生とお話しする機会ははじめてでしたが、いつも放送授業でお顔を拝見している先生ですので、緊張することもなく和やかに進みました。
 口頭試問では、研究計画の説明と、なぜそのテーマに関心を持ったのかの説明を求められました。お二人の先生からは私の研究計画の甘さと考え違いを優しくご指摘いただき、「もう少し基礎的なことを勉強しながらしっかりとした研究テーマを見つけるところから始めましょう」、というお言葉をいただきました。合格なのでこれから頑張りましょうという意味なのか、不合格なのでもっと勉強して出直して来いという意味なのか、どちらのニュアンスと解釈したらよいのかわかりかねる感じで面接はあっさりと終了しました。

卒業研究レポート発表会

 卒業研究は論文を提出して終わりではありません。12月上旬、卒業研究の発表会がオンラインで行われました。
 発表会では、院試の二次試験でお話ししたのと同じお二人の先生に対してzoomで卒業論文の中身をプレゼンテーションすることになります。
 私自身論文の出来に納得がいっていなかったこともあり、研究の内容は通りいっぺんに説明した程度にして、今後の物理学の展望について、言うなれば夢物語のようなことを語ってしまいました。
 先生からは、私の語った大それた夢物語について、「憧れるのをやめましょう」という戒めのお言葉をいただきました。大それた夢物語にむやみに憧れるのではなく、地に足をつけて研究してほしいということだと思います。
 確かに、私はこれまで憧れだけで突っ走って来たように思います。放送大学に編入学するにあたって物理学を学びの中心に据えたのも、今までちゃんと学ぶ機会の無かった物理学に対して漠然とした憧れを抱いていたからですし、大学院に進学しようと思ったも、結局は大学中退という過去の挫折への劣等感の裏返しでしかなかったかもしれません。
 ともあれ、もっと頑張りましょう、という感じで発表会は終わりました。この時点で院試の合否は決まっていたはずですが、正式に発表されるまで先生も合否に言及することができるはずもなく、あとは12月末日の結果発表を待つだけとなりました。

合格通知が届く:なぜ合格できたのか?

 12月24日の夜、家に帰ると放送大学からの簡易書留の不在通知が入っていました。いてもたってもいられず、翌日午前中を急遽有給休暇にして郵便局に受け取りに向かい、合格通知を手にしました。最高のクリスマスプレゼントとなりました。
 それにしても、なぜ合格したのでしょう?筆記試験の出来はボロボロですし、口頭試問でもかなり厳しく研究計画に突っ込まれました。一体私の何を評価していただいたのでしょうか?
 ぶっちゃけて言うと、「倍率が低かったから」というのが一番の理由なのは間違いないです。今年の院試の結果を見ると、自然環境科学プログラムの倍率は1.44倍でした。臨床心理学プログラムの12.2倍とは大きな開きがあります。
 あえて自分が評価していただいた点を前向きに探すならば、卒業研究を最後までやり抜いたこと、その点しかないと思います。
 実は、今学期私の指導教官のもとで卒業研究を履修した学生は年度当初は5名いらっしゃいましたが、研究発表会で発表したのは私を含め3名だけでした。他の2人の方にどんな事情があったのかわかりませんが、何らかの理由で履修を中断してしまったのでしょう。
 放送大学において卒業研究は必修ではありません。たとえ卒業研究の履修を途中で辞めてしまったとしても、大学を卒業することはできます。私自身も、一応の保険として、仮に卒業研究の単位を取得できなくても今学期で卒業要件を満たすように授業を履修していました。ですので、「仕事が忙しいので卒業研究は諦めます」と言って辞めてしまう選択肢もあったわけです。しかしながら、仮に卒業研究を諦めてしまっておきながら院試を受験していたら、合格することは絶対に無かったでしょう。どんなに忙しくても、満足のいくクオリティでなくとも、諦めることなく最後まで卒業研究をやり抜いたこと、私が評価していただいた点があるとすれば、ただそれだけだと思います。

これからの学び

 「憧れるのをやめましょう」
 卒業研究発表会で先生からいただいた言葉ですが、元ネタがWBCでの大谷選手の言葉であることはみなさんご存知でしょう。「憧れるのをやめる」のが、修士号を目指して研究をする最初のステップだと思います。
 これまで私は学問の世界への漠然とした憧れだけで突っ走ってきました。いわば物理学についてはまだまだアマチュアです。学部レベルまでならばそれでも良かったかもしれません。しかし、これからは大学院で修士号を目指すのですから、プロフェッショナルにならなければなりません。「憧れ」を捨て、地に足を付けて基礎からもう一度学び、研究テーマを模索するところから始めようと思います。
 フライングですが2月からゼミが始まるそうですので、まずはそれに参加して学びを深めていく予定です。

修士号のその先?

 私は一般行政職の地方公務員ですので、物理学で修士号を取得したところで仕事には何の関係もありません。私が公務員に適性があるとも思っていません。ですので、無事学位を取得した後は、公務員以外のキャリアに進む選択肢もあり得るかなと漠然と思っていますが、具体的には全然決まっていません。大学院での学びを進めつつ、その先の将来についても模索したいと思っています。

 というわけで、私の経験を綴ってみました。これからも、修士号の取得という次の目標に向けて、学びの軌跡をnoteに随時残していきたいと思いますので、お読みいただければ幸いです。

 それでは、よいお年を。

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